[AI新規事業創出]Qualitegが考える、顧客理解のためのエンパシーマップ策定方法とは

[AI新規事業創出]Qualitegが考える、顧客理解のためのエンパシーマップ策定方法とは

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。


新規事業開発経験ありの中級者以上の方からよくある質問です。

デザインシンキングではよく見る「共感マップ」ですが、実際新規事業開発の時に使えるものなのでしょうか?

答えは「はい、使えます、一緒にやってみましょう★」です。

私がコンサルティングさせていただいているクライアントで見てみると、日本企業より、アメリカ企業の方が使われる方が断然多い「共感マップ」。

日本企業でなぜ使われないのか、どうやったら有効的に使うことができるのかを本日は解説させていただきますね。

そもそも共感マップとは?

共感マップは、日本語でまず共感マップという翻訳がされている時点でとってもわかりづらくなっていると、個人的に思います。

英語だと "Empathy Map" と呼びます。

これらは、デザインシンキングに代表されるフレームワークで、ユーザーや顧客の行動、考え方、感情を理解するためのビジュアルツールです。

このマップは、顧客が製品やサービスをどのように感じ、考え、体験するかを深く掘り下げることを目的としています。

”共感"とは何か?

日本語で”共感”という言葉から連想することは、他人の感情や状況を理解し、それに対して感じる共鳴や同感のこと、という印象です。日本語的な”共感”は、同じように思った、同意しているというニュアンスが含まれますよね。辞書によっては”感情移入”と訳されるケースもあるようです。

一方、英語の”Empathy”はどういうニュアンスかというと、”賛同する”という意味合いよりも、”人の気持ちや問題を理解する能力”という意味が強いのです。

そのため、日本人はターゲットユーザーについてヒアリングをして”その気持ちに自分も同意して同じように共感しないとこのマップを作れない”と潜在意識的に考えてしまうので、どうも苦手意識が強いようです。

英語Nativeの人からすると、

「インタビューして相手の気持ちを汲み取って書けばいいんだよね?」

というフレームワークになりますが、

日本語で”共感マップ”を使われてきた方は

「この人の言ってる、この点は僕はそう思わないんだけどなあ。う~ん。。。」

と違和感を感じてしまうということなのです。

ということで、この共感マップについては、Qualitegではエンパシーマップと呼ぶことにしております。そして皆様はユーザーの様々な言動や意識、行動、感情を想像しながら書いて頂けばよいのです。無理に同調しなくてよいのです。

hands formed together with red heart paint

共感マップを書く順番とは?

エンパシーマップの書く順番でお勧めの順番があります。この順番はQualitegのオリジナルの思考法なのですが、体験価値を言語化し、Pros/Consを分析していくという手法になっています。

  • Think and Feel(思考と感じていること)

    • ペルソナが何を考え、どのようなことを感じているのか、内面的な動機や心配事、真の感情などを書きましょう。
  • See(見ていること)

    • ペルソナが普段の日常生活で目にしているものは何か、彼らの環境や見ているものを表すことが必要です。
    • 具体的にはどのようなメディアを利用していて、周囲の人々はどういう行動しているかなどを具体的に書きましょう。
  • Hear(聞いていること)

    • ペルソナが普段の生活環境の中で、どのような情報を聞いているのか、友人、家族、同僚からどのような意見や提案を受けているのか、どのような噂を聞いて気になっているのかなどを書きましょう。
  • Say and Do(言うこと)

    • ペルソナがどのような発言をしたり、どのような行動をとっているかを書きましょう。
    • 外部に向けた行動や発言が中心となるため、SNSに発信している内容なども代表的なものになります。
  • Pains(困りごと、ストレス要因)

    • ペルソナが直面している主要な課題や、挑戦しなくてはならないこと、懸念事項などを書きましょう。
    • ストレスの要素だったり、ネガティブ材料などを書くのも個性が表現されるので、わかりやすいです。
  • Gains(困りごとの解決策)

    • ペルソナが求める願望、ニーズについて書きましょう。
    • これは書くときに誤解してしまいがちなのですが、「将来金持ちになりたい」というような漠然とした願望ではなく、5のPain=課題に対する解決策としてどのようなことを望んでいるかということを想像して具体的に書いてみましょう。

エンパシーマップは、サービス開発やデザイン、マーケティング戦略立案など、顧客中心のアプローチを検討する際に非常に役立ちます。

今までエンパシーマップを書いたことが無い方も是非、このステップをおさらいしながら書いてみてください。

いつもよりもユーザーの気持ちを想像しやすくなり、UIUX検討時に具体的なアイコンサイズや顧客の具体的なサービスの利用シーンなどがイメージしやすくなり、チームの認識合わせもやりやすくなるため、開発も加速することでしょう。

例えば、専業主婦の方がターゲットユーザーであるサービスを開発している場合、

この後、子供のお迎えに行かなきゃいけない。その前に急ぎでお夕飯の支度を作らなくちゃいけない。。!

と焦っているような場合、ボタンアイコンの押し忘れやミスがないように大きめに設定してあげるなど、意外とエンパシーマップもUIUX検討に使えるのでお勧めいたします。


コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。

また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。

皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。次回のコラムも、ぜひご期待くださいね。


navigation

Read more

ディープラーニングにおけるEMA(Exponential Moving Average)

ディープラーニングにおけるEMA(Exponential Moving Average)

こんにちは! 本日は、画像生成、動画生成モデルなどで重要な役割を果たしている EMA ※について解説してみたいとおもいます! 当社のAIアバター動画生成サービス「MotionVox™」でも役立っています! といっても、画像生成のための専用技術というわけではなく、学習と推論(生成系も含む)というディープラーニングの運用の中で昨今かなり重宝されるテクニックとなっておりますので、基礎から実装までみていきたいとおもいます。 ※EMAの読み方は私はエマと呼んでますが、イーエムエーって言ってる人もいます。どっちでもいいでしょう。 EMA の基礎知識 EMA(Exponential Moving Average=指数移動平均)は、ざっくりいえばモデルの重みを平均化する手法です。 実は株価分析などでも使われている古くからある概念なのですが、ディープラーニングでは比較的最近になって「あ、これ結構使えるんじゃね?」と重要性が認識されるようになりました。 (”EMA”に限らず、理論の積み上げではなく「やってみたら、使えんじゃん」っていうのがかなり多いのがディープラーニング界隈のもはや常識でし

By Qualiteg 研究部
TOKYO DIGICONX 「MotionVox™」出展レポート

TOKYO DIGICONX 「MotionVox™」出展レポート

こんにちは! 2025年1月9日~11日に東京ビッグサイトにて開催された TOKYO DIGICONX に出展してまいりました。 開催中3日間の様子を簡単にレポートいたします! TOKYO DIGICONX TOKYO DIGICONX は東京ビッグサイト南3・4ホールにて開催で、正式名称は『TOKYO XR・メタバース&コンテンツ ビジネスワールド』ということで、xR・メタバース・コンテンツ・AIと先端テクノロジーが集まる展示会です 「Motion Vox™」のお披露目を行いました 当社からは、新サービス「Motion Vox™」を中心とした展示をさせていただきました MotionVox™は動画内の顔と声を簡単にAIアバター動画に変換できるAIアバター動画生成サービスです。 自分で撮影した動画をアップロードし、変換したい顔と声を選ぶだけの3ステップで完了。特別な機材は不要で、自然な表情とリップシンクを実現。 社内研修やYouTube配信、ドキュメンタリー制作など、幅広い用途で活用できます。 当社ブースの様子 「MotionVox™」の初出展とい

By Qualiteg ビジネス開発本部 | マーケティング部
【本日開催】TOKYO DIGICONX で「MotionVox」を出展~リアルを纏う、AIアバター~

【本日開催】TOKYO DIGICONX で「MotionVox」を出展~リアルを纏う、AIアバター~

こんにちは! 本日(2025年1月9日)より東京ビックサイトにて開催されている「TOKYO DIGICONX」に、フォトリアリスティック(Photorealistic Avater)な次世代アバター生成AI「MotionVox」を出展しています! XR・メタバース・AIと先端テクノロジーが集まる本展示会で、ビジネス向け次世代AI動画生成ツールとしてMotionVox™をご紹介させていただきます。 MotionVox™とは MotionVox™は、あなたの表情や発話を魅力的なアバターが完全再現する動画生成AIです。まるで本物の人間がそこにいるかのような自然な表情と圧倒的な存在感で、新しい表現の可能性を切り開きます。 主な特徴 * フォトリアリスティックな高品質アバター * 高再現度の表情同期 * プロフェッショナルなリップシンク * カスタマイズ可能なボイスチェンジ機能 * 簡単な操作性 * プライバシーの完全保護 多様な用途に対応 MotionVoxは、以下のようなさまざまなビジネスシーンで活用いただけます! * 動画配信やVTuber活動 * S

By Qualiteg ビジネス開発本部 | マーケティング部
[AI新規事業創出]Qualitegセレクション:ビジネスモデル設計①ビジネスモデル図

[AI新規事業創出]Qualitegセレクション:ビジネスモデル設計①ビジネスモデル図

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。 「新規事業のビジネスモデル図の描き方 〜実践で活かせる具体的なコツ〜」 新規事業開発のコンサルティングをさせていただいておりますとクライアント企業様の現場で、「ビジネスモデル図をどう描けばいいの?」という質問をよく頂きます。 実は私も最初は悩んだのですが、数々の失敗と成功を経て、効果的なビジネスモデル図の描き方が分かってきました。今回は、その実践的なコツをお伝えしていきます。 なぜビジネスモデル図が重要なのか ビジネスモデル図は、単なる図解ではありません。これは、自分のビジネスアイデアを「検証可能な形」に落とし込むための重要なツールです。 上申の際にステークホルダーの説明をするのに使うこともできます。また、アイディア創出後のマネタイズ検討の場合も情報

By Join us, Michele on Qualiteg's adventure to innovation