【記者向け補足資料】WireCanal — 既存トンネルサービスとの対照と想定問答

プレスリリース「株式会社Qualiteg、社内システムと主要AIを安全につなぐ「WireCanal™」の一般提供を開始」に関する、報道関係者向けの補足資料です。
リリース本文でご紹介した基本の仕組みや導入手順はここでは繰り返さず、取材の場でよくお尋ねいただく「既存のトンネルサービスとどう違うのか」を中心にまとめました。

はじめに:3 つのサービスは、どこまで同じでどこから違うのか

WireCanal は、ngrok(米国)や Cloudflare Tunnel(米国)と同じ考え方を土台にしています。社内に置いた小さなプログラムが社内側から外側へ接続を張り、その通り道を使って外部からのアクセスを社内のシステムへ届ける、という方式です。ファイアウォールに受信用の口を開けずに済むのが、この方式の利点です。

ですから「外部から社内へ届かせる」という基本の部分は、3 つのサービスで大きくは変わりません。また、AI に見せるツールを選ぶ仕組みも、当社だけのものではありません。Cloudflare は MCP Server Portals として同種の機能を提供しています。

そのうえで WireCanal が置いている力点は、その許可の台帳を、どこに置くかです。当社は台帳の正本をお客様の社内側に置き、クラウドの管理画面だけでは公開範囲が広がらない構成にしています。ここが実務上の違いになります。

各社サービスの対照(2026年8月4日時点)

以下は、2026年8月4日時点の各社公式サイト・公式ドキュメントをもとに、株式会社Qualiteg が主要な相違点を整理したものです。各サービスは対象範囲や製品構成が異なるため、完全に同一条件での比較ではありません。

項目 WireCanal ngrok Cloudflare
接続の方式社内に置いた接続アプリが外向きに接続してトンネルを開通します。受信ポートの開放は不要です。同様に、社内から外向きに接続する方式です。Cloudflare Tunnel も、cloudflared が外向きに接続する方式であると案内されています。
MCP ツールの公開範囲を決める設定ツール許可台帳の正本を、接続アプリ側の設定ファイルに置きます。既定は全拒否です。クラウドの管理画面からの変更は提案として扱われ、社内側で承認するまで反映されません。確認した公式の MCP ゲートウェイガイドでは、認可ヘッダーの検証・接続元 IP による条件分岐・レート制限などを Traffic Policy で設定する方法が案内されています。同ガイドでは、MCP ツールの許可台帳に相当する標準設定は説明されていません。Cloudflare Tunnel 自体は通信経路を提供する機能です。別機能の MCP Server Portals では、ポータルに公開する個別ツールの選択や、利用者ごとのアクセス制御、ツール呼び出しの記録が案内されています。設定は Cloudflare の管理画面、API または Terraform Provider で管理します。
転送先の指定方法接続アプリの設定ファイルに書いた転送先へ接続します。変更するには設定ファイルの書き換えが必要です。コマンドやエージェントの設定ファイルで指定できます。構成によっては Internal Endpoint とクラウド側の Traffic Policy を組み合わせてルーティングします。設定ファイルまたは管理画面で指定します。
アクセスの記録canal ごとに到達したアクセスを記録し、プランに応じて直近 1,000〜10,000 件を保持します。CSV でダウンロードできます。Traffic Inspector による通信内容の確認機能が提供されています。Zero Trust の各種ログが提供されています。無料プランでは Access・DNS・Network・HTTP ログの保持期間は 24 時間、管理操作のログは 18 か月と案内されています。MCP Server Portals ではツール呼び出しの記録も案内されています。
料金の考え方月額の定額制(円建て・税込)です。転送量に応じた追加請求はありません。プランごとに月間の目安を設けていますが、超えた場合も追加請求や停止は行わず、通信速度の調整で提供を続けます。無料プランのほか、Hobbyist プランは月払い 10 ドル(年払いでは月額換算 8 ドル)、Pay-as-you-go プランは月額 20 ドルからで、転送量・リクエスト数・エンドポイントの稼働などが利用料金の計算要素になると案内されています。Cloudflare Tunnel 自体について、転送量に応じた料金は案内されていません。Cloudflare Zero Trust には無料プランと有料プランがあり、利用する機能・ユーザー数・契約形態によって料金が異なります。
独自ドメインプレミアムプランに含まれます。証明書は自動で発行され、追加料金はかかりません。Pay-as-you-go プランで利用でき、ドメインがトラフィックを受信した時間について、1 時間あたり 0.01 ドルと案内されています。一般的な設定では、Cloudflare に追加したドメインを使用します。契約・構成によっては、外部 DNS を利用する Partial Setup も案内されています。
すぐ試せる URL無料プランで発行される URL は 12 時間で消えます。警告ページは表示されません。無料プランでは割り当てドメインが発行され、HTTP/S エンドポイントに警告ページ(interstitial)が表示されると案内されています。ランダムなサブドメインの一時 URL(TryCloudflare)が用意されていますが、公式にテスト・開発用途向けと案内されています。
接続アプリと常駐運用Windows・Linux 向けの単一ファイルです。1 行のコマンドで導入でき、Windows はコマンド 1 つでサービス登録、Linux は systemd で常駐します(いずれも実機で確認済み)。単一ファイルのほか、各種パッケージや SDK が提供されています。各 OS 向けのパッケージ(cloudflared)が提供されています。
中継基盤の所在WireCanal が運用するトンネル中継基盤は、日本国内のリージョンに配置しています。接続先の AI サービスなど外部サービスを含めた通信やデータ処理のすべてが国内で完結することを意味するものではありません。世界各地に接続拠点があり、東京拠点も含まれます。世界各地に拠点を持つネットワークです。
事業者・サポート日本国内の事業者が提供し、画面・ドキュメント・サポートは日本語、請求は円建て・税込です。米国の事業者が提供し、ドキュメントは英語が中心です。米国の事業者が提供し、日本語のページも用意されています。
周辺のエコシステム接続アプリ 1 本に機能を絞っています。SDK、Kubernetes Operator、API ゲートウェイ機能などが提供されています。Zero Trust 製品群や開発者向けサービスとの統合が提供されています。

※ 本表は各社サービスの全機能を網羅するものではありません。「公式ドキュメントで確認できなかった」とする記載は、その機能が存在しないことを示すものではありません。料金や機能は、プラン・契約形態・設定によって異なります。

WireCanal が重視した 3 つの設計上の特徴

特徴 1:転送先を接続アプリ側の設定で限定しています

トンネルサービスの多くは、起動するときのコマンドや設定で転送先を指定します。すぐに切り替えられる柔軟さがある一方で、何を公開してよいのかの判断は、利用する企業のルール運用に委ねられます。

WireCanal の接続アプリは、設定ファイルに登録された転送先へだけ接続し、クラウド側から転送先を動的に変更する指示は受け付けません。このため、接続アプリ自体が任意の社内宛先への汎用的な中継点になることを防ぎます。運用ルールだけに依存せず、接続アプリ側でも転送先を制限する設計です。

なお、これは転送先システム自体の脆弱性や、接続アプリを動かす端末が侵害された場合の影響まで防ぐものではありません。

特徴 2:AI に見せてよいものの台帳を、社内側に置いています

生成 AI に社内システムを操作させるときの接続方式として、MCP(Model Context Protocol)が広まりつつあります。ここで実務上の課題になるのが、AI に社内システムのどの機能まで触らせるかです。社内の MCP サーバーには、参照するだけのものから更新や削除を行うものまで、さまざまなツールが並んでいることが珍しくありません。

WireCanal では、AI に見せてよいツールを一覧(許可台帳)で選びます。既定ではすべて非公開で、許可していないツールは、その接続を通じて AI へツール名や定義が提示されることはありません。

ツール単位で選ぶ仕組み自体は、Cloudflare の MCP Server Portals などにもあります。WireCanal の特徴は、この台帳の正本を社内に置く設定ファイルとしている点です。クラウドの管理画面からできるのは変更の提案までで、実際に反映するには社内側での承認操作が必要です。通常の運用経路では、当社のクラウド管理画面からお客様の承認なく公開範囲を広げることはできません。

特徴 3:料金を月額の定額制にしています

WireCanal は、円建て・税込の月額定額制を採用しています。転送量に応じた追加請求はなく、プランごとの月間の目安を超えた場合も、追加料金の請求や利用の停止は行わず、通信速度の調整によって提供を続けます。独自ドメインの利用にも追加料金はかかりません。

ngrok の Pay-as-you-go プランでは、転送量・リクエスト数・エンドポイントの稼働などが利用料金の計算要素になると案内されています。Cloudflare Tunnel はトンネルの転送量自体について課金しないと案内されており、Zero Trust の有料機能は別の料金体系です。

これは「他社より必ず安い」という意味ではなく、請求額を事前に見通しやすくするための料金設計です。

想定問答

Q. 海外のトンネルサービスとの一番の違いは何ですか

MCP ツールの公開範囲を決める許可台帳の正本を、お客様の社内側に置く設計です。ツール単位の公開制御そのものは、Cloudflare の MCP Server Portals などにもあります。WireCanal では、クラウドの管理画面だけでは許可範囲を広げられず、社内側での承認を必要とする点を特徴としています。

Q. 「AI に見せる機能を選べる」とは、具体的にどういう仕組みですか

たとえば社内の MCP サーバーに 30 個のツールがあるとして、そのうち「売上を参照する」ツールだけを許可すれば、AI に渡るのはそれだけです。残りの 29 個は WireCanal が返すツール一覧(tools/list)に含まれず、その接続を通じて AI にツール名や定義が提示されることはありません。許可を追加するときは、社内側の設定ファイルを更新して承認する操作が必要になります。

Q. 国産であることには、実務上どんな意味がありますか

WireCanal の中継基盤は国内リージョンに配置しています。また、日本の事業者が、契約とサポートを日本語で、請求を円建てで提供します。日本法人との契約、日本語でのサポート、円建て請求を選定条件とする組織にとって、これらを国内事業者との契約でまとめられる点が実務上の違いになります。なお、接続先として利用する AI サービスの処理場所やデータの取り扱いは、各 AI サービスの契約・仕様に従います。

Q. 速度の面で海外のサービスと違いはありますか

WireCanal の中継基盤は国内リージョンに配置しています。ただし実際の遅延は、利用場所・接続先の AI サービス・社内システム・インターネット経路などによって変わります。そのため、海外サービスより常に高速であるとはご案内していません。世界各地の利用者への配信やグローバルな拠点構成を重視される場合は、世界規模のネットワークを持つサービスが適することがあります。

Q. 対応している OS を教えてください

Windows と Linux です。接続アプリは 1 つのファイルだけで動き、追加のソフトウェアは必要ありません。Windows ではコマンド 1 つでサービスとして登録でき、パソコンの起動時に自動で立ち上がります。Linux では systemd で常駐させます。macOS 版は現在検証中のため、正式対応としての告知は行っておりません。

Q. 導入作業はどの程度必要ですか

接続アプリの取得と初期設定は、ご案内する 1 行のコマンドから開始できます。その後、canal の作成、転送先と公開するツールの設定、Claude など接続先 AI への登録を行います。所要時間はネットワーク環境・社内の承認手続き・既存 MCP サーバーの準備状況によって異なるため、一律の導入時間はご案内していません。

参照した各社の公開情報(2026年8月4日確認)

  • ngrok 料金・無料プランの制限:https://ngrok.com/pricing
  • ngrok の MCP ゲートウェイ公式ガイド:https://ngrok.com/docs/using-ngrok-with/using-mcp
  • ngrok 接続拠点:https://ngrok.com/docs/universal-gateway/points-of-presence/
  • Cloudflare Tunnel の接続方式:https://developers.cloudflare.com/cloudflare-one/connections/connect-networks/
  • Cloudflare MCP Server Portals:https://developers.cloudflare.com/cloudflare-one/access-controls/ai-controls/mcp-portals/
  • TryCloudflare の位置づけ:https://developers.cloudflare.com/cloudflare-one/connections/connect-networks/do-more-with-tunnels/trycloudflare/
  • Cloudflare Tunnels FAQ(Partial Setup ほか):https://developers.cloudflare.com/cloudflare-one/faq/cloudflare-tunnels-faq/
  • Cloudflare Zero Trust のログと保持期間:https://developers.cloudflare.com/cloudflare-one/insights/logs/
  • Cloudflare Zero Trust 料金:https://www.cloudflare.com/plans/zero-trust-services/

本資料に関するお問い合わせ:株式会社Qualiteg https://wirecanal.com/contact

ngrok は ngrok, Inc.、Cloudflare は Cloudflare, Inc. の商標です。他社に関する記載は、各社の公開情報に基づくものです。