[AI新規事業創出]Qualitegオリジナル、受容性評価インタビュー設計方法
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Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。
受容性評価インタビューは、新しい製品やサービスがターゲット市場にどのように受け入れられるかを評価するための重要な手法です。
新規事業開発のコンサルティングをさせていただいておりますと、受容性評価をされない方、自身にとって都合の良い回答だけを抽出される方、ターゲットユーザーではない人にインタビューをして怒ってしまわれる方など、様々なクライアントがいらっしゃいます。
特に多いのが、複数人にインタビューしたのに、自身の企画したサービスを良いと言ってくれた方だけを抽出して「全員が欲しいと言っています」と報告されようとする方や、インタビューした対象がが身内(職場の同僚)だったりして、お世辞で良いねというまで、「でも、XXすればいいですよね」みたいな形で問いを続ける方などもいらっしゃいます。
受容性評価は後で商用サービスをリリースするときに大きな失敗をしないために事前にテストするものです。この段階でネガティブな意見がでることは、改善すべき貴重な意見として素直に受け止める必要があります。
そのためにも、このプロセスを効果的に設計するためには、明確な計画と戦略が必要ですので以下に、効果的な受容性評価インタビューを設計するためのステップを説明させていただきますね。ぜひご一読くださいませ。
1. 目的の明確化
受容性評価インタビューを行う前に、何を達成したいのか具体的な目的を定義することが重要です。製品の特定の機能に対する反応を知りたいのか、あるいは全体的な市場の受け入れを評価したいのかを明確にします。目的が明確であればあるほど、インタビューの質問も具体的で有効なものになります。
また、全体像として何フェーズインタビューを行うかも考えておく必要があります。受容性評価インタビューは1回だけでは終わらないのが通例です。今回インタビューして得た課題をブラッシュアップしてまた第2フェーズとしてインタビューし、その時に出た課題を抽出してブラッシュアップして第3フェーズとしてインタビューするように、繰り返して改善していくことが重要です。
また、初期段階ではニーズがありそうか、お金を払ってまでそのサービスを利用したいかを聞き、第2フェーズではLP(ランディングページ)を作って、価格も見せてサービス内容、仕様、価格バランスをアップデートしていくなど、何フェーズ行い、どのフェーズで何を確認するのか、全体設計することも非常に重要です。
こちらにチェックシートを掲載しておきますのでよろしければお使いくださいませ。インタビュー形式は最初がグループインタビュー、そのあと個別として記載しておりますが、目的、対象期間やご予算に応じて適宜ご判断をお願いします。

2. ターゲットオーディエンスの選定

製品やサービスが向けられる具体的な市場または顧客層を特定します。ターゲットとなるオーディエンスを正確に把握することで、より関連性の高いデータを収集することができ、分析も精度が向上します。
クライアントの中では、全体スケジュールが遅れている、質問票作りに時間が掛かった、謝礼を払いたくない、自社サービスの内容を外部に話したくない、調査会社などの外部委託は時間が掛かるなどの理由から、インタビュー相手を自社内の人にされるケースも非常に多いです。私の体感では6割くらい自社内の人へのインタビューで済まされる方が多いです。
しかし、考えてみてください。自社を知らない、自社のサービスも知らない人と、自社の社員の方のどちらが、サービスに対するロイヤリティが高いでしょうか。
自社サービスを買ってくださる方は大多数が社外の方だと思いますし、きちんと守秘義務を守って頂ける外部の方で、かつ、自社が設定しているターゲットユーザーの方にインタビューするのが良いでしょう。
3. インタビューの形式決定

インタビューは個別(1対1)でも、集団(フォーカスグループ)でも行うことができます。収集したい情報の種類や深さに応じて、最も適切な形式を選択します。個別インタビューは具体的な詳細情報を得るのに適しており、フォーカスグループは多様な意見を収集するのに有効です。
インタビュー形式の使い分けと方法をお勧めします。個別インタビューはだいたい1時間~90分、5-6人同時のインタビューも90分~120分くらいの時間拘束が必要かと思います。
その中で、1時間時間をもらったのに全くサービスの魅力が刺さらない方だったりすることも多いので、まずは5-6人同時にフォーカスグループインタビューを3セットほど行い、全部で15~18人くらいの方にさらっとインタビューをすることをお勧めします。
このくらいの人数のヒアリングをすれば、どのようなタイプの人が自社のサービスに興味があるか、その中でもこういうセグメントの人はこの使い方でいくらくらい払ってくれそうなどの傾向が見えてきます。また、類似サービスや競合サービスを利用しているかどうかも確認いたしましょう。
だいたいの傾向が見えてきてから、個別のインタビューをしていくと深堀できるのでよいです。個別インタビューは全部で6人程度の場合、4~5人がポジティブな反応をしてくださった方にしましょう。
また、1~2人位を競合サービスのヘビーユーザーで自社のサービスにあまりポジティブではなかった方にインタビューします。そうすることで、サービスリリース前に自社の弱みが見えてくるので、どのように改善したら自社サービスに乗り換えたくなるのか確認することが重要です。
4. 質問の設計

インタビューの目的に沿って、具体的で明確な質問を準備します。
最初にChatGPTなどのLLMを使って骨子を作ってみるのもお勧めです。
私はコンサルタントという職業柄時短派であるため、多くのLLMに聞き比べて答えを見出すのが時間がもったいなく感じてしまうため、当社製のChatStreamを利用していますが、かなりおすすめです!

それぞれが考えて答えを出してくれるので、自分で気に入った内容をピックアップしながら設問表を作ってみてください。
質問の導入部分で製品やサービスについての説明も簡潔に行います。また、誘導的でない中立的な表現を用いることが重要です。なるべくオープンクエスチョンで参加者に広範な回答を促しましょう。
例えば30分しかインタビュー時間がないのに、30問の質問を作られる方も多いです。聞く側としてはたくさん質問したくなってしまうの気持ちもわかりますが、答えよりも、答えた背景についてなぜそのような答えをしたかを聞く必要があります。そのため、私は、1設問あたりの回答時間を5分~7分取っておくことをお勧めします。
「それはなぜでしょうか」、「どのような背景でそう思われましたか?」「ご自身の具体的なご経験を合わせて教えてください」などとお話しすると、短い回答についても5分は会話が継続できます。ぜひトライしてください。
5. パイロットテスト
小規模なグループを使用してインタビューの初期バージョンをテストし、質問の理解度や流れの良さを評価します。このテストを通じて、必要な修正を加えることができます。
こちらのインタビューの練習という意味でのパイロットテストは、社内の方に参加していただく方向でOKです。しかし、同じプロジェクトや同じ部署の方は知識があるケースが多いので練習相手にならない可能性が高いので、他部署の人や間接部門の方などを相手にパイロットテストをすることをお勧めします。
また、AIを活用してLLM相手にテストを行うのも良いでしょう。音声版を使って相手のペルソナ情報を伝えてからインタビューするのも、モデレーターのトレーニングになるのでお勧めします。
6. データの収集と分析

本格的なインタビューを実施しただけで、疲れてしまうクライアントも多いのですが、あくまでもインタビューは情報収集なので、その情報をどのように分析するかが重要です。
収集したデータから有益な洞察を抽出します。グループインタビューなどではエクセルの列に設問を書き、行に参加者5名のお名前を入れて、その中にメモを取っていくケースが多いと思います。
個別インタビューの場合はWordなどにメモされるケースが多いでしょう。
その後、出てきたキーワードをすべてポストイット(オンラインツールでOKです)などに書き出し、すべて書き出したら、関連項目ごとにまとめてグルーピングしていき、分析をしていきましょう。
インタビュービデオをAI議事録ソフトなどに読ませて、テキスト化したり、議事録をそのままLLMに読ませてキーワードを抽出するとかなりの時間節約になります。
グルーピングはみんなで見ながらこれはこのカテゴリだねとお話しいただくのもよいですが、LLMに読ませてこのワードをグルーピングしてとお願いするのも良いと思います。
しかし、絶対守って頂きたいのは、AIが作ったものをそのまま利用しないでください!というお願いです。
AIの成果物をベースに議論したり、ご自身で考えたりして、現場にいたご自身ならではのニュアンスなども含めて思い出しながら情報整理を進めてください。これらはデータをきれいに整理するというだけではなく、ご自身にとってもインタビューを思い出していただいたり、現場時間とは後に改めて時間を取ることで、思考を整理するという意味もあります。
インタビューの後に、良い感想を言ってくれた一人の意見の一部を切り取り、報告されようとするクライアントも多いのですが、一人の良い意見も大事ですが、全体感、傾向値を見るのにも使っていただくのが良いかと思います。ぜひ、全体像をつかんでください。後で事業責任者の方に質問されたときに答えるためにも把握しておいて損はないでしょう。
7. 結果の報告と活用

収集した情報を整理し、関係者に向けて報告書を作成します。
報告書も大事ですが、レポートする相手ではない、例えば開発メンバー、デザイナーなどのプロジェクトメンバーには、インタビューに参加してもらったり、録画データを全部見てもらうことをお勧めします。
やはり、誰かがまとめたものはその人の目線や解釈、意思が入ってしまうことも多いので、フラットに感じていただき、さらに自分事としてとらえてもらうためにも、参加してもらった方が良いでしょう。
私の経験からも、企画担当だけがインタビューした内容をプロジェクト内に報告したケースよりも、エンジニアやデザイナーなど関係者が全部一緒に参加したインタビューの方が、プロジェクト参加者の「自分事感」が高まりますので、のちの商用化に向けた意識合わせやチームビルディングがしやすくなってくるのでお勧めします。
一方、偉い方向けのレポートとなると、全部動画を見ていただくわけにいきませんので、ダイジェスト版としてエグゼクティブサマリーをお見せすることになりますが、その際は初期仮説と結果の差分と、なぜその回答とされたのか、ユーザーの生声のような形でレポートをまとめると良いでしょう。
忘れがちなのが、インタビュー対象者の前提条件や、基礎情報を共有し忘れることが多々ありますので、どういうバックグラウンドの人にインタビューした、だからこういう回答が出たと考察できるというような関連情報も付加してレポートすれば、事業責任者の方にも適正な判断をしていただける材料を集められたと言えると思います。
コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。

また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。

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