【極めればこのテンソル操作 】NumPy配列の縦マージ方法:5つのアプローチ

【極めればこのテンソル操作 】NumPy配列の縦マージ方法:5つのアプローチ
Photo by Iva Rajović / Unsplash

こんにちは!

今日は、NumPyにおける配列の縦マージについてご説明いたします!

ご存じの通りNumPyは、Pythonで科学的計算を行うための強力なライブラリです。

複数のNumPy配列を縦にマージして大きな配列を作成する方法について、5つの異なるアプローチを詳しく見ていきましょう。

具体的には、(N,128)と(M,128)の形状を持つ複数のNumPy配列が格納されたPythonのリストから、(N+M,128)の形状を持つ単一のNumPy配列を作成する方法を説明します。

1. np.vstack() を使用する方法

np.vstack() 関数は、垂直方向(行方向)に配列をスタックするための関数です。

import numpy as np

list_of_arrays = [
    np.random.rand(3, 128),
    np.random.rand(2, 128)
]

merged_array = np.vstack(list_of_arrays)
print(merged_array.shape)  # (5, 128)

特徴

  • v(vertical縦に)にstack(積む)ということでメソッド名がとてもシンプルで直感的ですね。

使用場面

  • 複数の2次元配列を縦に結合する一般的なケース
  • メモリ効率と速度が重要な場合

2. np.concatenate() を使用する方法

np.concatenate() 関数も配列同士のマージでよく登場します。vstackよりももっと汎用性が高く指定した軸(axis)に沿って配列を結合します。

この関数の重要なパラメータの1つが axis です。

ただ、「軸ってなにさ?」と最初は戸惑うかもしれません、ので、少し軸についてもこまかくみていきましょう。

import numpy as np

list_of_arrays = [
    np.random.rand(3, 128),
    np.random.rand(2, 128)
]

merged_array = np.concatenate(list_of_arrays, axis=0)
print(merged_array.shape)  # (5, 128)

axis=0 の詳細な説明

NumPyにおいて、axisは配列の次元を指定するパラメータです。

たとえば2次元配列の場合は

  • axis=0 は最初の次元(行)に沿って操作を行います。
  • axis=1 は2番目の次元(列)に沿って操作を行います。

たとえばaxis=0 を指定すると、以下のような動作になります:

  1. 配列を「縦方向」に結合します。
  2. 最初の次元(行数)が増加します。
  3. 2番目の次元(列数)は変わりません。

視覚的に表すと次のようになります:

Array1 (3x128):  [ ][ ][ ]    
                 [ ][ ][ ]    
                 [ ][ ][ ]    

Array2 (2x128):  [ ][ ][ ]
                 [ ][ ][ ]

Merged (5x128):  [ ][ ][ ]    (Array1)
                 [ ][ ][ ]    
                 [ ][ ][ ]    
                 [ ][ ][ ]    (Array2)
                 [ ][ ][ ]

axis=1 との比較

対照的に、axis=1 を使用すると

  1. 配列を「横方向」に結合します。
  2. 最初の次元(行数)は変わりません。
  3. 2番目の次元(列数)が増加します。
# 注意:この例では、入力配列の形状を変更しています
array1 = np.random.rand(3, 64)
array2 = np.random.rand(3, 64)
merged_horizontal = np.concatenate([array1, array2], axis=1)
print(merged_horizontal.shape)  # (3, 128)

視覚的には:

Array1 (3x64):  [ ][ ][ ]
                [ ][ ][ ]
                [ ][ ][ ]

Array2 (3x64):  [ ][ ][ ]
                [ ][ ][ ]
                [ ][ ][ ]

Merged (3x128): [ ][ ][ ][ ][ ][ ]
                [ ][ ][ ][ ][ ][ ]
                [ ][ ][ ][ ][ ][ ]

使用上の注意点

  • axis=0 を使用する場合、結合する配列の列数(2番目の次元)が同じである必要があります。
  • axis を指定しない場合、デフォルトで axis=0 が使用されます。
  • 3次元以上の配列の場合、axis の値とその効果はより複雑になります。

特徴

  • 柔軟性が高い(軸を指定可能)のが特徴ですね。axisの指定により3次元以上まで拡張できます。

使用場面

  • 結合する軸を動的に変更したい場合
  • 複数の次元で結合操作を行う必要がある場合
  • データの構造や処理の要件に応じて柔軟に対応したい場合

(おまけ) 3. リスト内包表記と np.row_stack() を使用する方法

np.row_stack()np.vstack() のエイリアスですが、リスト内包表記と組み合わせることで、より表現力の高いコードを書くことができます。

import numpy as np

list_of_arrays = [
    np.random.rand(3, 128),
    np.random.rand(2, 128)
]

merged_array = np.row_stack([arr for arr in list_of_arrays])
print(merged_array.shape)  # (5, 128)

特徴

  • Pythonic な書き方をめざしたい人向け。

使用場面

  • 結合前に配列に対して操作を行いたい場合。

(おまけ) 4. np.r_ を使用する方法

np.r_ は、配列を行方向に結合するための簡潔な構文を提供します。

import numpy as np

list_of_arrays = [
    np.random.rand(3, 128),
    np.random.rand(2, 128)
]

merged_array = np.r_[tuple(list_of_arrays)]
print(merged_array.shape)  # (5, 128)

特徴

  • 非常に簡潔な構文ですが、可読性の点でわざわざこの書き方をしなくてもよいきもします。

使用場面

  • どうしてもこの書き方がかっこいいとおもうとき。

(おまけ) 5. ループを使用して手動で結合する方法

この方法は、結合プロセスを完全に制御したい場合に有用です。

import numpy as np

list_of_arrays = [
    np.random.rand(3, 128),
    np.random.rand(2, 128)
]

total_rows = sum(arr.shape[0] for arr in list_of_arrays)
merged_array = np.zeros((total_rows, 128))

current_row = 0
for arr in list_of_arrays:
    n_rows = arr.shape[0]
    merged_array[current_row:current_row+n_rows] = arr
    current_row += n_rows

print(merged_array.shape)  # (5, 128)

まとめ

おまけも含めて5つご紹介いたしましたが、一般的には、np.vstack()np.concatenate() が最も効率的かつ頻出かとおもいます。

それでは、また次回お会いしましょう!

Read more

Python と JavaScript で絵文字の文字数が違う!サロゲートペアが引き起こす位置ずれバグの話

Python と JavaScript で絵文字の文字数が違う!サロゲートペアが引き起こす位置ずれバグの話

こんにちは! Qualitegプロダクト開発部です! PII(個人情報)検出のデモアプリを開発していて、検出したエンティティの位置をハイライト表示する機能を実装していました。 バックエンドは Python(FastAPI)、フロントエンドは JavaScript という構成です。 ある日、テストデータにこんなメール文面を使ったところ、ハイライトの位置が途中から微妙にずれるバグに遭遇しました。 鈴木一郎 様 いつもお世話になっております。 サンプル商事の佐藤でございます。 先日の件、確認が取れましたのでご連絡いたします。 お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほど宜しくお願い致します。 💻 #オンラインでのお打ち合わせ、お気軽に声がけください! ―――――――――――――――――――――――――――――― サンプル商事株式会社 営業部 第一課 山田 太郎 (Yamada Taro) 〒100-0001 東京都千代田区千代田1-1-1 サンプルビル 3F tel: 03-1234-5678 https://example.com/contact 検出結果をハイライト表示

By Qualiteg プロダクト開発部
大企業のAIセキュリティを支える基盤技術 - 今こそ理解するActive Directory 第5回 ブラウザ設定と認証

大企業のAIセキュリティを支える基盤技術 - 今こそ理解するActive Directory 第5回 ブラウザ設定と認証

こんにちは、今回はシリーズ第5回「ブラウザ設定と認証」について解説いたします! さて、前回(第4回)では、プロキシサーバーをドメインに参加させることで、ChatGPTやClaudeへのアクセスを「誰が」行ったかを確実に特定する仕組みを解説しました。「信頼の連鎖」の概念や、Windows版Squidなら1時間で構築できる環境、Negotiate/NTLM/Basicという3段階の認証フォールバック機構について理解いただけたかと思います。 しかし、せっかくサーバー側で完璧な統合Windows認証環境を構築しても、ブラウザ側の設定が適切でなければ、ユーザーには毎回パスワード入力ダイアログが表示されてしまいます。 「Edgeだと自動でログインできるのに、Chromeだとパスワードを聞かれる」 「同じサーバーなのにURLの書き方で動作が違う」 これらはヘルプデスクに寄せられる典型的な問い合わせです。(ただ、業務に好きなブラウザ使っていいよ、という企業はそんなに多くはないとおもいます) 今回は、統合Windows認証がブラウザでどのように動作するのか、その仕組みから各ブラウザ(Edge/

By Qualiteg AIセキュリティチーム, Qualiteg コンサルティング
スライドパズルを解くAIから学ぶ、「考える」の正体

スライドパズルを解くAIから学ぶ、「考える」の正体

こんにちは! 「このパズル、AIの教科書に載ってるらしいよ」 子供の頃に遊んだスライドパズル。いや、大人が遊んでも楽しいです。 数字のタイルをカチャカチャ動かして揃えるあれです。実はこのシンプルなパズルが、AI研究の出発点のひとつだったって知ってました? 今回は、このパズルを題材に「AIがどうやって考えているのか」を解き明かしていきます。しかも、ここで使われている手法は、Google Mapsの経路探索からChatGPTまで、現代の様々な技術のベースになっているんです。 まず遊んでみよう 理屈の前に、まずは感覚を思い出してみてください。 最初に shuffle をクリックすると、配置がシャッフルされゲームを開始できます。 ちなみに必ず解くことができるようになっていますが、慣れていないとそれなりに難しいかもしれません。 どうでしょう? 何手でクリアできましたか? クリアできなくても大丈夫です。記事後半で、実際にAIが解いてくれる機能つきゲームも掲載しています^^ 以下は動画です。本ブログで紹介するアルゴリズムで実際にパズルを解く様子をご覧いただけます

By Qualiteg 研究部
楽観的ロック vs 悲観的ロック:実際のトラブルから学ぶ排他制御

楽観的ロック vs 悲観的ロック:実際のトラブルから学ぶ排他制御

こんにちは! Qualitegプロダクト開発部です! 「楽観的ロックを実装したのに、まだ競合エラーが出るんですけど...」 これは私たちが実際に経験したことです。 本記事では、楽観的ロックと悲観的ロックの違いを、実際に発生したトラブルを通じて解説します。 抽象的な説明ではなく、 「なぜそれが必要なのか」「どんな問題を解決できるのか」 を実感できる内容を目指します。 目次 1. 問題の背景:並列処理で謎のエラー 2. ロックなしの世界:なぜ競合が起きるのか 3. 楽観的ロックの導入:期待と現実 4. 楽観的ロックの限界:解決できなかった問題 5. 悲観的ロックによる解決 6. 実装時のハマりポイント 7. どちらを選ぶべきか:判断基準 8. まとめ 1. 問題の背景:並列処理で謎のエラー 1.1 システムの概要 私たちが開発していたのは、 複数のワークスペースを切り替えて使用するAPIサーバー でした。 当社AI関係のプロダクトの一部だったのですが、結合テスト兼負荷テストを実行すると、まれに発生してしまっていました。 ユーザーは複数のワーキン

By Qualiteg プロダクト開発部