[AI新規事業創出] Qualitegセレクション:アイディア創造編②SCAMPERの活用術

[AI新規事業創出] Qualitegセレクション:アイディア創造編②SCAMPERの活用術

Qualiteg blogを訪問してくださった皆様、こんにちは。Micheleです。AIを活用した新規事業やマーケティングを手がけている私には、クライアントからよく寄せられる質問があります。AIを用いた事業展開を検討されている方々が共通して直面するであろう課題に対して、このブログを通じて私なりの解答をご提供したいと思います。


新規事業の立ち上げを考えている起業家や企業の皆さん、アイディア出しに行き詰まっていませんか?今回はSCAMPERという強力な発想法を紹介します。

SCAMPERを活用すれば、既存の製品やサービスを起点に、革新的なビジネスアイディアを生み出すことができます。日本ではあまりなじみのない手法ですが、シリコンバレーではよく使われる手法なのでぜひマスターしてみてくださいね。

SCAMPERとは何か?

SCAMPERは以下の7つの思考プロセスの頭文字を取った造語です:

  1. Substitute (代替)
  2. Combine (結合)
  3. Adapt (適応)
  4. Modify (修正)
  5. Put to another use (別の用途)
  6. Eliminate (削除)
  7. Reverse (逆転)

SCAMPERの具体的な活用方法とは?

brown wooden letter blocks on white surface
  1. Substitute (代替) 既存の要素を別のものに置き換えてみます。例えば、従来の素材を環境に優しい素材に変更するなど。
  2. Combine (結合) 異なる製品やサービスを組み合わせて新しい価値を生み出します。スマートフォンとカメラの融合など。
  3. Adapt (適応) 別の分野のアイディアを自分のビジネスに応用します。例えば、自動車産業の生産管理手法を飲食業に適用するなど。
  4. Modify (修正) 既存の製品やサービスの一部を変更します。サイズ、形状、機能などを調整して新たな需要を掘り起こします。
  5. Put to another use (別の用途) 既存の製品やサービスを想定外の用途で使用します。例えば、建設現場用の安全ヘルメットを自転車用に転用するなど。
  6. Eliminate (削除) 不要な要素を取り除きシンプル化します。例えば、ミニマリストをターゲットにした製品ラインの開発など。
  7. Reverse (逆転) 常識や前提を覆して考えます。例えば、従来の販売方法を逆転させたサブスクリプションモデルの導入など。

株式会社Qualitegの Innovation-Crossは、多様な業界での豊富な実績を持つイノベーション共創支援プログラムです。大企業からスタートアップまで、多くの企業の革新創出を支援してきた経験をもとに、御社に最適な共創戦略を提案します。企業の現状分析、戦略策定、ロードマップ作成、実行支援まで、イノベーション創出の全プロセスをカバー。

アイデアワークショップ、ハッカソン企画、AI技術活用など、検証済みの手法で「自社だけでは難しい」革新を確実に実現します。経験豊富な専門コンサルタントが、過去の成功事例から得た知見を活かし、外部との協業による新たな価値創造を強力にバックアップします。

SCAMPERの実践方法をご紹介します!

  1. 改善したい既存の製品やサービスを選びます。
  2. 7つの思考プロセスを順番に適用し、アイディアを出します。
  3. 生まれたアイディアを評価し、実現可能性や市場性を検討します。
  4. 有望なアイディアをさらに発展させ、ビジネスプランに落とし込みます。

では実際に、電気自転車レンタルサービスを例に、SCAMPERの7つのプロセスを適用してみましょう。

  1. Substitute (代替)
  • 電動バイクへの代替: 電気自転車の代わりに小型の電動バイクを導入する。
  • 再生可能エネルギー源への切り替え: バッテリー充電に太陽光発電を利用する。
  1. Combine (結合)
  • 観光ガイドアプリとの統合: 自転車に取り付けたタブレットで、走行中に観光案内を提供する。
  • フィットネストラッカーとの連携: 利用者の運動量や消費カロリーを記録し、健康管理をサポートする。
  1. Adapt (適応)
  • シェアリングエコノミーモデルの適用: 固定のステーションではなく、どこでも乗り捨て可能なフリーフロート型サービスに変更する。
  • 季節に応じた適応: 冬季は電動ファットバイクを導入し、雪道でも利用可能にする。
  1. Modify (修正)
  • サイズバリエーションの拡大: 子供用や高齢者用の特殊サイズの電動自転車を追加する。
  • 性能アップグレード: より長距離走行可能なバッテリーや、より強力なモーターを搭載する。
  1. Put to another use (別の用途)
  • 宅配サービスへの転用: 昼間の利用が少ない時間帯に、自転車を使った小口配送サービスを提供する。
  • モバイル充電ステーションとしての活用: 自転車のバッテリーを利用して、スマートフォンなどの充電サービスを提供する。
  1. Eliminate (削除)
  • 会員登録プロセスの簡素化: クレジットカードのタッチ決済だけで即時利用可能にする。
  • 固定料金制の廃止: 距離や時間に応じた柔軟な料金体系を導入する。
  1. Reverse (逆転)
  • ユーザーが充電するモデル: 利用者が自転車を充電することで料金割引を受けられるシステムを導入する。
  • 逆方向のルート提案: 通常のルートに加え、あえて遠回りするシーニックルートを提案し、観光利用を促進する。

SCAMPERがもたらす逆転の発想力をぜひ活用してください!

これらのアイディアを組み合わせることで、既存の電気自転車レンタルサービスを革新的なものに変えることができます。例えば、太陽光充電と観光ガイドアプリを組み合わせた環境に優しい観光サービスや、フリーフロート型で宅配にも使える多目的な都市交通ソリューションなどが考えられます。

実際にビジネスに適用する際は、各アイディアの実現可能性や市場ニーズを十分に検討し、最も有望なものを選択・発展させていくことが重要です。

このように、SCAMPERを用いることで、既存のサービスを多角的に見直し、新たな価値を創造することができます。ご質問や更なる展開のアイディアがありましたら、お聞かせください。


コラムを最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。私たちQualitegは、AI技術や新規事業の企画方法に関する研修およびコンサルティングを提供しております。もしご興味をお持ちいただけた場合、また具体的なご要望がございましたら、どうぞお気軽にこちらのお問い合わせフォームまでご連絡くださいませ。

また、新規事業創出のステップを体得したいという方にご好評のワークショップも実施しております。それぞれの担当者の方が役員目線で事業を考えるという点にフォーカスしたトレーニング内容となっており、企画担当者の方だけではなく、カウンターパートのエンジニア、デザイナー、マーケターの方にもご受講いただけるコンテンツとなっております。

皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。次回のコラムも、ぜひご期待くださいね。


navigation

Read more

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第3回 使用モデルの推論時消費メモリ見積もり

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第3回 使用モデルの推論時消費メモリ見積もり

こんにちは!前回はLLMサービスへのリクエスト数見積もりについて解説しました。今回は7ステッププロセスの3番目、「使用モデルの推論時消費メモリ見積もり」について詳しく掘り下げていきます。 GPUメモリがリクエスト処理能力を決定する LLMサービス構築において、GPUが同時に処理できるリクエスト数はGPUメモリの消費量によって制約されます。 つまり、利用可能なGPUメモリがどれだけあるかによって、同時に何件のリクエストを処理できるかがほぼ決まります。 では、その具体例として、Llama3 8B(80億パラメータ)モデルをNVIDIA RTX A5000(24GB)にロードするケースを考えてみましょう。 このGPUには24GBのGPUメモリがありますが、すべてをリクエスト処理に使えるわけではありません。最初にモデル自体が一定量のメモリを消費し、残りの領域で実際のリクエスト処理を行います。 GPUメモリ消費の二大要素 GPUの消費メモリ量は主に以下の2つの要素によって決まります 1. モデルのフットプリント LLMをGPUに読み込んだときに最初に消費されるメモリ

By Qualiteg コンサルティング
システムとcondaのC++標準ライブラリ(libstdc++)のバージョン違い問題による事象と対処法解説

システムとcondaのC++標準ライブラリ(libstdc++)のバージョン違い問題による事象と対処法解説

こんにちは! 先日、dlibをつかったPythonアプリケーション(conda環境で動作する)作っていたところ、以下のようなエラーに遭遇しました。 ImportError: /home/mlu/anaconda3/envs/example_env/bin/../lib/libstdc++.so.6: version `GLIBCXX_3.4.32' not found (required by /home/mlu/anaconda3/envs/example_env/lib/python3.10/site-packages/_dlib_pybind11.cpython-310-x86_64-linux-gnu.so) 「dlib_pybind11モジュールがGLIBCXX_3.4.32を要求してるけど、みつからない!」という感じのエラーですね。

By Qualiteg プロダクト開発部
LLM推論基盤プロビジョニング講座 第2回 LLMサービスのリクエスト数を見積もる

LLM推論基盤プロビジョニング講座 第2回 LLMサービスのリクエスト数を見積もる

こんにちは! 今回はLLM推論基盤プロビジョニング講座 第2回です! STEP2 LLMサービスへのリクエスト数見積もり それでは、早速、LLM推論基盤プロビジョニングの第2ステップである「リクエスト数見積もり」の重要性と方法を解説いたします。 LLMサービスを構築する際に必要となるGPUノード数を適切に見積もるためには、まずサービスに対して想定されるリクエスト数を正確に予測する必要があります。 リクエスト数見積もりの基本的な考え方 LLMサービスへの想定リクエスト数から必要なGPUノード数を算出するプロセスは、サービス設計において非常に重要です。過小評価すればサービス品質が低下し、過大評価すれば無駄なコストが発生します。このバランスを適切に取るための基礎となるのがリクエスト数の見積もりです。 想定リクエスト数の諸元 リクエスト数を見積もるための5つの重要な要素(諸元)をみてみましょう。 1. DAU(Daily Active Users): 1日あたりの実際にサービスを利用するユーザー数です。これはサービスの規模を示す最も基本的な指標となります。 2. 1日

By Qualiteg コンサルティング
Zoom会議で肩が踊る?自動フレーミング映像安定化とAIによる性能向上の可能性

Zoom会議で肩が踊る?自動フレーミング映像安定化とAIによる性能向上の可能性

こんにちは! 本日は、自動フレーミング映像の安定化に関するアルゴリズム・ノウハウを解説いたします 第1章 問題の背景と目的 バストアップ映像を撮影する際、特にオンラインミーティングやYouTubeなどのトーク映像では、人物がうなずく、首を振るなどの自然な動作をした際に「首まわりや肩がフレーム内で上下に移動してしまう」という現象がしばしば起こります。これは、多くの場合カメラや撮影ソフトウェアが人物の「目や顔を画面中央に保とう」とする自動フレーミング機能の働きに起因します。 撮影対象の人物が頭を下げた際に、映像のフレーム全体が相対的に上方向へシフトし、その結果、本来動いていないはずの肩の部分が映像内で持ち上がっているように見えてしまう現象です。 本稿では、この問題を撮影後の後処理(ポストプロセッシング)のみを用いて、高速、高い精度かつロバストに解決する手法をご紹介します。 前半では、従来のCV(コンピュータービジョン)の手法を使い高速に処理する方法をご紹介します。後半では、AIを使用してより安定性の高い性能を実現する方法について考察します。 第2章 古典手法による肩の上下

By Qualiteg 研究部