[AI新規事業創出]Qualitegオリジナル、ターゲットペルソナの策定方法

新規事業開発研修でのペルソナ策定は、多くのクライアントにとって初めての経験であり、学びの機会となることが多いです。企業の企画担当者もペルソナを作成する機会は少なく、研修を通じてこの手法を理解し、実際の顧客を反映したキャラクター設定の重要性を認識します。また、ペルソナはサービス設計やマーケティング戦略に不可欠であり、顧客の行動パターンや動機、課題を明確にする必要があります。

[AI新規事業創出]Qualitegオリジナル、ターゲットペルソナの策定方法

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。


一部上場企業のクライアント向けに新規事業開発研修を実施させていただくことがよくあるのですが、研修後のアンケート分析の段階で、

「ペルソナ策定を初めて体験して勉強になりました。」

というお声をよく伺います。

クライアント様によっては「自社の企画担当もペルソナを作ったことがないなんて、正直、恥ずかしいです。」とおっしゃる方もいらっしゃるのですが、その際、私は

「全くそんな風に感じていただかなくても大丈夫ですよ。」

とお声がけしています。

だって皆さん、大企業の企画担当の方なので、代々伝わるサービスの後任として企画に入られる方がほとんどでしょうし、もう担当した時点でターゲットユーザーって決まってることが多いですよね。

企業の企画担当と言っても、全く新規でユーザー設定から考える機会はほとんどないと言っても過言ではないでしょうから、この解説をみてペルソナ策定手法について少しでも知識を習得して頂ければ幸いです。

ペルソナ策定での御法度とは

一番やってはいけないこと、これはずばり「妄想ペルソナ」です。

A black phone surrounded by others on a white surface.

ペルソナ自体が自社の製品、サービスを使ってくれる架空のキャラクターの為、自分で企画しているサービスを愛用してくれる、自分にとっての都合のいいひとを妄想で作り上げてしまう方がほとんどですが、これはNG。

これは、本当に意味がないことです。ペルソナはサービス設計、UX検討、マーケティングなどの戦略立案にも使われる重要なもので、理想的な顧客を代表するプロファイルである必要がありますし、その人の行動パターン、動機、課題や、お金を払いたくなるその人なりの”琴線"は何か、を明らかにしておく必要がありますよね。

それは、すなわち開発メンバー全員の”拠り所”になるのが、ペルソナなのに、実際ありえないようなキャラクター設定をしてしまうと、UXやUIはもちろん、仕様や導入戦略もすべて、とんちんかんなものになってしまいます。

”妄想だらけのペルソナ”は今日で卒業してください。

事業責任者に「これって君にとって都合のいい人を作り上げただけでしょ」って言われちゃいますから。

株式会社Qualitegの Innovation-Crossは、単なるサービス提供者ではなく、企業のイノベーション創出を共に推進する戦略パートナーです。現状分析から戦略策定、実行支援まで、長期的な視点で御社の革新創出を伴走。

アイデアワークショップ、ハッカソン企画、最先端AI技術の活用など、多様なアプローチで「自社だけでは難しい」イノベーションを外部との協業によって実現します。経験豊富な専門コンサルタントが、御社のビジョンと事業環境を深く理解した上で、社内外のリソースを最適に組み合わせた革新的な価値創造を推進。一時的なコンサルティングではなく、継続的なパートナーシップを通じて、御社の持続的な成長と競争力強化を実現します。共に考え、共に創り、共に成長する—それが私たちの約束です。

ペルソナ構築のためのキャラクター設定とは

では、ペルソナ構築のためのキャラクター設定とはどのようにすべきでしょうか。

woman in white dress standing on forest during daytime

ペルソナ策定の前の段階で、アンケートなどの定量調査を実施済みであることが理想ですが、それらがない場合は、一般のアンケート調査や、自社のインタビュー調査などのデータを使ってペルソナ策定の元データにしましょう。

これらの収集したデータから、代表的な顧客像、すなわちペルソナを作成します。このペルソナには、名前、年齢、職業、家族構成といった具体的なプロファイルが設定されます。

そのペルソナの価値観などがわかるように、居住地の駅名や、仕事のスタイル、休日の過ごし方や、現在の悩みなども書くようにしましょう。

これにより、ペルソナは製品やサービスのターゲット顧客を具現化したものとなり、開発やマーケティング戦略をより顧客中心で効果的に行うための基盤として機能します。プロファイルの詳細は、実際の顧客データを基に構築され、リアルな顧客の行動やニーズを反映させることが重要です。

また、ペルソナ策定時のもう一つのポイントは、ありがちなつまらない人ではなくて、個性的なキャラクターを設定することをお勧めいたします。

どうしてもマス向けにと考えてしまうと、ありがちなつまらないペルソナ像を作ってしまうことが多いです。でも、今回作ったペルソナはサービスが存在している限り”ずっと付き合う上顧客”なわけですから、名前を呼んで、「あの人ってこういう人だよね」とみんなで語り合えるくらいの愛情を注いでペルソナを作りましょう。

まるで学生時代の友達のことを、職場の人に説明しているように、実際存在する人の話をできるようなレベルまでペルソナを作りこめば、その人に気に入られるサービスを作る際にイメージが沸きやすいですし、ペルソナを作る意義があると思います。

ペルソナのシナリオ作成とは

ペルソナのプロフィールが完成したら次は、ペルソナのシナリオを作成しましょう。ペルソナが普段直面している問題や課題、具体的には競合サービスを利用して不満に思っている点や、サービスを選定する際に大事にしている考慮点、どういうアプローチでサービスを見つけ、購入まで至ったのか、どういうタイミングでどのようなシチュエーションでサービスを利用しているのかを具体的に記述します。

これらは、探索インタビューでヒアリングした相手の中からそれぞれ印象的だった部分を少しずつピックアップしてマージし、ペルソナとしてシナリオを作ると、よりリアルな存在している人の生活感を出せるので、お勧めいたします。

ペルソナの検証と改善方法

ペルソナですが、作って満足して終わってしまう方が9割です。ペルソナは作ってからの運用が必要であることを忘れないでください。

まずは、策定したペルソナを開発チームやマーケティングチームに共有し、彼らからのフィードバックを受け取りましょう。実際の顧客データと照らし合わせ、ペルソナのリアリティを検証します。自分が想いを込めて作ったペルソナであるほど、他の人のフィードバックを受けると、「違うんだよね、そうじゃなくて、私が考えるペルソナは、、」って言いたくなる気持ちも痛いほどわかります。

a person holding a white heart in their hands

しかしながら、あくまでもペルソナ策定の目的は、サービス開発やマーケティング戦略に役立てるために、実際のターゲット顧客を正確に反映しているべきです。そのため、違うと思ったら徹底的に議論し、お互いが納得するまで話し合いましょう。

また、初回のチーム内での協議だけではなく、その後のインタビュー調査、アンケート調査やリリースしてからのご愛用者調査などを通じて常にアップデートしていただき、”リアリティがある顧客増”を常に追求し続けていただければと思います。


コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。

また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。

皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。次回のコラムも、ぜひご期待くださいね。


navigation

Read more

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第2回:AIを使ったドリフト補正

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第2回:AIを使ったドリフト補正

こんにちは! 前回の記事では、当社のMotionVoxで使用している「リップシンク」技術について、wav2vecを用いた音声特徴量抽出の仕組みを解説しました。音声から正確な口の動きを予測するための基礎技術について理解いただけたかと思います。 今回は、その続編として、リップシンク制作における重要な技術的課題である「累積ドリフト」に焦点を当てます。wav2vecで高精度な音素認識ができても、実際の動画制作では複数の音声セグメントを時系列に配置する際、わずかなタイミング誤差が蓄積して最終的に大きなずれとなる現象が発生します。 本記事では、この累積ドリフトのメカニズムと、機械学習を活用した最新の補正技術について、実際の測定データを交えながら詳しく解説していきます。前回のwav2vecによる特徴抽出と今回のドリフト補正技術を組み合わせることで、MotionVoxがどのように高品質なリップシンクを実現しているのか、その全体像が見えてくるはずです。 累積ドリフトとは何か 基本概念 累積ドリフトとは、個々の音声セグメントが持つ微小なタイミング誤差が、時間の経過とともに蓄積していく現象で

By Qualiteg 研究部
AIエージェント時代の新たな番人「ガーディアンエージェント」とは?

AIエージェント時代の新たな番人「ガーディアンエージェント」とは?

こんにちは!今日は先日ガートナーが発表したガーディアンエージェントについて解説します ガートナーの公式定義 ハイプカーブで有名なガートナーは2025年6月に、ガーディアンエージェントに関する見解を発表しました。ガーディアン・エージェントとは、AIとの安全で信頼できるやりとりを支援するために設計されたAIベースのテクノロジです。 ざっくりいうと、 「AIエージェントが来るよ」と予言したガートナー社は、次は、「ガーディアンエージェントが来るよ」と予言しました。なぜガーディアンエージェントが来るのでしょうか?本稿では、そのあたりを考察していきたいと思います。 なぜ今、AIの「監視役」が必要なのか 2025年、私たちは本格的なAIエージェント時代の入り口に立っています。AIが単なるツールから、自律的に判断し行動する「エージェント」へと進化する中で、新たな課題が浮上しています。 従来のAIとエージェント型AIの違い さて、ガーディアンエージェントが必要になる理由として、生成AI(以後AIと呼びます)の急速な進化があげられます。従来のAIとエージェント型AIの違いを思い出

By Qualiteg コンサルティング
LLM推論基盤プロビジョニング講座 第4回 推論エンジンの選定

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第4回 推論エンジンの選定

こんにちは!前回までの講座では、LLMサービス構築に必要なリクエスト数の見積もりや、使用モデルの推論時消費メモリ計算について詳しく解説してきました。今回は7ステッププロセスの4番目、「推論エンジンの選定」について詳しく掘り下げていきます。 推論エンジンとは何か 推論エンジンとは、GPU上でLLMモデルの推論計算(テキスト生成)を効率的に行うために設計された専用のソフトウェアプログラムです。一般的なディープラーニングフレームワーク(PyTorch、TensorFlowなど)でも推論は可能ですが、実運用環境では専用の推論エンジンを使用することで、大幅なパフォーマンス向上とリソース効率化が期待できます。 推論エンジンは単なる実行環境ではなく、様々な最適化技術を実装しています。特定のモデルアーキテクチャに特化した最適化機能を実装したものや、推論速度の高速化に特化したもの、前回解説したKVキャッシュのメモリ効率化機能を備えたものなど、それぞれ特徴が異なります。そのため、自社で採用したLLMモデルや運用環境、要件に合致した推論エンジンを選定することが重要です。 推論エンジン選定のアプロ

By Qualiteg コンサルティング
発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第1回:音素とwav2vec

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第1回:音素とwav2vec

こんにちは! 今日は当社のMotionVox でも実際に使っている「リップシンク」技術について総合的に解説してみたいとおもいます。 音声に合わせて自然な口の動きを生成するリップシンク技術は、AIアバターや3Dアニメーション制作においても重要な技術です。 本記事では、最新のディープラーニング技術を活用したリップシンク学習の基礎から実装まで、技術的な観点から詳しく解説します。 1. リップシンク学習の基礎概念 1.1 問題設定 リップシンク学習とは、音声データから対応する口の動きを予測する回帰問題ととらえることができます f: 音声特徴量(t) → 口の動きパラメータ(t) この問題のコアは 音韻(音の特徴)と視素(視覚的な口の形)の対応関係を学習する ことにあります。 1.2 音韻-視素マッピングの複雑性 ただし! 人間の発話における音と口の形の関係は、単純な1対1マッピングではないんです。 同じ音でも文脈で変化 「あ」の発音でも: - 「か」の後の「あ」→ 口がやや狭めから開く - 「ん」の後の「あ」→ 口が閉じた状態から大きく開く 調音結合

By Qualiteg 研究部, Qualiteg コンサルティング