Qualiteg プロダクト開発部

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エンジニアリングは「趣味」になってしまうのか

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エンジニアリングは「趣味」になってしまうのか

こんにちは! 本日は vibe coding(バイブコーディング、つまりAIが自動的にソフトウェアを作ってくれる)と私たちエンジニアの将来について論じてみたいとおもいます。 ちなみに、自分で作るべきか、vibe codingでAIまかせにすべきか、といった二元論的な結論は出せていません。 悩みながらいったりきたり考えてる思考過程をツラツラと書かせていただきました。 「作る喜び」の変質 まずvibe codingという言葉についてです。 2025年2月、Andrej Karpathy氏(OpenAI創設メンバー)が「vibe coding」という言葉を広めました。 彼は自身のX(旧Twitter)投稿で、 「完全にバイブに身を任せ、コードの存在すら忘れる」 と表現しています。 つまり、LLMを相棒に自然言語でコードを生成させる、そんな新しい開発スタイルを指します。 確かにその生産性は圧倒的です。Y Combinatorの2025年冬バッチでは、同社の発表によれば参加スタートアップの約25%がコードの95%をAIで生成していたとされています(TechCrunch, 2

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発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第5回(後編):Transformerの実装と実践的な技術選択

発話音声からリアルなリップシンクを生成する技術 第5回(後編):Transformerの実装と実践的な技術選択

なぜGPTで成功したTransformerが、リップシンクでは簡単に使えないのか?データ量・計算量・過学習という3つの課題を深掘りし、LSTMとTransformerの実践的な使い分け方を解説。さらに転移学習という第三の選択肢まで、CEATEC 2025で見せた「アバター」の舞台裏を、クオ先生とマナブ君の対話でわかりやすく紐解きます。

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日本語対応 LLMランキング2025 ~ベンチマーク分析レポート~

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日本語対応 LLMランキング2025 ~ベンチマーク分析レポート~

はじめに 本レポートは、Nejumi Leaderboard 4のベンチマークデータ(2025/10/11版)に基づいて、日本語対応LLMの性能を総合的に分析したものです。 Nejumi Leaderboard 4は、日本語タスクにおけるLLMの性能を多角的に評価する信頼性の高いベンチマークとして知られています。 本分析では、総合スコアとコーディングスコアの2つの観点から、商用APIモデルとオープンモデルの両方を対象に、それぞれの特徴や傾向を詳しく見ていきます。 オープンソースモデルについて Weightがオープンなモデルは場合によっては「オープンソースモデル」、「OSSモデル」と呼ばれますが、モデルによっては「オープンソース」と呼ぶには不十分な場合があるため本稿では、「オープンソースモデル」ではなく「オープンモデル」と表現しています。 ベンチマーク分析について 本レポートは、LLM選択の参考情報として、ベンチマークデータから読み取れる傾向や特徴を提示するものです。最終的なモデル選択においては、これらの情報を踏まえつつ、実際の使用環境での検証を行うことをおすすめいたし

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Claude 4.5 APIにおける画像入力のトークン数計算と最適化ガイド

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Claude 4.5 APIにおける画像入力のトークン数計算と最適化ガイド

こんにちは! 今回は、Claude 4.5 sonnet/haiku、Claude 4.1 OpusをAPIからつかうときの画像のトークン数計算方法について詳しく解説します。 画像トークン数の計算方法 Claude 4.5 APIに送信する画像は、テキストと同様にトークンとしてカウントされ、料金計算の基礎となります。画像がAPIのサイズ制限内でリサイズ不要な場合、以下の簡単な計算式でトークン数を推定できます。 基本計算式 トークン数 = (横幅px × 縦幅px) ÷ 750 この計算式を使用することで、アップロード前にコストを予測し、必要に応じて画像を最適化することが可能になります。例えば、1000×1000ピクセルの画像は約1334トークンを消費し、Claude 4.5の料金体系では、画像1枚あたりのコストを事前に計算できます。1092×1092ピクセル(1.19メガピクセル)の画像であれば約1590トークンとなり、これを基準にバッチ処理のコストも見積もることが可能です。 画像サイズの制限と最適化 Claude 4.5 APIには画像サイズに関するいくつかの重要な

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Pythonの落とし穴:__len__メソッドを実装したらオブジェクトの真偽値判定が変わってしまった話

Python

Pythonの落とし穴:__len__メソッドを実装したらオブジェクトの真偽値判定が変わってしまった話

こんにちは! Pythonでカスタムクラスを作成していて、 「オブジェクトは存在するのにif文でFalseと判定される」 という不可解な現象に遭遇したことはありませんか? この記事では、__len__メソッドを実装することで生じる、予期しない真偽値判定の挙動について解説いたします! 実際に遭遇したバグ ユーザーの投稿を管理するクラスを実装していたときのことです class PostManager: """ブログ投稿を管理するクラス""" def __init__(self, user_id): self.user_id = user_id self._posts = [] self._cache = {} def __len__(self): """投稿数を返す""" return len(self._posts) def add_post(

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その処理、GPUじゃなくて勝手にCPUで実行されてるかも  ~ONNX RuntimeのcuDNN 警告と対策~

日々の開発Tips

その処理、GPUじゃなくて勝手にCPUで実行されてるかも ~ONNX RuntimeのcuDNN 警告と対策~

こんにちは! 本日は、ONNX RuntimeでGPU推論時の「libcudnn.so.9: cannot open shared object file」エラーの解決方法についての内容となります。 ONNX Runtimeを使用してGPU推論を行う際、CUDAプロバイダの初期化エラーに遭遇することがありますので、このエラーの原因と解決方法を解説いたします。 エラーメッセージの詳細 [E:onnxruntime:Default, provider_bridge_ort.cc:2195 TryGetProviderInfo_CUDA] /onnxruntime_src/onnxruntime/core/session/provider_bridge_ort.cc:1778 onnxruntime::Provider& onnxruntime::ProviderLibrary::Get() [ONNXRuntimeError] : 1 : FAIL : Failed to load

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NVIDIA GeForce RTX 50xx with CUDA capability sm_120 is not compatible with the current PyTorch installation. が発生したとき

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NVIDIA GeForce RTX 50xx with CUDA capability sm_120 is not compatible with the current PyTorch installation. が発生したとき

こんにちは、PyTorch 2.6.0 環境で以下のような問題が発生したときの対処方法について解説いたします。 NVIDIA GeForce RTX 5090 with CUDA capability sm_120 is not compatible with the current PyTorch installation. The current PyTorch install supports CUDA capabilities sm_50 sm_60 sm_70 sm_75 sm_80 sm_86 sm_90. 他のBlackwell GeForce の場合は以下のようなメッセージとなります。 NVIDIA GeForce RTX

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OpenCV cv2.imwrite で発生する「_img.empty()」エラーと「動画安定化」による解決法

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OpenCV cv2.imwrite で発生する「_img.empty()」エラーと「動画安定化」による解決法

こんにちは! 画像処理や動画解析の現場で広く利用されている OpenCV。 しかし実務で動画処理を行っていると、時折以下のようなエラーに遭遇することがあります。 cv2.error: OpenCV(4.11.0) /io/opencv/modules/imgcodecs/src/loadsave.cpp:929: error: (-215:Assertion failed) !_img.empty() in function 'imwrite' このエラーは、cv2.imwrite() に渡された画像が空(None またはサイズ0) の場合に発生します。 一見単純に見える問題ですが、背後には「入力動画の不安定さ」や「並列処理の競合」といった要因が潜んでいることが少なくありません。 本記事では、このエラーの発生原因を掘り下げ、実務で効果のある解決策として 「動画の安定化(正規化)」 を紹介します。 TL;

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AIがよく間違える「クロージャ問題」の本質と対策

日々の開発Tips

AIがよく間違える「クロージャ問題」の本質と対策

こんにちは! 本日は「クロージャ問題」に関する話題となります。 Pythonでループ内に関数を定義したことはありますか? もしあるなら、あれれ?な挙動に遭遇したことがあるかもしれません。 本稿では、Pythonプログラマーなら一度は経験する「クロージャ問題」について、初心者にもわかりやすく解説してみたいとおもいます クロージャとは何か? そもそも ”クロージャ” とは何でしょうか。 クロージャ(closure)とは、関数が自分の定義されたスコープの変数を覚えて持ち運ぶ仕組み のことです。 もう少し分解すると、次の2つがポイントとなります 1. 内側の関数が、外側の関数の変数を使える 2. 外側の関数が終了しても、その変数は生き続ける 普通の関数とクロージャ―を使った関数を比較してみましょう 普通の関数との比較 まずは普通の関数から、 def add(x, y): return x + y print(add(3, 5)) # 8 print(add(3, 7)

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【OpenAI API】Vision対応LLMの画像トークン消費量計算法 2025年最新版

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【OpenAI API】Vision対応LLMの画像トークン消費量計算法 2025年最新版

こんにちは! OpenAIのVision対応(つまり画像も入力できるLLM)モデルは、画像をトークンに変換する際に2つの異なる計算方式を採用しています。 最新のGPT-5系列やGPT-4.1系列では、従来のタイル方式とは異なるパッチベース方式が導入されました。この変更により、画像処理の効率性が大幅に向上し、より細かな制御が可能になっています。 2つの計算方式の違い OpenAIは現在、パッチベース方式とタイルベース方式という2つの計算方法を並行して運用しています。 パッチベース方式は、GPT-4.1-mini、GPT-4.1-nano、GPT-5-mini、GPT-5-nano、o4-miniといった新世代モデルで採用されています。この方式では画像を32×32ピクセルという非常に小さなパッチに分割します。従来のタイル方式が512×512ピクセルだったことを考えると、約256分の1のサイズで処理することになり、より精密な画像理解が可能になりました。 一方、GPT-4o、GPT-4.1、GPT-5、o1、o3などの主力モデルは引き続きタイルベース方式を採用しています。こちらは

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PyTorchの重いCUDA処理を非同期化したらメモリリークした話と、その解決策

日々の開発Tips

PyTorchの重いCUDA処理を非同期化したらメモリリークした話と、その解決策

こんにちは!Qualitegプロダクト開発部です! 今回は同期メソッドを非同期メソッド(async)化しただけなのに、思わぬメモリリーク※に見舞われたお話です。 深層学習モデルを使った動画処理システムを開発していた時のことです。 「処理の進捗をリアルタイムでWebSocketで通知したい」という要件があり、「単にasync/awaitを使えばいいだけでしょ?」と軽く考えていたら、思わぬ落とし穴にはまりました。 プロ仕様のGPUを使っていたにも関わらず、メモリ不足でクラッシュしてしまいました。 この記事では、その原因と解決策、そして学んだ教訓を詳しく共有したいと思います。同じような問題に直面している方の参考になれば幸いです。 ※ 厳密には「メモリリーク」ではなく「メモリの解放遅延」ですが、 実用上の影響は同じなので、この記事では便宜上「メモリリーク」と表現します。 背景:なぜ進捗通知は非同期である必要があるのか モダンなWebアプリケーションの要求 最近のWebアプリケーション開発では、ユーザー体験を向上させるため、長時間かかる処理の進捗をリアルタイムで表示することが

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AI時代のデータ漏洩防止の要諦とテクノロジー:第1回 AI DLPとPROXY

LLM セキュリティ

AI時代のデータ漏洩防止の要諦とテクノロジー:第1回 AI DLPとPROXY

こんにちは!本日はAI時代のデータ漏洩防止について、とくにその通信技術面に焦点をあてつつ、AIセキュリティにどのように取り組んでいくべきか、解説いたします。 1. はじめに 生成AIの急速な普及により、企業のデータガバナンスは新たな局面を迎えています。ChatGPTやClaudeといった大規模言語モデル(LLM)は、業務効率を飛躍的に向上させる一方で、意図しない機密情報の漏洩という深刻なリスクをもたらしています。 従業員が何気なく入力した顧客情報や営業秘密が、AIサービスの学習データとして使用される可能性があることを、多くの組織はまだ十分に認識していません。従来のDLP(Data Loss Prevention)ソリューションは、メールやファイル転送を監視することには長けていましたが、リアルタイムで行われるWebベースのAIチャットやAIエージェントとの対話で発生しうる新しい脅威には対応できていないのが現状です。 本記事では、AI時代のデータ漏洩防止において中核となる技術、特にHTTPS通信のインターセプトとその限界について、技術的な観点から詳しく解説します。プロキシサーバー

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システムとcondaのC++標準ライブラリ(libstdc++)のバージョン違い問題による事象と対処法解説

日々の開発Tips

システムとcondaのC++標準ライブラリ(libstdc++)のバージョン違い問題による事象と対処法解説

こんにちは! 先日、dlibをつかったPythonアプリケーション(conda環境で動作する)作っていたところ、以下のようなエラーに遭遇しました。 ImportError: /home/mlu/anaconda3/envs/example_env/bin/../lib/libstdc++.so.6: version `GLIBCXX_3.4.32' not found (required by /home/mlu/anaconda3/envs/example_env/lib/python3.10/site-packages/_dlib_pybind11.cpython-310-x86_64-linux-gnu.so) 「dlib_pybind11モジュールがGLIBCXX_3.4.32を要求してるけど、みつからない!」という感じのエラーですね。

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GPUサービスで「Segmentation Fault 」に出会ったら~分析から解決までの実践アプローチ~

NumPy/PyTorch

GPUサービスで「Segmentation Fault 」に出会ったら~分析から解決までの実践アプローチ~

こんにちは! 今日は仮想環境+GPUなサービスにおける「Segmentation Fault」について、分析と対処法について書いてみたいと思います。 Segmentation Faultの本質と特徴 Segmentation Faultは、プログラムが保護されたメモリ領域にアクセスしようとした際にOSが発生させる例外です。 今回は複数のGPUサービス(つまりGPUを使うプロセス)が動作していて、そのうちの1つを再起動したときに発生しました。 毎回発生するわけではありません。むしろ数百回の起動に1回程度ですが、1回でも発生すると絶望的な結果につながります。というのも、1つのGPUサービスの停止が SPOF となってサービス全体に影響が発生します。かつ、1回でも「Segmentation Fault」が発生してしまうと、その原因となったプロセスが二度と起動しなくなる、というやっかいな現象でした。 このように「普段は正常に動作しているのに突然動かなくなる」というのがデバッグを非常に難しくします。 とくにGPU+仮想化の組み合わせで従来のC++アプリよりも発生確率がぐっとあがる印象

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シェルスクリプトからcondaコマンドを活用したいとき

日々の開発Tips

シェルスクリプトからcondaコマンドを活用したいとき

こんにちは! 今日はみんな大好きcondaコマンドについてです。 condaコマンドで仮想環境に入って、何らかの処理をして、戻ってくる ようなシェルスクリプト、バッチタスクをやるときのTipsです。 AI開発において、Anacondaとその中核であるcondaパッケージマネージャーはとっても重宝します。 しかし、シェルスクリプトから自動的にcondaを利用しようとすると、意外なハードルがあります。 本記事では、シェルスクリプトからcondaコマンドを正しく呼び出す方法について解説します。 condaと非対話モードの課題 AnacondaがインストールされているLinux環境において、condaコマンドは通常、.bashrcや.bash_profileなどの設定ファイルによって初期化されます。 なんとなくシェルをつかっていると、このcondaコマンドの初期化を忘れてしまいますが、これらの設定は多くの場合シェルの「対話モード」でのみ有効になるように設計されています。 ゆえにシェルスクリプトのような非対話モードでは、condaコマンドが正しく機能してくれません 例えば、.b

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Node.jsで大容量ファイルを扱う:AIモデルのような大きなデータ保存はストリーム処理使いましょう

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Node.jsで大容量ファイルを扱う:AIモデルのような大きなデータ保存はストリーム処理使いましょう

こんにちは!今日はAIシステムのフロントサーバーとしてもよく使用するNode.jsについてのお話です。 AIモデルの普及に伴い、大容量のデータファイルを扱う機会が急増しています。LLMなどのモデルファイルやトレーニングデータセットは数GB、場合によっては数十、数百GBにも達することがあります。 一方、Node.jsはWebアプリケーションのフロントサーバーとして広く採用されており、データマネジメントやPythonで書かれたAIバックエンドとの橋渡し役としてもかなりお役立ちな存在です。 本記事では、Node.js v20LTSで5GB程度のファイルを処理しようとして遭遇した問題と、その解決方法について解説します。 Node.jsのバッファサイズ制限の変遷 Node.jsのバッファサイズ制限は、バージョンによって大きく変化してきました Node.jsバージョン サポート終了日 バッファサイズ上限 備考 Node.js 0.12.x 2016年12月31日 ~1GB 初期のバッファサイズ制限(smalloc.kMaxLength使用) Node.js 4.

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