IT & AIテクノロジー

[AI数理]対数関数の微分法・前編

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[AI数理]対数関数の微分法・前編

おはようございます!(株) Qualiteg 研究部です。 本日から2回にわたって対数関数について学んでいきましょう。 正確にいうと、対数関数の微分法を学びます。 対数関数って何だっけ? まず、対数関数というのは、「ある数 \( x \) が別の数 \( b \) を何回かけると \( x \) になるか」を調べる方法です。例えば、\( b \) が 2 で \( x \) が 8 の場合、2 を 3 回かけると 8 になります。この場合、数学的には「\( b \) の \( x \) に対する対数」と言います。 これを数式で表すと、次のようになります: $$ \log_b(x) = y $$ ここで \( b \) は底(

By Qualiteg 研究部
[自作日記7’] コラム:コンシューマ用GPUとプロ用GPUの違い

GPUマシン自作

[自作日記7’] コラム:コンシューマ用GPUとプロ用GPUの違い

今回は、コンシューマー用GPUは本格的なAI計算に使用できるのか、プロ用GPUとの違いは何か。比較も交えながら考えてみたいと思います。 私たちAI ベンチャー(ベンチャーじゃなくても)でGPUを使うシーンは3つあります。 1. AI研究:最新モデルや論文のちょっとしたお試し 小規模な学習。小規模な推論。 2. 学習:いわゆるディープラーニングのトレーニング。 長いと数週間、数か月におよぶ。 3. 商用運用:お客様が使用するサービスのバックエンドとしての AIエンジンの商用運用 今回 Jun さんが作ろうとしている GPU マシンは 1.AI研究 のためのものです。 というのも、たとえば、コンシューマー用GPUやコンシューマー用の自作パソコンの場合は長時間にわたるディープラーニングのトレーニングには向いていません。 やってる人もたまにみかけますが、心配になります。 なぜなら、学習させたいネットワークにもよりますが、1回の学習にかかる時間は数日から数週間、長いと数か月にわたります。その間、GPUをドライブするソフトウェアが安定

By Qualiteg Boot Camp
[AI数理] 指数関数

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[AI数理] 指数関数

おはようございます!(株) Qualiteg 研究部です。本日は指数関数を学びましょう。 対数関数の微分公式の導出でお役立ちなので、今回の出番となりました。 指数関数とは 指数関数は、繰り返しの掛け算を表す数学の式です。例えば、「2を3回掛ける」を考えると、これは \(2 \times 2 \times 2\) となり、結果は \(8\) です。数学的には、これを \(2^3 = 8\) と表現します。ここで \(2^3\) の形が指数関数であり、「 \(2\) 」が底、「\(3\)」が指数です。 指数関数は多くの自然現象や科学技術で見られる現象を表すのに非常に重要です。例えば、銀行の複利計算や細菌の増殖など、時間とともに増加する速度が速くなるような現象です。 指数関数はまた、数学において他の多くの概念や公式の基礎ともなっています。特に、対数関数の微分公式の導出には指数関数が不可欠です。対数関数の微分は、対数関数のグラフの傾きを求める計算方法です。この微分公式を理解するためには、指数関数の性質が重要です。 指数関数の重要な性質の一つに、

By Qualiteg 研究部
[自作日記7] AI用GPUの選定

GPUマシン自作

[自作日記7] AI用GPUの選定

今回は、AIに適したグラフィックボード(GPU)の選定をします。 本編に行く前に、グラフィックボードとGPUの違いについて整理しておきましょう グラフィックボードは、コンピューターで画像処理やAIの計算を担当する重要なハードウェアで パソコンのPCI Express のスロットに挿入して使用するのが一般的です。 一方 GPU はグラフィックボードの主要な構成要素の1つで、グラフィックボードは以下のようなコンポーネントで構成されています。 1. GPUチップ - グラフィック処理の中心で、複雑な数学的計算を高速に実行します。 2. VRAM(ビデオRAM) - GPUが直接アクセスする専用メモリで、ディープラーニングでは、パラメータ(重みやバイアス)や計算過程を保持する役割があり非常に高速に動作します。 3. 冷却システム - GPUが生成する熱を効果的に放散するためのファンやヒートシンク。 グラフィックボードとGPUを同一視して書いている記事も多く、私たちもあまり厳密に分けて書いていないですが、実体としては↑のような感じですね。 さて、それでは Jun さんの買い物の

By Qualiteg Boot Camp
[自作日記6] メモリ選定

GPUマシン自作

[自作日記6] メモリ選定

今回は、メモリや周辺パーツを選定しましょう。 メモリ選定にも落とし穴があり、Junさんは見事落とし穴にハマってしまいました。さっそくみていきましょう。 ふー。やっとCPUとマザーボードが買えました。 あと何を買えばいいんだっけ。ということで、もう一度、先輩の置手紙をみてみます ① CPUは 12世代か13世代のどちらでもよい。 ② GPU中心でつかうため、CPU側の能力は i5程度で問題ない。 ③ マザーボードのチップセットは CPUが12世代ならZ690 か CPUが13世代ならZ790。ATX。 ④ CPUメモリは 64GB 以上。DDR4でもDDR5でもどちらでもOK ⑤ グラボはコンシューマー向けでOKだけど、最上位モデルに近いもの。 ⑥ SSD は 1T以上。 ⑦ 電源は 800W 以上、 80Plus Titanium ⑧ ケースはグラボがちゃんと入ることを確認すること! ①~③までは無事かえましたので、あとはメモリ、グラボ、SSD、電源、ケースを買わないといけません。まだまだ、買い物ありますね。 おなかもすいてきたので、CP

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AI数理は Minecraftの夢を見る?

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AI数理は Minecraftの夢を見る?

みなさまこんにちは、(株) Qualiteg 研究部です。 LLM関連の論文を読んでいると、なぞの数式、なぞの記号がたくさんでてきて、めまいがすることはないでしょうか? 私も学生時代ニューラルネットを研究していましたが、それを理解するための数学的背景がミルフィーユのように多層になっており、面食らった記憶があります。 現代のLLMは、パーセプトロンや初期のニューラルネットの研究にくらべると、いや、分析系のディープラーニングベースAIの頃からみてもミルフィーユの層が10倍くらい厚く、LLMの仕組みを数学的に理解するには、その何重、何百という数学的理論基盤を理解しなければいけません。 (LLMを利用するだけなら、ミルフィーユをまるごと食べて「おいし~」って言っている状態ですが、じゃあ、その多層(の数理)になったミルフィーユを1層ずつ理解しながら作っていくのは食べるのにくらべてどれだけ大変か、ですね。) このように、LLMの実現には、機械学習の基礎編としての確率統計の話や、クラシックな機械学習の理論から、ディープラーニングで使う微分や離散化、RNN,LSTMなどを経てそこからトラ

By Qualiteg 研究部
[自作日記5] マザーボードはどれがいい?

GPUマシン自作

[自作日記5] マザーボードはどれがいい?

今回は、マザーボードの選定をします。 Junさんの買い物の続きをみるまえにもう一度チップセットについておさらいしておきましょう。 インテルの CoreシリーズCPUは 12世代、13世代ともに、CPUソケットが LGA 1700 となっており、多くの場合、12世代用のチップセットは13世代のCPUとも互換性がありますが、最新の機能や最適な性能を得るには、対応する世代のチップセットを使用することが推奨されます。 たとえば、12世代のインテルCoreシリーズCPU用に設計されている チップセットには以下のようなものがありますが、AI用途であればGPUを使いますので、Z690,H670のようなハイエンドチップセットを選ぶのが安全でしょう。 * Z690: 高性能チップセットで、オーバークロッキングサポート、PCIe 5.0 x16スロット、多数のPCIe 4.0レーン、高速なUSB 3.2 Gen 2x2接続、および高速ストレージのための複数のM.2スロットが提供されています。 * H670: オーバークロッキングはサポートしていませんが、それ以外の機能はZ690に近いチップセッ

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[自作日記4] いざ秋葉原! CPU選び

GPUマシン自作

[自作日記4] いざ秋葉原! CPU選び

こんにちは、さっそく自作PCを作っていきましょう。 ここでは、Qualitegの若手社員 Jun さんにご登場いただき、GPUマシン自作体験記を赤裸々に語っていただくストーリーとして進めていきます! Junです。ソフトウェアエンジニアです。 ある日、出社すると、席に1枚の封筒がおいてありました。 なんだこれ? 開いて見ると、中に便箋がはいっており、 今時手書きで、しかも太めのマッキーで、こんなことが書いてありました。 Junさんへ、 Qualiteg へようこそ! 当社ではメンバーは必ず1台はGPUマシンを自作するのが掟(おきて)となっています。 そこの封筒に45万円ありますので、これをもって秋葉原に行ってパソコンのパーツを買ってきてください。 以下にヒントを書いておきますので、よろしくおねがいします。 ① CPUは 12世代か13世代のどちらでもよい。 ② GPU中心でつかうため、CPU側の能力は i5程度で問題ない。 ③ マザーボードのチップセットは CPUが12世代ならZ690 か CPUが13世代ならZ790。ATX。 ④ CPUメ

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[自作日記3] グラボ2枚挿しの夢

GPUマシン自作

[自作日記3] グラボ2枚挿しの夢

こんにちは! 今日の話題はレーン分割とグラボ2枚挿しについてです。 前回みてきたとおり、インテル Core シリーズCPUでは、CPUから接続されるPCI Express は PCIe gen5 で x 16(16レーン分)使えました。 PCIe gen5 は非常に高速で、そのレーンを16レーン使えるので、実質的にこの PCIe gen5 x 16 がグラフィックボード(GPU)用です。 実はマザーボードによっては、 PCIe gen5 x16 を2分割して使えるものがあります。 さて、ここで、もう1回、 z690 チップセットのブロック図をみてみましょう。 この左上の↓ですが、2つのボックスがあり、それの中間にORとかいてあります。 これは、「以下の2つのパターンのうち、どちらかを選択することができるよ」という意味になります 1. 1x16

By Qualiteg Boot Camp
[自作日記2] CPUとチップセットと PCI Express の関係

GPUマシン自作

[自作日記2] CPUとチップセットと PCI Express の関係

こんにちは!今日はCPUとチップセットについて学びたいとおもいます! 最終的にはAI開発に使えるGPUマシンをつくりたいのですが、GPUってパソコンのどのあたりに入れて使うものでしょうか。 はい、正解は、パソコンのPCI Express のスロットに挿して使います。 「知っとるわ」という声が聞こえました。 さすがです。 では、次の問いです。 GPU が挿さる PCI Express スロットのレーンはどこにつながってるのでしょうか? 1.「チップセット」 2.「CPU」 正解は2のCPUです。 この問いの答えが一瞬で出た方は、本記事を読みとばしていただいて問題ありません。 「?」となった方は、本記事に参考になる部分があるかもしれません。 ということで、GPU は PCI Express という拡張スロットに挿して使うことはご存じかもしれませんが、PCI Express は内部でどのようにつながっているのでしょうか。実はGPUパソコンを作るときにこの辺がけっこう重要になります。 今後、GPU2枚挿し、GPU4枚挿し、など本格的なGPUマシンを作るときにもこのあたり

By Qualiteg Boot Camp
[ChatStream] matsuo-lab/weblab-10b-instruction-sft用の ChatPrompt

ChatStream Guide

[ChatStream] matsuo-lab/weblab-10b-instruction-sft用の ChatPrompt

matsuo-lab/weblab-10b-instruction-sft 用の ChatPrompt クラスをリリースしました。 最新バージョンのChatStreamに取り込んでいますが、以下コードを使用することも可能です。 from chatstream import AbstractChatPrompt from chatstream.chat_prompt.prompt_ttl import PromptTTL class ChatPromptMatsuoLabJpGptNeoxInstSft(AbstractChatPrompt): def __init__(self): super().__init__() # Call the initialization of the base class self.set_system("以下は、タスクを説明する指示と、文脈のある入力の組み合わせです。要求を適切に満たす応答を書きなさい。") self.set_requester("指示") self.

By Qualiteg プロダクト開発部
[自作日記1] 現代の自作PCアーキテクチャを理解する

GPUマシン自作

[自作日記1] 現代の自作PCアーキテクチャを理解する

PC自作にあたって、まずは、2023年現在のPCアーキというものを学んでおこうとおもいます。 CPUとマザーボードとチップセット チップセット マザーボードには、各パーツ間の通信を管理するための「チップセット」という重要なコンポーネントが搭載されています。 あるチップセットは対応できるCPUが決められており、そのチップセットに対応していないCPUはのせることができません。 逆にCPU側からみれば、あるCPUに対して、それに対応できるチップセットが限定されているともいえます。 あるCPUに対してチップセットは1つだけではなく、実装されている機能のレベルに応じて複数のチップセットが対応しています。 チップセットとCPUとCPUソケット形状 チップセットとCPUはお互いに対応関係が決まっていると説明しましたが、CPUをマザーボードにはめ込むときのソケット形状も物理的に一致しています。 例えば Z690 というチップセットは Intel Core i7 12700 という第12世代のCPUに対応しています。 また、 Intel Core i7 127

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[自作日記0]GPUマシン自作日記はじめます

GPUマシン自作

[自作日記0]GPUマシン自作日記はじめます

こんにちは!Qualiteg ブートキャンプチームです。 Qualiteg のお仕事に携わっていただくメンバーの立ち上がりサポートをしています! Qualiteg では、GPU入りの開発用PCや研究用PCは自作を推奨してます! 自らスペックを検討し、秋葉原に買いに行き、相談し、パーツを選定し、組み立てるという一連の経験は非常にエキサイティング&勉強になるからです。 ハードウェアの知識はもとより、秋葉原でのお店ごとの特徴、流行、店員さんの熱量、得られるものが非常に大きいです。 たまにパーツ選定ミスをしてしまったり、組み立て途中でパーツを壊してしまったりすることもありますが、その授業料を払ってでも自身で行う価値は十二分にあります。 授業料はどうせ会社持ちですし( ¯▽¯ ) 当社では代表をはじめビジネス営業担当まで全員が日々の業務で使用するGPU搭載マシンの自作に励んでおり、日々パーツ情報、親切な販売店情報、弟子入りしたくなるような凄腕店員さん情報(本当に知識豊富ですごい店員さんがアキバの自作系お店にはたくさんいます。感謝!)を共有しています。 とはいえ、いきなり秋葉

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