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大企業のAIセキュリティを支える基盤技術 - 今こそ理解するActive Directory 第6回 よくある問題と解決方法

LLM セキュリティ

大企業のAIセキュリティを支える基盤技術 - 今こそ理解するActive Directory 第6回 よくある問題と解決方法

こんにちは、今回はシリーズ第6回トラブルシューティング - よくある問題と解決方法 について解説いたします! さて、前回(第5回)は、統合Windows認証がブラウザでどのように動作するかを解説しました。 「イントラネットゾーン」という概念を理解することで、同じサーバーでもURLの書き方(NetBIOS名、FQDN、IPアドレス)によって認証動作が変わる理由が明確になったかと思います。また、Chrome/Firefoxではデフォルトで統合認証が無効になっている理由と、グループポリシーによる一括設定方法も学びました。 しかし、設定が完璧なはずなのに「なぜかうまく動かない」という場面は、実際の現場では必ず訪れます。 「最近、ファイルサーバーへのアクセスが遅い」「金曜日は使えたのに、月曜日の朝にログインできない」「特定のサービスだけKerberosが失敗する」——これらはヘルプデスクに日々寄せられる典型的な問い合わせです。 原因はKerberosの失敗、時刻のずれ、SPNの設定ミス、DNS関連の問題など多岐にわたりますが、体系的にトラブルシューティングすることで必ず解決できます。

By Qualiteg コンサルティング, Qualiteg AIセキュリティチーム
AIエージェントを"事業に載せる"ために【第2回】AIエージェントの責任分解はなぜ難しいのか

AIエージェント

AIエージェントを"事業に載せる"ために【第2回】AIエージェントの責任分解はなぜ難しいのか

— AI導入を"事業に載せる"ために、いま設計すべきこと(全3回) こんにちは!Qualitegコンサルティングチームです! 前回(第1回)では、Replit/Lemkin事件とDeloitte豪州政府報告書問題を通じて、AIエージェント導入の課題がモデル性能ではなく「権限・監査・責任の設計不在」にあることを見ました。 では、実際に事故が起きたとき、責任は誰が負うのでしょうか。第2回となる本記事では、法務・契約・組織の3つの観点から、AIエージェントの責任分解がなぜ難しいのかを構造的に整理します。 結論を先に言えば、法務だけでも契約だけでも組織論だけでも足りません。この3つを接続して設計しなければ、AIエージェントの責任分解は実務上機能しません。 1. 法的フレームワーク:複数の法理論が並走している AIエージェントが損害を出したとき、どの法理論で責任が問われるかについて、現時点でグローバルなコンセンサスは形成されていません。 Clifford Chanceの論考は、この状況の根本的な難しさを整理しています。法律は歴史的に、有害な行為がいつどのように発生したかを特定でき

By Qualiteg コンサルティング
AIエージェントを"事業に載せる"ために【第1回】

AIエージェント

AIエージェントを"事業に載せる"ために【第1回】

AI導入事故は何を示しているのか — AI導入を"事業に載せる"ために、いま設計すべきこと(全3回) こんにちは!Qualitegコンサルティングチームです! AIエージェントを導入する企業が増える一方で、 「試してみる」段階から「事業に載せる」段階へ進める難しさ が、はっきり見え始めています。 本シリーズでは、AIエージェント導入を技術論だけでなく、責任分解・監査可能性・契約・運用統制を含む業務設計の問題として整理します。 全3回を通じて、「AIが賢いかどうか」ではなく、「AIを業務に載せるために何を設計するか」を考えていきます。 第1回となる本記事では、2025年に起きた2つの事例を出発点に、なぜいま「責任設計」が問題になっているのかを見ていきます。 上図は、本シリーズ全体で扱う論点の全体像です。 AIエージェントの導入は、技術的なモデル選定だけでは完結せず、権限設計、契約、監査、品質監視、保険、異常時対応まで含めた設計が必要になります。 第1回ではまず、なぜこうした設計が求められるようになったのかを、実際の事例から見ていきたいとおもいます なお、本シリー

By Qualiteg コンサルティング
PII検出の混同行列では見えないもの ― 認識器間衝突と統合テスト

LLM セキュリティ

PII検出の混同行列では見えないもの ― 認識器間衝突と統合テスト

こんにちは!Qualiteg研究部です! 個人情報(PII: Personally Identifiable Information)の自動検出は、テキスト中から特定の表現を抽出し、それがどの種類のPIIに当たるかを判定する問題として捉えることができます。 電話番号、人名、口座番号、金額表現など、検出対象のPIIタイプが増えるにつれて、単一の手法ではカバーしきれなくなり、性質の異なる複数の認識器(Recognizer)を組み合わせるマルチレイヤー構成が採用されるのが一般的です。 本稿で想定しているのは、ユーザーが海外製LLMにチャットを送信する直前に、その内容に個人情報や機密情報が含まれていないかをリアルタイムに検査するユースケースです。 この場面では、検出精度だけでなく、送信体験を損ねない速度が不可欠です。 高精度なLLMやBERT系モデル、NERベースの手法は有力ですが、送信前チェックの第一層として常時適用するには、レイテンシやコストの面で不利になることがあります。 そのため、本システムでは、正規表現、辞書、軽量なルールベース認識器を組み合わせた超高速な第一層を設け、そ

By Qualiteg 研究部, Qualiteg AIセキュリティチーム
日本語対応 LLMランキング2026 ~ベンチマーク分析レポート~(3月6日版)

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日本語対応 LLMランキング2026 ~ベンチマーク分析レポート~(3月6日版)

はじめに 本レポートは、Nejumi Leaderboard 4のベンチマークデータ(2026/3/6版)に基づいて、日本語対応LLMの性能を総合的に分析したものです。 前回は 2025/12/18 版の分析レポート を公開しましたが、約3か月でまたもや大きな変動がありました! (定期的に最新LLMランキングを更新してまいります。当社のX(旧Twitter)をフォローいただくことで更新情報を受け取り可能です) Nejumi Leaderboard 4は、日本語タスクにおけるLLMの性能を多角的に評価する信頼性の高いベンチマークとして知られています。 本分析では、商用APIモデルとオープンモデルの両方を対象に、それぞれの特徴や傾向を詳しく見ていきます。 オープンソースモデルについて Weightがオープンなモデルは場合によっては「オープンソースモデル」、「OSSモデル」と呼ばれますが、モデルによっては「オープンソース」と呼ぶには不十分な場合があるため本稿では、「オープンソースモデル」ではなく「オープンモデル」と表現しています。 ベンチマーク分析について 本レポートは

By Qualiteg コンサルティング, Qualiteg プロダクト開発部
日経トレンディ 2026年4月号に Bestllam の広告を掲載しました

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日経トレンディ 2026年4月号に Bestllam の広告を掲載しました

こんにちは! このたび、日経トレンディ 2026年4月号(2026年3月4日発売、雑誌)に、当社のエンタープライズ向け統合型AIプラットフォーム「Bestllam」を掲載しました。 日経トレンディ(雑誌)は全国の書店・コンビニエンスストアにてお買い求めいただけますので、お手に取った際はぜひご覧くださいませ。 Bestllam とは? Bestllam は、「チャットで指示するだけ。仕事が終わっている。」をコンセプトに開発した、エンタープライズ向けの統合型AIプラットフォームです。 主な特長 20種類以上のLLMを、契約一本で OpenAI GPT、Anthropic Claude、Google Gemini をはじめ、DeepSeek、Qwen、Llama など商用・オープンソース合わせて20種類以上のLLMを1つの契約で利用できます。各プロバイダと個別に契約を結ぶ手間が不要になります。 6つのLLMに同時質問して、最適な答えを選択 同じ質問を複数のLLMに一括投げかけ、回答を比較・検討できます。各モデルの得意・不得意を活かすことで、重要な意思決定や精度が求められる業

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AIプラットフォーマーの垂直統合と、残された戦略オプション

生成AI最前線

AIプラットフォーマーの垂直統合と、残された戦略オプション

こんにちは! Qualitegコンサルティングチームです! 2026年現在、LLMの最大のユースケースの一つはコーディングだと考えています。実際、Menlo Venturesの調査でもコーディングはエンタープライズAI活用の代表的ユースケースとして位置づけられています。 そして、それにきづいたAIプラットフォーマー各社は自前のAIコーディングツールを次々と発表し人気を博しています。 逆にいえば、そのユースケースを早期に発見しプロダクト化してきた"コーディングSaaS"の開発企業は「胴元」であるAIプラットフォーマーが自分たちのSaaS領域に進出してきているわけで気が気でないでしょう。 ということで、本日はAIプラットフォーマーによる垂直統合と、私たちの取りうる戦略オプションについて考えてみたいと思います。 さて、2025年は、AIコーディングエージェント市場の勢力図が決定的に書き換えられた年でした。 Anthropicの「Claude Code」は2025年2月のリサーチプレビューから始まり、わずか半年で年換算ランレート(ARR)10億ドルに到達。 2026年初頭のア

By Qualiteg コンサルティング
KVキャッシュのオフロード戦略とGQAの実践的理解

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KVキャッシュのオフロード戦略とGQAの実践的理解

こんにちは! LLM推論基盤プロビジョニング講座、今回は番外編をお届けします! 第3回「使用モデルの推論時消費メモリ見積もり」では、GPUメモリ消費の二大要素としてモデルのフットプリントとKVキャッシュを紹介し、1トークンあたりのKVキャッシュサイズの計算方法を解説しました。 また第4回「推論エンジンの選定」ではvLLMやDeepSpeedなど各推論エンジンの特性を比較し、第5回では量子化や並列化による最適化戦略を解説してきました。 しかし、実はKVキャッシュにはまだまだ掘り下げるべきトピックがあります。 * KVキャッシュをGPUのVRAMからCPU RAMやディスクにオフロードしたらどうなるのか? どのくらい遅くなるのか? * HuggingFace TransformersとvLLMでは、KVキャッシュの管理方針がなぜ根本的に異なるのか? * そもそもKVキャッシュが大きくなる原因であるアテンション構造を変えてしまう GQA(Grouped-Query Attention)とは何か? 第5回で紹介した量子化とは別の軸で、KVキャッシュを劇的に小さくする技術です。

By Qualiteg プロダクト開発部, Qualiteg コンサルティング
Python と JavaScript で絵文字の文字数が違う!サロゲートペアが引き起こす位置ずれバグの話

Python

Python と JavaScript で絵文字の文字数が違う!サロゲートペアが引き起こす位置ずれバグの話

こんにちは! Qualitegプロダクト開発部です! PII(個人情報)検出のデモアプリを開発していて、検出したエンティティの位置をハイライト表示する機能を実装していました。 バックエンドは Python(FastAPI)、フロントエンドは JavaScript という構成です。 ある日、テストデータにこんなメール文面を使ったところ、ハイライトの位置が途中から微妙にずれるバグに遭遇しました。 鈴木一郎 様 いつもお世話になっております。 サンプル商事の佐藤でございます。 先日の件、確認が取れましたのでご連絡いたします。 お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほど宜しくお願い致します。 💻 #オンラインでのお打ち合わせ、お気軽に声がけください! ―――――――――――――――――――――――――――――― サンプル商事株式会社 営業部 第一課 山田 太郎 (Yamada Taro) 〒100-0001 東京都千代田区千代田1-1-1 サンプルビル 3F tel: 03-1234-5678 https://example.com/contact 検出結果をハイライト表示

By Qualiteg プロダクト開発部
「AIを作る国」から「AIで勝つ国」へ ── 日本のAI投資戦略を再設計する【前編】── 国産LLM・データセンター・データ主権の現在地を検証する

AI-Business

「AIを作る国」から「AIで勝つ国」へ ── 日本のAI投資戦略を再設計する【前編】── 国産LLM・データセンター・データ主権の現在地を検証する

こんにちは! 2025年から2026年にかけて、日本のAI関連投資が急速に動いています。 国産LLMの開発、データセンターの建設ラッシュ、政府による支援策の拡充。「日本もAIで遅れを取るわけにはいかない」という危機感が、はっきりと数字に表れています。 この動き自体は歓迎すべきことですし、何もしないよりずっといい。 ただ、日々 AI活用の現場に立ち会っている中で、ちょっとした違和感を覚えることがあります。 予算は動いている。 意思もある。 でも、この方向で大丈夫なんだろうか、と。 もちろん未来のことは誰にもわかりません。 ただ、公開されているデータを並べてみると、少なくとも「ちょっと立ち止まって考えてみてもいいんじゃないか」と思える材料がいくつか見えてきます。 本稿では前後編に分けて、その材料を整理してみます。 前編では国産LLM、データセンター投資、データ主権の3テーマ。 後編では「SaaS is Dead」の構造変化と、この環境下でどういうポジションの取り方がありえるかを考えます。 第1章:国産LLMの現在地 ── 規模の話をしよう 国内の大手通信事業

By Qualiteg コンサルティング
大企業のAIセキュリティを支える基盤技術 - 今こそ理解するActive Directory 第5回 ブラウザ設定と認証

IT & AIテクノロジー

大企業のAIセキュリティを支える基盤技術 - 今こそ理解するActive Directory 第5回 ブラウザ設定と認証

こんにちは、今回はシリーズ第5回「ブラウザ設定と認証」について解説いたします! さて、前回(第4回)では、プロキシサーバーをドメインに参加させることで、ChatGPTやClaudeへのアクセスを「誰が」行ったかを確実に特定する仕組みを解説しました。「信頼の連鎖」の概念や、Windows版Squidなら1時間で構築できる環境、Negotiate/NTLM/Basicという3段階の認証フォールバック機構について理解いただけたかと思います。 しかし、せっかくサーバー側で完璧な統合Windows認証環境を構築しても、ブラウザ側の設定が適切でなければ、ユーザーには毎回パスワード入力ダイアログが表示されてしまいます。 「Edgeだと自動でログインできるのに、Chromeだとパスワードを聞かれる」 「同じサーバーなのにURLの書き方で動作が違う」 これらはヘルプデスクに寄せられる典型的な問い合わせです。(ただ、業務に好きなブラウザ使っていいよ、という企業はそんなに多くはないとおもいます) 今回は、統合Windows認証がブラウザでどのように動作するのか、その仕組みから各ブラウザ(Edge/

By Qualiteg AIセキュリティチーム, Qualiteg コンサルティング
スライドパズルを解くAIから学ぶ、「考える」の正体

AI数理

スライドパズルを解くAIから学ぶ、「考える」の正体

こんにちは! 「このパズル、AIの教科書に載ってるらしいよ」 子供の頃に遊んだスライドパズル。いや、大人が遊んでも楽しいです。 数字のタイルをカチャカチャ動かして揃えるあれです。実はこのシンプルなパズルが、AI研究の出発点のひとつだったって知ってました? 今回は、このパズルを題材に「AIがどうやって考えているのか」を解き明かしていきます。しかも、ここで使われている手法は、Google Mapsの経路探索からChatGPTまで、現代の様々な技術のベースになっているんです。 まず遊んでみよう 理屈の前に、まずは感覚を思い出してみてください。 最初に shuffle をクリックすると、配置がシャッフルされゲームを開始できます。 ちなみに必ず解くことができるようになっていますが、慣れていないとそれなりに難しいかもしれません。 どうでしょう? 何手でクリアできましたか? クリアできなくても大丈夫です。記事後半で、実際にAIが解いてくれる機能つきゲームも掲載しています^^ 以下は動画です。本ブログで紹介するアルゴリズムで実際にパズルを解く様子をご覧いただけます

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