[AI新規事業創出]Qualitegが考える、自身の成果実証のための定量的ゴール定義とは

新規事業のゴール設定では、多くのクライアントが数値目標を設定していないため、後に困難を経験することが多いです。定量的ゴール定義は、具体的な数値を用いて目標を設定し、目標達成の進捗を明確に測定する手法です。これにより、モチベーションの向上、効率的なリソース配分、成果の最大化に寄与します。事業初期に数値目標を設定することの重要性を解説しています。

[AI新規事業創出]Qualitegが考える、自身の成果実証のための定量的ゴール定義とは

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。


アイディアが決まってないのに数字の目標ってどうやって決めるの?というご質問を受けることもありますが、そもそも新規事業検討の際にゴール設定はもちろん、それらの数値目標を設定されていないクライアントが多く、あとでつらい経験をされる方も多いのが現状です。

本日は、早期段階での定量的ゴール定義の必要性とその手法について解説していきたいと思います。

定量的ゴール定義とは

定量的ゴール定義は、具体的な数値を用いて目標を設定する手法です。これにより、目標達成の進捗を客観的かつ明確に測定することが可能になります。

例えば、「新規顧客獲得数を毎月50人にする」といった具体的な数字を目標に設定します。定量的ゴールを設定することで、モチベーションの向上、効率的なリソース配分、成果の最大化に寄与することができる重要な指標となることでしょう。

具体的な決め方とは

あくまでもこの新規事業を何のためにやるのか、それらを達成したとみなす基準は測れるものとして何が何件なのかあらかじめ決めることが重要です。

ここでは自社の電気自転車サービスA社の事例を使って解説していきましょう。


A社は都市部で忙しく働くビジネスマンの生活充実度を向上させるサービスを検討することになり、アイディアの方向性としては以下の3点で検討しています。

  • オフィスや自宅などで健康維持ができるサービス
  • 仕事の疲れをとり、リフレッシュできるサービス
  • 自身のキャリアアップのためにサポートができるサービス

新規事業の事業化検討にあたり、以下3点を事業化判断のポイントとすることになりました。

  1. 日本ではまだ大手が参入していないが、市場ニーズがあり、成長が見込める市場であること
  2. 自社の強みを活かしてビジネスシナジーを創出し、他社との差異化が図れるサービス案であること
  3. 今年度中にサービスを市場導入できること

現段階ではサービス案は確定していないので、事業化判断のための市場性などに関して定量的目標を設定するとよいでしょう。

  • 市場成長性があることを証明するため、CAGR5%以上を2023年~5年間見込まれること。
  • 事業化承認後、年度内にサービスを市場導入し、翌年度には月間利用者数1万人以上を達成すること。
  • 導入2年目以降の年間売上目標は年間1億円以上を目標にすること。
  • 市場導入後3年以内は赤字でも構わないが、4年目以降に黒字化を目指すこと。

このように、本事業がどの程度の事業規模を狙っており、いつくらいに投資回収できる必要があるかを事業責任者とすり合わせするために数値化した目標を提示して議論してみてください。

変化の激しいビジネス環境では、革新の機会は容易には見えてきません。株式会社Qualitegの Innovation-Crossは、企業が見落としていた革新の機会を共創によって発見するプログラム。多角的な現状分析と業界動向調査を通じて、「自社だけでは気づきにくい」ビジネスチャンスや技術革新の可能性を可視化します。

アイデアワークショップやハッカソン企画を通じて多様な視点を交差させ、オープンイノベーションやパートナー開拓を通じて外部の知見を取り込むことで、従来の枠組みを超えた機会を創出。最先端AI技術の活用支援も含め、経験豊富な専門コンサルタントが、新たな視点と多様な知恵の融合から生まれる革新的な機会の発見を導きます。見える景色を変えれば、見えてくる未来も変わります。

事前に目標設定をする必要性

クライアント企業のお客様に、事前の数値目標設定をご提案すると9割の方が渋い顔をされます。「自分で数字目標を宣言したら、後で自分の首を絞めるのではないか」と心配される方がほとんどです。

しかし、私たちQualitegでは事業検討されるこのタイミングで数値目標を設定することを強くお勧めいたします。どうなるかわからない新規事業について数字でコミットすることはもちろんプレッシャーになることは理解していますが、数字目標を設定することで、メンバーの士気も上がりますし、事業責任者に対して信頼感を生むことができます。

man in white dress shirt sitting beside woman in black long sleeve shirt

また、一部の大手企業では、成功した新規事業が他の部署の手柄になってしまう、というようなお話もちらほら聞くこともありますので、最初からご自身が企画され、宣言した数字を達成した!と証明できる仕組みをあらかじめ備えておく必要があると考え、このようにアドバイスさせていただいております。


コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。

また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。

皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。次回のコラムも、ぜひご期待くださいね。


navigation

Read more

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第1回 基本概念と推論速度

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第1回 基本概念と推論速度

こんにちは! 本日は LLMサービスの自社構築する際の推論基盤プロビジョニング、GPUプロビジョニングについて数回にわけて解説いたします。 はじめに LLMの進化に伴い、ChatGPTやClaudeといったパブリックなLLMの活用は企業においても急速に広がってきました。しかし先進的な企業はこれらの汎用LLMに加えて、「領域特化型」「ドメイン特化型」といった専用LLMの構築へと歩みを進めています。こうした動きの背景には、企業固有の専門知識への対応力強化と情報セキュリティの確保という二つの重要なニーズがあります。 一般的なパブリックLLMでは対応できない企業固有の専門知識や機密情報の取り扱いが必要なケースが増えているため、自社LLMの構築や自社サーバーでの運用を検討する企業が急増しています。特に金融、医療、製造、法務といった専門性の高い領域では、業界特化型の独自LLMが競争優位性をもたらすと認識されています。 しかし、業界特化型のLLMを自社で運用することは簡単ではありません。自社運用を決断した場合、まず最初に取り組むべきは適切な推論環境の整備です。オンプレミス環境を構築するに

By Qualiteg コンサルティング
Startup JAPAN 2025 に出展いたしました

Startup JAPAN 2025 に出展いたしました

こんにちは! 2025年5月8日(木)-5月9日(金)に東京ビッグサイトで開催された Startup JAPAN 2025 に出展いたしましたので、簡単にレポートいたします😊 開催概要 出展概要 今回は当社が開発するアバター動画生成AI「MotionVox™」を中心に出展させていただきました! 展示会について簡単にふりかえってみたいとおもいます 当社ブース 当社ブースはこんなかんじです。 今回は、ブースというか、このイーゼルのような雰囲気の木枠にポスターをくっつけるというスタイルでの展示方式でした。 こういう方式ははじめてなので斬新でした。おそらくこの方式で相当なコストダウンを図れておりスタートアップにはうれしいですね。セットアップも数分で終わりました。 会場 今回の会場はビッグサイトの南ホールでした。南ホールは、ビッグサイト入口からすぐそこなので駅から会場までたいして歩かず、疲れずに行くことができアクセスがとても良いです。 ホールは広めですが、ところせましと400社の出展会社がひしめきあっておりスタートアップの勢いのある会場となっており

By Qualiteg ビジネス開発本部 | マーケティング部
GPUサービスで「Segmentation Fault 」に出会ったら~分析から解決までの実践アプローチ~

GPUサービスで「Segmentation Fault 」に出会ったら~分析から解決までの実践アプローチ~

こんにちは! 今日は仮想環境+GPUなサービスにおける「Segmentation Fault」について、分析と対処法について書いてみたいと思います。 Segmentation Faultの本質と特徴 Segmentation Faultは、プログラムが保護されたメモリ領域にアクセスしようとした際にOSが発生させる例外です。 今回は複数のGPUサービス(つまりGPUを使うプロセス)が動作していて、そのうちの1つを再起動したときに発生しました。 毎回発生するわけではありません。むしろ数百回の起動に1回程度ですが、1回でも発生すると絶望的な結果につながります。というのも、1つのGPUサービスの停止が SPOF となってサービス全体に影響が発生します。かつ、1回でも「Segmentation Fault」が発生してしまうと、その原因となったプロセスが二度と起動しなくなる、というやっかいな現象でした。 このように「普段は正常に動作しているのに突然動かなくなる」というのがデバッグを非常に難しくします。 とくにGPU+仮想化の組み合わせで従来のC++アプリよりも発生確率がぐっとあがる印象

By Qualiteg プロダクト開発部
シェルスクリプトからcondaコマンドを活用したいとき

シェルスクリプトからcondaコマンドを活用したいとき

こんにちは! 今日はみんな大好きcondaコマンドについてです。 condaコマンドで仮想環境に入って、何らかの処理をして、戻ってくる ようなシェルスクリプト、バッチタスクをやるときのTipsです。 AI開発において、Anacondaとその中核であるcondaパッケージマネージャーはとっても重宝します。 しかし、シェルスクリプトから自動的にcondaを利用しようとすると、意外なハードルがあります。 本記事では、シェルスクリプトからcondaコマンドを正しく呼び出す方法について解説します。 condaと非対話モードの課題 AnacondaがインストールされているLinux環境において、condaコマンドは通常、.bashrcや.bash_profileなどの設定ファイルによって初期化されます。 なんとなくシェルをつかっていると、このcondaコマンドの初期化を忘れてしまいますが、これらの設定は多くの場合シェルの「対話モード」でのみ有効になるように設計されています。 ゆえにシェルスクリプトのような非対話モードでは、condaコマンドが正しく機能してくれません 例えば、.b

By Qualiteg プロダクト開発部