[AI新規事業創出]Qualitegセレクション:ビジネスモデル設計②ビジネスモデルキャンバス
Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。
新規事業の企画検討において、アイデアを具体的なビジネスプランに落とし込むのは容易ではありません。私も長年コンサルティングをさせていただいておりますが、直観力でいいなと思われたアイディアを信じたいとおっしゃるクライアントも多いのですが、アイディアの良し悪しを考えるうえで「商売になるか」という観点は非常に重要ですよね。
ざっとビジネスに関する全体像を把握するのに役立つのがこのビジネスモデルキャンバスです。
ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)は、事業の全体像を1枚のシートで可視化できる強力なツールとして世界中で活用されています。
今回は、このビジネスモデルキャンバスの基本から活用方法まで、詳しく解説していきます。
ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスモデルキャンバスは、スイスのビジネス理論家アレックス・オスターワルダーによって開発された戦略的マネジメントツールです。9つのブロックで構成された1枚のシートに、ビジネスの重要な要素を整理することで、事業の全体像を俯瞰することができます。
従来の分厚いビジネスプランと比べ、シンプルで視覚的なアプローチを取ることで、チーム内での共有やディスカッションが容易になるという特徴があります。
まれに「僕の上司はビジネスモデルキャンバスが嫌いなので使わないでください」とリクエストされるクライアントもいらっしゃるのです。なぜお嫌いなのかお伺いすると「昔これでうまくいかなかったので」とおっしゃることがどちらかといえば多いのですが、ビジネスモデルキャンバスもツールですので、正しい使い方を学んで使えば、使えるツールです。
私としてはビジネスの整理にお勧めしたいのですが、万が一上司の方がビジネスモデルキャンバスがお嫌いな場合はご自身の整理用にのみ使われて、ビジネスモデルの説明資料は別のスタイルで使われることをお勧めします。
とはいえ、ご自身で使われるのも特に抜け漏れを見るにもわかりやすいツールですので、今日はぜひ使い方をマスターしてください!
9つのブロックの詳細
1. 顧客セグメント(Customer Segments)
- 誰に価値を提供するのか
- どのような顧客層をターゲットにするのか
最も重要な要素の一つです。ビジネスが成功するかどうかは、適切な顧客セグメントの選定にかかっています。具体的なペルソナを設定し、そのニーズや課題を深く理解することが重要です。
2. 価値提案(Value Propositions)
- 顧客の何を解決するのか
- どのような価値を提供するのか
顧客の課題やニーズに対して、あなたのビジネスがどのような解決策を提供できるのかを明確にします。競合との差別化ポイントもここで整理いたしましょう。
3. チャネル(Channels)
- どのように顧客にリーチするのか
- 製品・サービスをどのように届けるのか
マーケティング、販売、デリバリーの各段階で、顧客とどのように接点を持つのかを検討します。オンライン、オフライン双方のチャネルを考慮に入れましょう。
4. 顧客との関係(Customer Relationships)
- どのように顧客との関係を構築・維持するのか
- どのようなサポートを提供するのか
自動化されたセルフサービスから、パーソナルな対応まで、顧客との関係性の在り方を定義します。
5. 収益の流れ(Revenue Streams)
- どのように収益を得るのか
- 価格設定はどうするのか
サブスクリプション、従量課金、広告収入など、様々な収益モデルの中から最適なものを選択します。
6. 主要リソース(Key Resources)
- 必要な経営資源は何か
- 人材、設備、知的財産など
ビジネスを運営する上で必要不可欠なリソースを特定します。物理的資産だけでなく、人材やブランドなども含まれます。
7. 主要活動(Key Activities)
- どのような活動が必要か
- コアとなる業務は何か
価値提案を実現するために必要な重要な活動を明確にします。製品開発、プラットフォームの運営、サプライチェーン管理など。
8. パートナーシップ(Key Partnerships)
- 誰と協力するのか
- どのような外部リソースが必要か
自社だけでは実現できない部分を、どのようなパートナーと組んで補完するのかを検討します。
9. コスト構造(Cost Structure)
- 主なコストは何か
- 固定費と変動費の割合は
事業運営にかかる主要なコストを把握し、収益モデルとの整合性を確認します。
活用のポイント
ビジネスモデルキャンバスを効果的に活用するためのポイントをご紹介します。
- イテレーティブなアプローチ
最初から完璧を目指さず、仮説を立てては検証を繰り返すアプローチが有効です。ヒアリングや調査の結果などの市場の反応や社内での議論の結果を反映しながら、各項目をを柔軟にUpdateしていきましょう。 - チームでの活用
経営陣だけでなく、現場のメンバーも含めて議論することで、より実践的なモデルを構築できます。異なる視点からの意見を取り入れることが重要ですので、私は大きいボードに書いて壁に見えるように貼ってみんなで議論したり、MuralやMiroなどのホワイトボードツールを使って議論するケースも多いです。 - 競合分析との組み合わせ
競合企業のビジネスモデルも同じフレームワークで分析することで、差別化ポイントがより明確になります。いきなりこれから出すであろう自社のビジネスモデルを初見で書いていくのもハードルが高いと思います。まずは、自社のをビジネスモデルキャンバスを書いてみて、競合のビジネスモデルキャンバスを書いてみたり、ビジネスモデルが似ている他業界の他の事業をビジネスモデルキャンバス化してみたりなど、何枚も書いてみて見比べながら、自社サービスのアップデートにお役立てください!(私はビジネスモデルキャンバスのテンプレートを印刷して近場において気が付いたらさっと書いてみるというのを10年以上続けており、おすすめいたします。)
まとめ
ビジネスモデルキャンバスは、新規事業の立ち上げや既存事業の見直しに非常に有効なツールです。9つのブロックを埋めていく過程で、ビジネスの重要な要素が漏れなく検討でき、チーム内での認識共有も容易になります。
ただし、これはあくまでもツールであり、成功を保証するものではありません。市場環境の変化に応じて定期的に見直しを行い、必要に応じて修正を加えていくことが重要です。まずは新規事業ではなくても現状の自社のビジネスをこのフレームワークに落とし込んでみることから始めてみてはいかがでしょうか。
コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。
また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。
navigation