[AI新規事業創出]Qualitegが考える、仮説探索、顧客理解のための調査設計と準備方法

アイディア創出の事前準備として、ターゲットユーザーの課題を明らかにし、解決策を提案する方法を解説します。課題探索の目的と目標を定義し、競合の利用者からヒアリングします。また、調査手法と対象ユーザーの選定を明確にし、実際のインタビューでは深い洞察を得るために詳細な質問を繰り返します。

[AI新規事業創出]Qualitegが考える、仮説探索、顧客理解のための調査設計と準備方法

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。


アイディア創出のための事前準備として、ターゲットユーザーの抱えている課題を明らかにして、その解決策を提案する方法についてご説明します。そのターゲットユーザーの課題は何かを明らかにするためにどのような調査をするべきかということについて今日は解説していきたいと思います。

ユーザーの課題探索調査のための目的と目標の明確化

まず初めに行うことは、ユーザーの課題探索調査の目的と目標の明確化です。どのような情報を収集したいのか、調査から何を得たいのかを明確に定義します。この段階で、具体的な研究質問を設定し、調査の範囲と焦点を決定します。

具体的には競合のサービス利用者の課題を聞いて、自社のサービス案とするのであれば、その競合サービスを現在利用していて、支払金額が高い人や、サービスを利用するのをやめた人をヒアリング対象にします。

woman in white long sleeve shirt sitting on red couch

このように、本調査によってどのような結果を得たいか、そのデータを使って何をしたいかというのをこの段階で明確化しましょう。

また、調査手法がインタビュー形式なのか、オンラインアンケート形式なのか、何人くらいにどのような項目を聞くのかもこのタイミングでクリアにしておく必要があります。

これらは、自身の調査目的を明らかにするだけではなくて、調査費用の社内決裁のための事前共有情報としても使えるので、面倒くさがらずにここで一度整理することをお勧めいたします。

対象ユーザーの選定とリクルー

調査の目的ゴールが決まれば次は、対象ユーザーの選定になります。よく調査を楽にするために、部署の人に声をかけてヒアリング対象にしたりするケースが多いですが、Qualitegでは身近な人をヒアリング対象にすることはおすすめせず、調査会社を使うことをお勧めいたします。

不確実性の高い環境下で企業が生き残るには、複数の未来への選択肢を持つことが重要です。株式会社Qualitegの Innovation-Crossは、企業の未来への選択肢を共創によって広げるプログラム。現状分析をもとに、オープンイノベーションやパートナー開拓を通じて「自社だけでは思いつかない」多様な可能性を発掘します。

アイデアワークショップ、ハッカソン企画、最先端AI技術の活用など、多彩なアプローチで社内外の知恵を融合させ、従来の延長線上にない革新的な選択肢を創出。経験豊富な専門コンサルタントが、御社の強みを活かしながら外部との協業による新たな道筋を描き、変化の激しい時代における戦略的柔軟性と競争優位性を高めます。未来への複数の扉を開く—それが私たちの役割です。

理由は明確で、ターゲットユーザーではない、似通った人に声をかけて、お世辞のいいねを言ってもらうことで、本来の目的である、顧客の課題をヒアリングすることができなくなってしまう恐れがあるからです。

このフェーズでは調査対象となるユーザー層を特定し、それらのユーザーがどのように製品やサービスを使用しているかを理解することが必要ですので、現在考えている、競合サービス課題仮説についてヒアリングするため、競合サービスの利用者を調査会社経由でスクリーニングしてもらい、ヒアリングすることをお勧めします。

person writing on white paper

調査対象人数の考え方とインタビュー時間

インタビューをする場合、多くの声を聴きたいのでグループインタビューをしたいというクライアント企業が多いのですが、Qualitegでのおすすめは「デプスインタビュー」となります。調査時間のおすすめは一人当たり60分~90分程度が適正でしょう。人数としては最低3名、できれば5名~7名くらいの方にヒアリングをすることをお勧めしています。

競合のサービスを利用し始めたきっかけ、利用している中で満足しているポイントや不満に思っている点を聞くのがインタビューの目的ですが、その中で機械的にこちらが質問したい内容をどんどん聞いて、Yes,Noで答えてもらうようでは、インタビュー調査をする意味がないのです。

A group of friends at a coffee shop

全ての項目において、なぜなぜ5回のように、Whyの質問を繰り返し、ユーザーがなぜその判断に至ったのか、その時の環境や心理的状況までしっかり掘り下げて聞く必要があります。そのため、最初の20分はアイスブレイクとして使い、信頼感を得て、いろいろ気軽に話してもらえる環境を整えてから、いろいろ聞いていくことで、自身が期待していたような、「真のユーザーの課題」をヒアリングすることができます。

そのため、しっかりした話をするのに30分では難しく、最低60分、できれば90分くらいの時間をかけて探索インタビューを実施することをお勧めしています。


コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。

また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。

皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。次回のコラムも、ぜひご期待くださいね。


navigation

Read more

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第1回 基本概念と推論速度

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第1回 基本概念と推論速度

こんにちは! 本日は LLMサービスの自社構築する際の推論基盤プロビジョニング、GPUプロビジョニングについて数回にわけて解説いたします。 はじめに LLMの進化に伴い、ChatGPTやClaudeといったパブリックなLLMの活用は企業においても急速に広がってきました。しかし先進的な企業はこれらの汎用LLMに加えて、「領域特化型」「ドメイン特化型」といった専用LLMの構築へと歩みを進めています。こうした動きの背景には、企業固有の専門知識への対応力強化と情報セキュリティの確保という二つの重要なニーズがあります。 一般的なパブリックLLMでは対応できない企業固有の専門知識や機密情報の取り扱いが必要なケースが増えているため、自社LLMの構築や自社サーバーでの運用を検討する企業が急増しています。特に金融、医療、製造、法務といった専門性の高い領域では、業界特化型の独自LLMが競争優位性をもたらすと認識されています。 しかし、業界特化型のLLMを自社で運用することは簡単ではありません。自社運用を決断した場合、まず最初に取り組むべきは適切な推論環境の整備です。オンプレミス環境を構築するに

By Qualiteg コンサルティング
Startup JAPAN 2025 に出展いたしました

Startup JAPAN 2025 に出展いたしました

こんにちは! 2025年5月8日(木)-5月9日(金)に東京ビッグサイトで開催された Startup JAPAN 2025 に出展いたしましたので、簡単にレポートいたします😊 開催概要 出展概要 今回は当社が開発するアバター動画生成AI「MotionVox™」を中心に出展させていただきました! 展示会について簡単にふりかえってみたいとおもいます 当社ブース 当社ブースはこんなかんじです。 今回は、ブースというか、このイーゼルのような雰囲気の木枠にポスターをくっつけるというスタイルでの展示方式でした。 こういう方式ははじめてなので斬新でした。おそらくこの方式で相当なコストダウンを図れておりスタートアップにはうれしいですね。セットアップも数分で終わりました。 会場 今回の会場はビッグサイトの南ホールでした。南ホールは、ビッグサイト入口からすぐそこなので駅から会場までたいして歩かず、疲れずに行くことができアクセスがとても良いです。 ホールは広めですが、ところせましと400社の出展会社がひしめきあっておりスタートアップの勢いのある会場となっており

By Qualiteg ビジネス開発本部 | マーケティング部
GPUサービスで「Segmentation Fault 」に出会ったら~分析から解決までの実践アプローチ~

GPUサービスで「Segmentation Fault 」に出会ったら~分析から解決までの実践アプローチ~

こんにちは! 今日は仮想環境+GPUなサービスにおける「Segmentation Fault」について、分析と対処法について書いてみたいと思います。 Segmentation Faultの本質と特徴 Segmentation Faultは、プログラムが保護されたメモリ領域にアクセスしようとした際にOSが発生させる例外です。 今回は複数のGPUサービス(つまりGPUを使うプロセス)が動作していて、そのうちの1つを再起動したときに発生しました。 毎回発生するわけではありません。むしろ数百回の起動に1回程度ですが、1回でも発生すると絶望的な結果につながります。というのも、1つのGPUサービスの停止が SPOF となってサービス全体に影響が発生します。かつ、1回でも「Segmentation Fault」が発生してしまうと、その原因となったプロセスが二度と起動しなくなる、というやっかいな現象でした。 このように「普段は正常に動作しているのに突然動かなくなる」というのがデバッグを非常に難しくします。 とくにGPU+仮想化の組み合わせで従来のC++アプリよりも発生確率がぐっとあがる印象

By Qualiteg プロダクト開発部
シェルスクリプトからcondaコマンドを活用したいとき

シェルスクリプトからcondaコマンドを活用したいとき

こんにちは! 今日はみんな大好きcondaコマンドについてです。 condaコマンドで仮想環境に入って、何らかの処理をして、戻ってくる ようなシェルスクリプト、バッチタスクをやるときのTipsです。 AI開発において、Anacondaとその中核であるcondaパッケージマネージャーはとっても重宝します。 しかし、シェルスクリプトから自動的にcondaを利用しようとすると、意外なハードルがあります。 本記事では、シェルスクリプトからcondaコマンドを正しく呼び出す方法について解説します。 condaと非対話モードの課題 AnacondaがインストールされているLinux環境において、condaコマンドは通常、.bashrcや.bash_profileなどの設定ファイルによって初期化されます。 なんとなくシェルをつかっていると、このcondaコマンドの初期化を忘れてしまいますが、これらの設定は多くの場合シェルの「対話モード」でのみ有効になるように設計されています。 ゆえにシェルスクリプトのような非対話モードでは、condaコマンドが正しく機能してくれません 例えば、.b

By Qualiteg プロダクト開発部