【極めればこのテンソル操作 】reshape(N,-1)

【極めればこのテンソル操作 】reshape(N,-1)
Photo by Sunguk Kim / Unsplash

NumPy reshape: データ形状を自在に操る方法

NumPyのreshape関数は、多次元配列の形状を変更する強力なツールです。この記事では、reshapeの基本的な使い方から応用まで、具体例を交えて詳しく解説します。

1. reshape の基本

reshapeは、配列の要素数を変えずに形状を変更します。

import numpy as np

# 1次元配列を作成
arr = np.array([1, 2, 3, 4, 5, 6])
print("Original array:", arr)
print("Shape:", arr.shape)

# 2x3の2次元配列に変形
reshaped = arr.reshape(2, 3)
print("\nReshaped to 2x3:")
print(reshaped)
print("New shape:", reshaped.shape)

# 出力:
# Original array: [1 2 3 4 5 6]
# Shape: (6,)
# 
# Reshaped to 2x3:
# [[1 2 3]
#  [4 5 6]]
# New shape: (2, 3)

2. 「-1」 の使用

-1を使用すると、その次元のサイズを自動的に計算させることができます。

# 3x2の2次元配列に変形
reshaped_auto = arr.reshape(3, -1)
print("Reshaped to 3x2:")
print(reshaped_auto)
print("Shape:", reshaped_auto.shape)

# 出力:
# Reshaped to 3x2:
# [[1 2]
#  [3 4]
#  [5 6]]
# Shape: (3, 2)

3. 多次元配列の reshape

多次元配列も簡単に形状を変更できます。

# 3D配列を作成
arr_3d = np.arange(24).reshape(2, 3, 4)
print("3D array:")
print(arr_3d)
print("Shape:", arr_3d.shape)

# 4x6の2D配列に変形
reshaped_2d = arr_3d.reshape(4, 6)
print("\nReshaped to 4x6:")
print(reshaped_2d)
print("New shape:", reshaped_2d.shape)

# 出力:
# 3D array:
# [[[ 0  1  2  3]
#   [ 4  5  6  7]
#   [ 8  9 10 11]]
# 
#  [[12 13 14 15]
#   [16 17 18 19]
#   [20 21 22 23]]]
# Shape: (2, 3, 4)
# 
# Reshaped to 4x6:
# [[ 0  1  2  3  4  5]
#  [ 6  7  8  9 10 11]
#  [12 13 14 15 16 17]
#  [18 19 20 21 22 23]]
# New shape: (4, 6)

4. .mat ファイルの読み込みと reshape

私たちは、モデルのエンジニアリングのときによく Matlab データを使用します。Matlab形式データは mat ファイル(.matファイル)とよばれ、汎用性に富んだデータ形式です。

.matファイルから読み込んだデータの形状を調整する例を見てみましょう。

from scipy.io import loadmat

# .matファイルを読み込む(ファイルが存在すると仮定)
mat_data = loadmat('example.mat')
data = mat_data['some_key']

print("Original shape:", data.shape)

# 期待される形状に reshape
expected_shape = (273, 260)
reshaped_data = data.reshape(expected_shape)

print("Reshaped data shape:", reshaped_data.shape)

# 出力:
# Original shape: (70980,)
# Reshaped data shape: (273, 260)

この例では、loadmatで読み込んだデータが1次元にスクイーズされていても、reshapeを使って元の2次元形状に戻すことができます。

5. スクイーズの有無に関わらない安全な reshape

.matファイルの読み込みや他の処理の結果、データがスクイーズされている(次元が減少している)場合でも、reshapeを使って安全に目的のサイズに変形できます。以下の例で、スクイーズされたデータと元の形状のデータの両方に対して同じreshape操作を適用する方法を示します。

import numpy as np
from scipy.io import savemat, loadmat

# オリジナルデータ (2D)
original_data = np.arange(24).reshape(4, 6)
print("Original data shape:", original_data.shape)

# .matファイルに保存
savemat('test_data.mat', {'data': original_data})

# 1. スクイーズされたケース(1D)
squeezed_data = loadmat('test_data.mat')['data'].squeeze()
print("Squeezed data shape:", squeezed_data.shape)

# 2. 2Dで読み込まれたケース
normal_data = loadmat('test_data.mat')['data']
print("Normal loaded data shape:", normal_data.shape)

# 両方のケースに同じreshape操作を適用
target_shape = (4, 6)

reshaped_squeezed = squeezed_data.reshape(target_shape)
reshaped_normal = normal_data.reshape(target_shape)

print("Reshaped from squeezed shape:", reshaped_squeezed.shape)
print("Reshaped from normal shape:", reshaped_normal.shape)

# 元のデータと同じかチェック
print("Squeezed data reshaped correctly:", np.array_equal(original_data, reshaped_squeezed))
print("Normal data reshaped correctly:", np.array_equal(original_data, reshaped_normal))

# 出力:
# Original data shape: (4, 6)
# Squeezed data shape: (24,)
# Normal loaded data shape: (4, 6)
# Reshaped from squeezed shape: (4, 6)
# Reshaped from normal shape: (4, 6)
# Squeezed data reshaped correctly: True
# Normal data reshaped correctly: True

この例から分かるように、reshape操作は非常に柔軟です:

  1. スクイーズされたデータ(1次元)に対しても、
  2. 元の2次元形状のデータに対しても、

同じreshape(4, 6)操作を適用することで、目的の形状に変形できます。

なぜこれが機能するのか

  1. 要素数の保存: reshapeは配列の要素の総数を変更しません。元の総要素数と同じであれば、任意の形状に変更できます。
  2. メモリレイアウト: NumPyは内部的にデータを1次元配列として格納しています。多次元配列は実質的にこの1次元配列の「ビュー」です。そのため、次元数に関係なく柔軟に形状を変更できます。
  3. 順序の保持: reshapeは元の配列の要素順序を保持します。スクイーズされていても元の順序は維持されているため、正しく形状を戻すことができます。

注意点

  • 総要素数が一致していることが前提です。一致していない場合はValueErrorが発生します。
  • 大きな配列の場合、パフォーマンスに影響する可能性があるため、必要に応じて最適化を検討しましょう。

この方法を採用することで、データの読み込み方法や前処理の違いに関わらず、常に期待される形状にデータを整形できます。これにより、後続の処理を安定させ、コードの他の部分に影響を与えずにデータの一貫性を保つことができます。

まとめ

reshapeは、NumPyの中でも特に便利で強力な関数の一つです。データの前処理、機械学習モデルへの入力準備、データ可視化など、様々な場面で活躍します。正しく使用することで、複雑なデータ構造も簡単に操作できるようになります。

ポイントを押さえておけば、reshapeを使いこなすのは難しくありません:

  1. 元の配列の要素数と新しい形状の要素数が一致している必要があります。
  2. -1を使って、1つの次元のサイズを自動計算させることができます。
  3. 多次元配列も簡単に形状を変更できます。
  4. スクイーズされたデータでも、元の形状のデータでも、同じreshape操作で目的の形状に変形できます。
  5. .matファイルの読み込みなど、データ形式の変換時にも便利です。
  6. 他のNumPy操作と組み合わせることで、より柔軟なデータ操作が可能になります。

reshapeを使いこなすことで、データ解析や機械学習のワークフローをよりスムーズにすることができるでしょう。特に、データの形状が不確実な場合でも、reshapeを使って安全に目的の形状に変形できることを覚えておくと、多くの場面で役立つはずです。

参考. reshape と他の操作の組み合わせ

reshapeは他のNumPy操作と組み合わせて使用することもできます。

# 転置と組み合わせる
transposed = arr.reshape(2, 3).T
print("Reshaped and transposed:")
print(transposed)
print("Shape:", transposed.shape)

# フラット化と組み合わせる
flattened = arr_3d.reshape(-1)
print("\nFlattened 3D array:")
print(flattened)
print("Shape:", flattened.shape)

# 出力:
# Reshaped and transposed:
# [[1 4]
#  [2 5]
#  [3 6]]
# Shape: (3, 2)
# 
# Flattened 3D array:
# [ 0  1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23]
# Shape: (24,)

Read more

GPUメモリ最適化の深層:初回と最終バッチの特殊性を踏まえた効率的なAI画像処理

GPUメモリ最適化の深層:初回と最終バッチの特殊性を踏まえた効率的なAI画像処理

はじめに こんにちは!Qualitegプロダクト開発部です。 当社では、LLMテクノロジーをベースとしたAIキャラクター、AIヒューマンの研究開発を行っています。そんな中、表情、仕草のように「人間らしさ」をもったバーチャルヒューマンを再現するときには画像生成、画像編集といったAIを活用した画像処理が必要となります。 人と対話するAIヒューマンやバーチャルヒューマンはタイムリーに表情や仕草を生成する必要があるため、複数の画像をフレーム連結してつくるモーション(シンプルにいうと動画)を短時間に生成する必要があります。 このようなとき、AIトレーニングやシンプルな推論とは異なり、いかにGPUの能力を引き出してやるか「GPUの使いこなし術」がミソとなります。 GPUの使いこなし術というと、以前のブログにも連続バッチやダイナミックバッチについてLLM推論のコンテクストで語りましたが、本日は画像処理におけるGPUメモリ最適化、とくに、推論時バッチにおける「初回と最終回」のお作法という少しマニアックな話題について語ってみようとおもいます。 画像処理とGPU GPUを用いた画像

By Qualiteg プロダクト開発部
Qualitegセレクション:アイディア深堀編③RoundRobinの活用術

Qualitegセレクション:アイディア深堀編③RoundRobinの活用術

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。 Qualitegセレクション、アイディア深堀編もいよいよ第3弾!今回は、複数人でアイディアを発散・深堀する際に効果的な RoundRobin(ラウンドロビン) という手法をご紹介します。ブレインストーミングに行き詰まった時や、多様な視点を取り入れたい時にぜひ活用してみてください。 RoundRobinとは? RoundRobinとは、様々な場面で用いられますが、大抵の場合において「持ち回り」、つまり「何かの役割・出番をたくさんの物事・人員で交替しあう」というような意味で使うことが多いです。 ここでは、参加者全員が順番にアイディアを出し、それを記録していく手法をRoundRobinと呼んでいます。順番に意見を述べることで、発言力の差による偏りをなくし、全

By Join us, Michele on Qualiteg's adventure to innovation
PyTorchバージョンとNVIDIA GPU Compute Capability Level サポート

PyTorchバージョンとNVIDIA GPU Compute Capability Level サポート

古いPyTorchコード資産を持っている会社は、昔のコードが最新のPyTorchで動かない!最新のGPUで動かない!ということに遭遇することが多いのでしょうか。 今回は、PyTorchバージョン、対応GPU Capability Level 、対応CUDAバージョンについてまとめてみます。 PyTorchがサポートするGPUの Compute Capability PyTorch バージョン サポートされる Compute Capability (SM) レベル 1.0.0 - 1.3.1 SM_35, SM_37, SM_50, SM_60, SM_61, SM_70 1.4.0 - 1.7.1 SM_37, SM_50,

By Qualiteg プロダクト開発部
Qualitegセレクション:アイディア深堀編②6W2Hの活用術

Qualitegセレクション:アイディア深堀編②6W2Hの活用術

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。 本日のテーマは6W2H Qualitegセレクションは、ユーザーエクスペリエンス(UX)向上のためのヒントやツールを紹介するシリーズです。今回は、アイディアをより具体的に、実行可能なレベルまで深堀りする手法として、6W2Hの活用術をご紹介します。 優れたUXを実現するには、ユーザーのニーズを深く理解し、それを満たすサービスやプロダクトを提供することが不可欠です。そのためには、アイディア段階で徹底的に検討し、実現可能性や課題を明確にする必要があります。 今回は、アイディアを深堀りする際に非常に役立つツール「6W2H」について詳しくご紹介します。 6W2Hとは? 6W2Hは、問題解決や状況分析のための強力なフレームワークです。以下の8つの質問から構成さ

By Join us, Michele on Qualiteg's adventure to innovation