[自作日記5] マザーボードはどれがいい?

[自作日記5] マザーボードはどれがいい?

今回は、マザーボードの選定をします。

Junさんの買い物の続きをみるまえにもう一度チップセットについておさらいしておきましょう。

インテルの CoreシリーズCPUは 12世代、13世代ともに、CPUソケットが LGA 1700 となっており、多くの場合、12世代用のチップセットは13世代のCPUとも互換性がありますが、最新の機能や最適な性能を得るには、対応する世代のチップセットを使用することが推奨されます。

たとえば、12世代のインテルCoreシリーズCPU用に設計されている チップセットには以下のようなものがありますが、AI用途であればGPUを使いますので、Z690,H670のようなハイエンドチップセットを選ぶのが安全でしょう。

  • Z690: 高性能チップセットで、オーバークロッキングサポート、PCIe 5.0 x16スロット、多数のPCIe 4.0レーン、高速なUSB 3.2 Gen 2x2接続、および高速ストレージのための複数のM.2スロットが提供されています。
  • H670: オーバークロッキングはサポートしていませんが、それ以外の機能はZ690に近いチップセットです。
  • B660: PCIe 5.0サポートが限定的で、オーバークロッキングもサポートされていませんが、コストパフォーマンスに優れてチップセットです。
  • H610: 基本的な機能のみを提供し、PCIe 4.0や高速USBのサポートが制限されています。

では、ふたたび Junさんに視点をうつしましょう


③ マザーボードのチップセットは CPUが12世代ならZ690 か CPUが13世代ならZ790。ATX。

CPUは、

13世代 i5 13600
12世代 i7 12700

に絞り込んだけど、これに合うマザーボードは何にしようか。

チップセットはZ690かZ790か。

店員さんに相談すると AI用途(GPU搭載用途)で、12世代のCPUであれば、Z690、13世代のCPUであればZ790のチップセットのマザーボードがお薦めだそうです。

ここで1つ疑問が。

確か 13世代のCoreシリーズも、12世代のCoreシリーズもどちらも、CPUソケットは LGA1700 だったはず。
ということは、 Z690 チップセット搭載のマザーボードに 13世代の i5 13600 も搭載できるのではないだろうか。

この疑問を店員さんにぶつけてみました。

私「Z690チップセットのマザーボードに13世代の CoreシリーズCPUって載りますよね」

「うーん。それはマザーボードのサポートによりますね」

私「え?そうなんですか? 13世代のCPUもLGA1700 だから Z690 のチップセットでも動くと思ったのですが」

「確かに、同じ LGA1700 でも、 13世代のCPUが、Z690という12世代用のチップセットでもそのまま動くかというと、そういうわけではないんです。あくまでZ690は12世代用のチップセットなので。」

私「なるほど。じゃあマザーボードがZ690で、CPUが 13世代の Core i5 13600 という組み合わせは無しってことなんですね」

「完全に無しではないんです。」

私「え?」

「メーカーによってはZ690のマザーボードもファームウェアをアップデートすることで 13世代まで公式にサポートしてくれるものもあれば、なにもしないでもZ690チップセットマザーボードにそのまま13世代のCPUをのせたら、動いているという事例も数多くあります。ただ、対応がマザーボードやメーカーによっても異なりますので、個別にメーカーに確認していただくか、13世代にはZ790等13世代のためのチップセットを使っていただくのが良いかと思います」

私「なるほど、そういうことなんですね、理解できました。」

この件、これほど、食い下がったのには実は訳があります。

Z690 のマザーボードの方が安いんです。
当たり前かもしれませんが、最新のZ790はマザーボードは実売2万円くらい高い印象です。
だから、Core i5 13600 と Z690 だとバランスが良いとおもったのでした。

でも、質問していろいろ理解が深まったので、結論がでました。

店員さんとも相談して、 Z690マザーボードはZ790よりも安く、性能面でも12世代が13世代に比べてそれほど劣るわけではないため、Z690マザーボードで行くことにしました!

選んだマザーボードは、ASRock Z690 Steel Legend というやつです。3万円台後半で手に入りました!


ついに、1つめのパーツを購入できました!

そして、このマザーボードを選んだことで自動的に、CPUも決定しました!

12世代 i7 12700 に決定です!

同じお店で、CPUもゲットしました!12世代のIntel Corei7 12700Kです!


今回はいかがでしたでしょうか。Junさんは、性能と価格の近い2つのCPUで悩んでいましたが、今回はマザーボードの価格で判断しました。といっても妥協しているわけではなくZ690は12世代のチップセットのなかでは最高のもので、コストパフォーマンスがZ790に対して優れていたため、このような結果となったのでした。

PC自作はトータルバランスが重要です。お金が無限にあるわけではないので、どこに力をいれるか、どこはほどほどで良いか、こういう微調整の連続で、それがまた楽しく自作の醍醐味だと感じています。

さて、次回は、メモリや電源など周辺パーツの選定に移ります!


navigation

Read more

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第2回 LLMサービスのリクエスト数を見積もる

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第2回 LLMサービスのリクエスト数を見積もる

こんにちは! 今回はLLM推論基盤プロビジョニング講座 第2回です! STEP2 LLMサービスへのリクエスト数見積もり それでは、早速、LLM推論基盤プロビジョニングの第2ステップである「リクエスト数見積もり」の重要性と方法を解説いたします。 LLMサービスを構築する際に必要となるGPUノード数を適切に見積もるためには、まずサービスに対して想定されるリクエスト数を正確に予測する必要があります。 リクエスト数見積もりの基本的な考え方 LLMサービスへの想定リクエスト数から必要なGPUノード数を算出するプロセスは、サービス設計において非常に重要です。過小評価すればサービス品質が低下し、過大評価すれば無駄なコストが発生します。このバランスを適切に取るための基礎となるのがリクエスト数の見積もりです。 想定リクエスト数の諸元 リクエスト数を見積もるための5つの重要な要素(諸元)をみてみましょう。 1. DAU(Daily Active Users): 1日あたりの実際にサービスを利用するユーザー数です。これはサービスの規模を示す最も基本的な指標となります。 2. 1日

By Qualiteg コンサルティング
Zoom会議で肩が踊る?自動フレーミング映像安定化とAIによる性能向上の可能性

Zoom会議で肩が踊る?自動フレーミング映像安定化とAIによる性能向上の可能性

こんにちは! 本日は、自動フレーミング映像の安定化に関するアルゴリズム・ノウハウを解説いたします 第1章 問題の背景と目的 バストアップ映像を撮影する際、特にオンラインミーティングやYouTubeなどのトーク映像では、人物がうなずく、首を振るなどの自然な動作をした際に「首まわりや肩がフレーム内で上下に移動してしまう」という現象がしばしば起こります。これは、多くの場合カメラや撮影ソフトウェアが人物の「目や顔を画面中央に保とう」とする自動フレーミング機能の働きに起因します。 撮影対象の人物が頭を下げた際に、映像のフレーム全体が相対的に上方向へシフトし、その結果、本来動いていないはずの肩の部分が映像内で持ち上がっているように見えてしまう現象です。 本稿では、この問題を撮影後の後処理(ポストプロセッシング)のみを用いて、高速、高い精度かつロバストに解決する手法をご紹介します。 前半では、従来のCV(コンピュータービジョン)の手法を使い高速に処理する方法をご紹介します。後半では、AIを使用してより安定性の高い性能を実現する方法について考察します。 第2章 古典手法による肩の上下

By Qualiteg 研究部
LLM推論基盤プロビジョニング講座 第1回 基本概念と推論速度

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第1回 基本概念と推論速度

こんにちは! 本日は LLMサービスの自社構築する際の推論基盤プロビジョニング、GPUプロビジョニングについて数回にわけて解説いたします。 はじめに LLMの進化に伴い、ChatGPTやClaudeといったパブリックなLLMの活用は企業においても急速に広がってきました。しかし先進的な企業はこれらの汎用LLMに加えて、「領域特化型」「ドメイン特化型」といった専用LLMの構築へと歩みを進めています。こうした動きの背景には、企業固有の専門知識への対応力強化と情報セキュリティの確保という二つの重要なニーズがあります。 一般的なパブリックLLMでは対応できない企業固有の専門知識や機密情報の取り扱いが必要なケースが増えているため、自社LLMの構築や自社サーバーでの運用を検討する企業が急増しています。特に金融、医療、製造、法務といった専門性の高い領域では、業界特化型の独自LLMが競争優位性をもたらすと認識されています。 しかし、業界特化型のLLMを自社で運用することは簡単ではありません。自社運用を決断した場合、まず最初に取り組むべきは適切な推論環境の整備です。オンプレミス環境を構築するに

By Qualiteg コンサルティング
Startup JAPAN 2025 に出展いたしました

Startup JAPAN 2025 に出展いたしました

こんにちは! 2025年5月8日(木)-5月9日(金)に東京ビッグサイトで開催された Startup JAPAN 2025 に出展いたしましたので、簡単にレポートいたします😊 開催概要 出展概要 今回は当社が開発するアバター動画生成AI「MotionVox™」を中心に出展させていただきました! 展示会について簡単にふりかえってみたいとおもいます 当社ブース 当社ブースはこんなかんじです。 今回は、ブースというか、このイーゼルのような雰囲気の木枠にポスターをくっつけるというスタイルでの展示方式でした。 こういう方式ははじめてなので斬新でした。おそらくこの方式で相当なコストダウンを図れておりスタートアップにはうれしいですね。セットアップも数分で終わりました。 会場 今回の会場はビッグサイトの南ホールでした。南ホールは、ビッグサイト入口からすぐそこなので駅から会場までたいして歩かず、疲れずに行くことができアクセスがとても良いです。 ホールは広めですが、ところせましと400社の出展会社がひしめきあっておりスタートアップの勢いのある会場となっており

By Qualiteg ビジネス開発本部 | マーケティング部