2025年版 NVIDIA GPU まとめ

2025年版 NVIDIA GPU まとめ
Photo by Lucas Kepner / Unsplash

最新のGPU一覧をまとめました

関連エントリー:https://blog.qualiteg.com/nvidia-gpu-capability-level/

SM_100 (Blackwell)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
NVIDIA B100 16,896基 最大192GB 2024年発表 PCIe Gen6: 256GB/s パッシブ -
NVIDIA B200 33,792基 (16,896 × 2) 最大192GB 2024年発表 PCIe Gen6: 256GB/s パッシブ -
NVIDIA GB200 Grace Blackwell Superchip 67,584基 (33,792 × 2) 最大384GB 2024年発表 - パッシブ -

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GeForce RTX 5090 21,760基 32GB GDDR7 2025年 PCIe Gen5 2スロット (内排気) -
GeForce RTX 5080 10,752基 16GB GDDR7 2025年 PCIe Gen5 2スロット (内排気) -

SM_90 (Hopper)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
NVIDIA H100 16,896基 (SXM5版) 80GB HBM3 2022年 PCIe 5.0 x16 パッシブクーラー SXM5版は最大700W程度 (PCIe版はTDP 350W程度)
NVIDIA H100 NVL - 188GB HBM3 2023年頃 PCIe Gen5 128GB/s パッシブ -
NVIDIA H200 - 141GB HBM3e 2023年発表 PCIe Gen5 128GB/s パッシブ -
NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip - 96GB HBM3/144GB HBM3e 2023年頃 - パッシブ/水冷 -

SM_89 (Ada Lovelace)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
NVIDIA L4 7,424基 24GB GDDR6 2023年初頭 PCIe 4.0 x16 パッシブ TDP 72W
NVIDIA L40 18,176基 48GB GDDR6 ECC 2022年後半 PCIe 4.0 x16 パッシブクーラー 300W (最大320W設定可とも)
NVIDIA L40S 18,176基 48GB GDDR6 ECC 2023年頃 PCIe 4.0 x16 パッシブ 最大300〜320W相当?
RTX 6000 Ada Generation 18,176基 48GB GDDR6 ECC 2022年末 PCIe 4.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 300W
RTX 5000 Ada 12,800基 32GB GDDR6 ECC 2023-2024年 PCIe 4.0 x16 アクティブ(外排気) TDP 250W
RTX 4500 Ada 7,680基 24GB GDDR6 ECC 2023-2024年 PCIe 4.0 x16 アクティブ(外排気) TDP 210W
RTX 4000 Ada 6,144基 20GB GDDR6 ECC 2023-2024年 PCIe 4.0 x16 アクティブ(シングルスロット) TDP 130W
RTX 2000 Ada 2,816基 16GB GDDR6 ECC 2023-2024年 PCIe 4.0 x16 アクティブ TDP 70W

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GeForce RTX 4090 16,384基 24GB GDDR6X 2022年10月 PCIe 4.0 x16 デュアル軸ファン(内排気) TDP 450W
GeForce RTX 4080 9,728基 16GB GDDR6X 2022年11月 PCIe 4.0 x16 デュアル軸ファン(内排気) TDP 320W
GeForce RTX 4070 Ti 7,680基 12GB GDDR6X 2023年1月 PCIe 4.0 x16 デュアル軸ファン(内排気) TDP 285W
GeForce RTX 4070 5,888基 12GB GDDR6X 2023年4月 PCIe 4.0 x16 デュアル軸ファン(内排気) TDP 200W
GeForce RTX 4060 Ti 4,352基 8GB/16GB GDDR6 2023年5月/7月 PCIe 4.0 x8 デュアル軸ファン(内排気) TDP 160W
GeForce RTX 4060 3,072基 8GB GDDR6 2023年6月 PCIe 4.0 x8 デュアル軸ファン(内排気) TDP 115W
GeForce RTX 4050 - 6GB GDDR6 公式発表前 - - -

SM_86 / SM_87 (Ampere)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
NVIDIA A100 6,912基 40GB/80GB HBM2(e) 2020年 PCIe 4.0 x16 パッシブ SXM4 400W, PCIe版 250W
NVIDIA A100X - 80GB HBM2e 2021-2022年 PCIe Gen4 パッシブ -
NVIDIA A30 3,584基 24GB HBM2 2021年 PCIe 4.0 x16 パッシブ (2スロット) TDP 165W
NVIDIA A30X - 24GB HBM2e 2021-2022年 PCIe Gen4 パッシブ -
NVIDIA A40 10,752基 48GB GDDR6 ECC 2020-2021年頃 PCIe 4.0 x16 ブロワーファン/パッシブ 300W
NVIDIA A10 9,216基 24GB GDDR6 2021年 PCIe 4.0 x16 パッシブ/ブロワー(外排気) 150W
NVIDIA A16 (GPUあたり)1,280基 x4 64GB GDDR6 (16GB x4) 2021年 PCIe 4.0 x16 パッシブ (マルチGPU基板) 250W
NVIDIA A2 Tensor Core 1,280基 16GB GDDR6 2021年 PCIe 4.0 x8 パッシブ小型 60W
NVIDIA A800 40GB (中国向け) 6,912基 40GB HBM2 2022年頃 PCIe 4.0 x16 パッシブ 250W(推定、A100 40GB相当)
NVIDIA RTX A6000 10,752基 48GB GDDR6 ECC 2020-2021年頃 PCIe 4.0 x16 アクティブ 300W
NVIDIA RTX A5500 10,240基 24GB GDDR6 2021-2022年 PCIe 4.0 x16 アクティブ 230W
NVIDIA RTX A4500 7,168基 20GB GDDR6 2021-2022年 PCIe 4.0 x16 アクティブ 200W
NVIDIA RTX A4000 6,144基 16GB GDDR6 ECC 2021年 PCIe 4.0 x16 単一ブロワーファン (外排気) 140W
NVIDIA RTX A2000 3,328基 12GB GDDR6 2021年 PCIe 4.0 x16 アクティブ(小型) 70W

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GeForce RTX 3090 10,496基 24GB GDDR6X 2020年9月 PCIe 4.0 x16 2ファン (内排気) TDP 350W
GeForce RTX 3080 8,704基 10GB/12GB GDDR6X 2020年9月/2022年1月 PCIe 4.0 x16 2ファン (内排気) TDP 320W(12GB版350W)
GeForce RTX 3070 5,888基 8GB GDDR6 2020年10月 PCIe 4.0 x16 2ファン (内排気) TDP 220W
GeForce RTX 3060 3,584基 12GB GDDR6 2021年2月 PCIe 4.0 x16 2ファン (内排気) TDP 170W
GeForce RTX 3050 2,560基 8GB GDDR6 2022年1月 PCIe 4.0 x8 2ファン (内排気) TDP 130W

SM_75 (Turing)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
Quadro RTX 8000 4,608基 48GB GDDR6 2018年末頃 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン (外排気) TDP 295W
Quadro RTX 6000 4,608基 24GB GDDR6 2018年末頃 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン (外排気) TDP 250W
Quadro RTX 5000 3,072基 16GB GDDR6 2019年 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン (外排気) TDP 265W
Quadro RTX 4000 2,304基 8GB GDDR6 2018年末頃 PCIe 3.0 x16 シングルファン(軸流式) TDP 160W
T4 2,560基 16GB GDDR6 2018年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (ハーフハイト) 70W

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GeForce RTX 2080 Ti 4,352基 11GB GDDR6 2018年9月 PCIe 3.0 x16 デュアルファン (内排気) TDP 250W
GeForce RTX 2070 2,304基 8GB GDDR6 2018年10月 PCIe 3.0 x16 デュアルファン (内排気) TDP 175W
GeForce GTX 1660 Ti 1,536基 6GB GDDR6 2019年2月 PCIe 3.0 x16 (FEなし、AIBのみ) TDP 120W

SM_70 / SM_72 (Volta)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
Tesla V100 5,120基 16GB/32GB HBM2 2017年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (サーバー向け) SXM2 300W, PCIe版 250W
Quadro GV100 5,120基 32GB HBM2 2018年 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) 250W
Titan V 5,120基 12GB HBM2 2017年 PCIe 3.0 x16 ブロワー(外排気) 250W
Xavier NX (SoC) 384基 8GB LPDDR4x 2019-2020年頃 - (SoC) - (組込み向け) 10〜15W (最大15Wモード)

SM_60 / SM_61 / SM_62 (Pascal)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
Tesla P100 3,584基 12GB/16GB HBM2 2016年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (サーバー向け) SXM2 300W, PCIe版250W
Quadro GP100 3,584基 16GB HBM2 2017年 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) 235W

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GeForce GTX 1080 2,560基 8GB GDDR5X 2016年5月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 180W
GeForce GTX 1070 1,920基 8GB GDDR5 2016年6月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 150W
GeForce GTX 1060 (6GB) 1,280基 (6GB版) / 1,152基 (3GB) 3GB/6GB GDDR5 2016年7-8月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 120W (6GB版)
GeForce GTX 1050 640基 2GB/3GB GDDR5 2016年10月 PCIe 3.0 x16 (FEなし、AIB各社) 75W〜 TDP 75W前後
GeForce GTX 1030 384基 2GB GDDR5 2017年5月 PCIe 3.0 x4/x8 超小型ファン/ファンレス TDP 30W
GeForce GT 1010 256基 2GB GDDR5 2021-2022年頃 PCIe 3.0 x4? (OEM向け) -
Titan Xp 3,840基 12GB GDDR5X 2017年4月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 250W

SM_50 / SM_52 / SM_53 (Maxwell)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
Tesla M40 3,072基 (GM200) 12GB GDDR5 2015年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (サーバー用) 250W
Tesla M60 (Dual) (1GPU)2,048基 x2 合計16GB (8GB x2) 2015年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (2GPU基板) 300W
Tesla M4 1,024基 (GM206) 4GB GDDR5 2016年 PCIe 3.0 x8 パッシブ (LowProfile) 50W〜75W (構成により)
Quadro M6000 3,072基 (GM200) 12GB/24GB GDDR5 2015年 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) 250W

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GeForce GTX 980 Ti 2,816基 6GB GDDR5 2015年6月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 250W
GeForce GTX Titan X (初代Maxwell) 3,072基 12GB GDDR5 2015年3月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 250W
GeForce GTX 980 2,048基 4GB GDDR5 2014年9月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 165W
GeForce GTX 970 1,664基 4GB GDDR5(3.5+0.5GB) 2014年9月 PCIe 3.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 145W

SM_35 / SM_37 (Kepler)

データセンター/プロ向け

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
Tesla K40 2,880基 (GK110B) 12GB GDDR5 2013年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (サーバー向け) TDP 235W
Tesla K80 (1GPUあたり)2,496基 x2 (GK210) 合計24GB(12GB x2) GDDR5 2014年 PCIe 3.0 x16 パッシブ (デュアルGPU基板) 300W

SM_20 (Fermi)

GeForce

製品名 CUDAコア数 VRAM 発売年 PCIeバージョン 冷却方式 消費電力(最大/TDP)
GTX 480 (GF100) 480基 1.5GB GDDR5 2010年 PCIe 2.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 250W
GTX 460 (GF104) 336基 768MB/1GB 2010年 PCIe 2.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 150W〜160W
GTX 580 (GF110) 512基 1.5GB 2011年 PCIe 2.0 x16 ブロワーファン(外排気) TDP 244W
GT 630 (Fermi版) 96基 (GF108) 1-2GB 2012年 PCIe 2.0 x16 小型/ファンレスなど TDP 65W前後 (OEM向け)

Read more

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第3回:wav2vec特徴量から口形パラメータへの学習

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第3回:wav2vec特徴量から口形パラメータへの学習

こんにちは! 前回までの記事では、 * wav2vecを用いた音声特徴量抽出の仕組み(第1回)と、 * リップシンク制作における累積ドリフトの補正技術(第2回) について解説してきました。今回はいよいよ、これらの技術を統合して実際に音声から口の動きを生成する核心部分に踏み込みます。 本記事で扱うのは、wav2vecが抽出した768次元の音響特徴量を、26個の口形制御パラメータの時系列データに変換する学習プロセスです。これは単なる次元削減ではありません。音の物理的特性を表す高次元ベクトルから、人間の口の動きという全く異なるモダリティへの変換なのです。この変換を実現するには、音韻と視覚的な口形の間にある複雑な対応関係を、ニューラルネットワークに学習させる必要があります。 特に重要なのは、この対応関係が静的ではなく動的であるという点です。同じ音素でも前後の文脈によって口の形が変わり、さらに音が聞こえる前から口が動き始めるという時間的なズレも存在します。これらの複雑な現象をどのようにモデル化し、学習させるのか。本記事では、LSTMとTransformerという2つの強力なアプロー

By Qualiteg 研究部
AI時代のデータ漏洩防止の要諦とテクノロジー:第1回 AI DLPとPROXY

AI時代のデータ漏洩防止の要諦とテクノロジー:第1回 AI DLPとPROXY

こんにちは!本日はAI時代のデータ漏洩防止について、とくにその通信技術面に焦点をあてつつ、AIセキュリティにどのように取り組んでいくべきか、解説いたします。 1. はじめに 生成AIの急速な普及により、企業のデータガバナンスは新たな局面を迎えています。ChatGPTやClaudeといった大規模言語モデル(LLM)は、業務効率を飛躍的に向上させる一方で、意図しない機密情報の漏洩という深刻なリスクをもたらしています。 従業員が何気なく入力した顧客情報や営業秘密が、AIサービスの学習データとして使用される可能性があることを、多くの組織はまだ十分に認識していません。従来のDLP(Data Loss Prevention)ソリューションは、メールやファイル転送を監視することには長けていましたが、リアルタイムで行われるWebベースのAIチャットやAIエージェントとの対話で発生しうる新しい脅威には対応できていないのが現状です。 本記事では、AI時代のデータ漏洩防止において中核となる技術、特にHTTPS通信のインターセプトとその限界について、技術的な観点から詳しく解説します。プロキシサーバー

By Qualiteg プロダクト開発部, Qualiteg コンサルティング
LLM推論基盤プロビジョニング講座 第5回 GPUノード構成から負荷試験までの実践プロセス

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第5回 GPUノード構成から負荷試験までの実践プロセス

こんにちは!これまでのLLM推論基盤プロビジョニング講座では、推論速度の定義、リクエスト数見積もり、メモリ消費量計算、推論エンジン選定について詳しく解説してきました。 今回は、残りのステップである「GPUノード構成見積もり」「負荷試験」「トレードオフ検討」について一気に解説し、最後に実際のサーバー構成例をご紹介します。 STEP5:GPUノード構成見積もり GPUメモリから考える同時リクエスト処理能力 LLMサービスを構築する際、どのGPUを何台選ぶかは非常に重要な決断です。今回はLlama 8Bモデルを例に、GPUメモリ容量と同時リクエスト処理能力の関係を見ていきましょう。 GPUメモリの使われ方を理解する ここは復習となりますが、 LLM推論においてGPUメモリは主に2つの用途で消費されます 1. モデル重みデータ: LLMモデル自体を格納するためのメモリ 2. KVキャッシュ: ユーザーとの対話コンテキストを保持するための一時メモリ Llama 8Bを16ビット精度で実行する場合、モデル重みデータは約16GBのメモリを占めます。これは固定的なメモリ消

By Qualiteg コンサルティング
発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第2回:AIを使ったドリフト補正

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第2回:AIを使ったドリフト補正

こんにちは! 前回の記事では、当社のMotionVoxで使用している「リップシンク」技術について、wav2vecを用いた音声特徴量抽出の仕組みを解説しました。音声から正確な口の動きを予測するための基礎技術について理解いただけたかと思います。 今回は、その続編として、リップシンク制作における重要な技術的課題である「累積ドリフト」に焦点を当てます。wav2vecで高精度な音素認識ができても、実際の動画制作では複数の音声セグメントを時系列に配置する際、わずかなタイミング誤差が蓄積して最終的に大きなずれとなる現象が発生します。 本記事では、この累積ドリフトのメカニズムと、機械学習を活用した最新の補正技術について、実際の測定データを交えながら詳しく解説していきます。前回のwav2vecによる特徴抽出と今回のドリフト補正技術を組み合わせることで、MotionVoxがどのように高品質なリップシンクを実現しているのか、その全体像が見えてくるはずです。 累積ドリフトとは何か 基本概念 累積ドリフトとは、個々の音声セグメントが持つ微小なタイミング誤差が、時間の経過とともに蓄積していく現象で

By Qualiteg 研究部