日本語対応 LLMランキング2026 ~ベンチマーク分析レポート~(9月1日版)

日本語対応 LLMランキング2026 ~ベンチマーク分析レポート~(9月1日版)

はじめに

本レポートは、Nejumi Leaderboard 4のベンチマークデータ(2026/9/1版)に基づいて、日本語対応LLMの性能を総合的に分析したものです。

前回は 2026/7/10 版の分析レポート を公開しましたが、わずか2か月弱で首位が入れ替わり、

オープンモデルが総合3位に食い込む激アツの回となりました!

(定期的に最新LLMランキングを更新してまいります。当社のX(旧Twitter)をフォローいただくことで更新情報を受け取り可能です)

Nejumi Leaderboard 4は、日本語タスクにおけるLLMの性能を多角的に評価する信頼性の高いベンチマークとして知られています。汎用的言語性能(GLP)とアラインメント(ALT)の2軸で構成され、翻訳・要約・推論・コーディングから毒性・バイアス・真実性まで、幅広い観点をカバーしているのが特徴です。

本分析では、商用APIモデルとオープンモデルの両方を対象に、それぞれの特徴や傾向を詳しく見ていきます。

まず、今回の3大トピックを先にご紹介します。

今回の3大トピックのまとめ画像
今回の3大トピック(作図: Qualiteg)
  • Claude Opus 5が総合スコア0.8720で首位
    リーダーボード上初の0.87台で、Claude Fable 5(0.8699)とAnthropic勢がワンツーフィニッシュ
  • オープンモデルのQwen3.8-2.4T-A95Bが総合3位(0.8598)
    オープン初の0.85超えで、API首位との差は0.033から0.012へ一気に縮小
  • 米国の新顔が続々参入
    Thinking Machines Labが初登場でオープンTOP8に2本を送り込み、MetaのMuse Glimmerも当ランキングに初登場
首位モデルの総合スコア推移と0.80以上のモデル数の推移
首位スコアは0.8523→0.8720へ大幅更新。0.80超えモデル数(モデル単位)は2か月弱で倍増した

オープンソースモデルについて

Weightがオープンなモデルは場合によっては「オープンソースモデル」、「OSSモデル」と呼ばれますが、学習データや学習コードまで完全に公開されているモデルばかりではないため、本稿では「オープンモデル」という表記に統一しています。

ベンチマーク分析について

本レポートは、LLM選択の参考情報として、ベンチマークデータから読み取れる傾向や特徴を提示するものです。実際の導入にあたっては、用途に応じた実環境での検証をおすすめいたします。

また、今回の集計はリーダーボード掲載中の評価(アーカイブ扱いを除く)を取得したデータに基づいています。同一モデルでも思考モード(reasoning/thinking)等の設定が異なる評価ランは別エントリーとして掲載される場合があります。

それでは、2026/9/1 現在の日本語対応LLMの総合ランキングをみてみましょう。


総合スコアランキング TOP50

日本語LLM総合スコアランキングTOP15の横棒グラフ
総合TOP15。前回初突破された「0.85の壁」の上に、今回は5モデルが並んだ
順位 モデル名 カテゴリ 総合スコア
1anthropic/claude-opus-5: adaptive-thinking-maxapi0.8720
2anthropic/claude-fable-5: adaptive-thinking-max with fallback to Opus 4.8api0.8699
3Qwen/Qwen3.8-2.4T-A95B: reasoning-xhighLarge (30B+)0.8598
4anthropic/claude-opus-4.8: adaptive-thinking-xhighapi0.8523
5anthropic/claude-opus-4.7: adaptive-thinking-xhighapi0.8509
6openai/gpt-5.6-sol: max-effortapi0.8499
7openai/gpt-5.6-terra: max-effortapi0.8440
8moonshotai/kimi-k3: reasoning-maxapi0.8432
9google/gemini-3.1-pro-previewapi0.8430
10moonshotai/Kimi-K3: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8425
11openai/gpt-5.5-2026-04-23: xhigh-effortapi0.8411
12openai/gpt-5.4-2026-03-05: high-effortapi0.8397
13anthropic/claude-opus-4-6: extended-thinkingapi0.8394
14tencent/Hy4-preview: reasoning-highLarge (30B+)0.8344
15google/gemini-3.6-flashapi0.8312
16qwen/qwen3.6-max-preview: openrouter-reasoningapi0.8295
17Qwen/Qwen3.8-Flash-Next: reasoning-xhighLarge (30B+)0.8291
18zai-org/GLM-5.3: reasoning-maxLarge (30B+)0.8287
19openai/gpt-5.4-2026-03-05: xhigh-effortapi0.8286
20openai/gpt-5.2-2025-12-11: xhigh-effortapi0.8285
21zai-org/GLM-5.3-Flash: reasoning-maxLarge (30B+)0.8260
22google/gemini-3.5-flashapi0.8249
23thinkingmachines/Inkling: reasoning-maxLarge (30B+)0.8244
24anthropic/claude-sonnet-4.6: extended-thinkingapi0.8230
25thinkingmachines/Inkling-Small: reasoning-maxLarge (30B+)0.8222
26tencent/Hy3: reasoning-highLarge (30B+)0.8200
27Qwen/Qwen3.5-397B-A17B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8191
28deepseek-ai/DeepSeek-V4-Flash-0731: reasoning-maxLarge (30B+)0.8169
29ornith-ai/Ornith-1.5-397B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8161
30zai-org/GLM-5.2: reasoning-maxLarge (30B+)0.8156
31xai/grok-4.5: reasoning-highapi0.8156
32google/gemini-3-flash-previewapi0.8155
33openai/gpt-5.6-luna: max-effortapi0.8145
34google/gemini-3-pro-previewapi0.8134
35Qwen/Qwen3.5-122B-A10B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8094
36Qwen/Qwen3.8-27B: reasoning-xhighMedium (10B-30B)0.8091
37openai/gpt-5.1-2025-11-13: high-effortapi0.8085
38google/gemma-4-31b-itLarge (30B+)0.8077
39deepseek-ai/DeepSeek-V4-Pro: reasoning-maxLarge (30B+)0.8067
40anthropic/claude-opus-4.5-20251125: extended-thinkingapi0.8064
41MiniMaxAI/MiniMax-M3: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8061
42Qwen/Qwen3.5-27B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.8049
43z-ai/glm-5.2: openrouter-reasoning-xhighapi0.8040
44anthropic/claude-opus-4-1-20250805: extended-thinkingapi0.7992
45deepseek-ai/DeepSeek-V4-Pro-0813: reasoning-maxLarge (30B+)0.7984
46Qwen/Qwen3.6-35B-A3B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7978
47openai/gpt-5-2025-08-07: high-effortapi0.7970
48deepseek/deepseek-v4-pro: thinking-maxapi0.7956
49Qwen/Qwen3.6-27B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.7955
50anthropic/claude-sonnet-4-5-20250929: extended-thinkingapi0.7954

※水色の行はオープンモデルです。

総合スコアの傾向と考察

今回の最大のニュースは、なんといっても

Claude Opus 5(0.8720)とClaude Fable 5(0.8699)のワンツーフィニッシュ

です。

前回Claude Opus 4.8が初めて突破した「0.85の壁」を、Claude 5世代はわずか2か月弱で約0.02上回ってきました。

  • TOP2が0.87前後という未踏の水準(前回の首位は0.8523)
  • 0.85以上が5モデルに(前回は2モデル)
  • 0.80以上は42モデル(前回は19モデル。いずれもモデル単位で、同一モデルの複数評価ランは重複除外した数です)
  • TOP10のうち7枠が、前回ランキングに存在しなかった新顔

Claude 5世代が「0.85の壁」を一気に置き去りに

首位のClaude Opus 5は、GLP(汎用的言語性能)0.8668が全モデル中断トツです(2位に0.017差)。

内訳をみると、数学的推論0.9817、抽象的推論0.96に加えて、コーディング0.9081が際立ちます。コーディングの2位は0.7220ですから、この項目だけ別次元の値です。SWE-Bench系評価も0.7500と最上位圏で、「書けるモデル」であることがスコアにはっきり表れています。

2位のClaude Fable 5は、AnthropicがOpusより上位に位置づける新ティアのモデルです。

リーダーボード上のFable 5評価は「adaptive-thinking-max with fallback to Opus 4.8」、つまりOpus 4.8へのフォールバックを含む構成です。

この構成での評価値として、ALT(アラインメント)0.9071とSWE-Bench系評価0.8000が全エントリー中トップでした。Fable 5単体の性能値ではない点にご注意ください。

ここで面白いのは、AnthropicがOpusより上位に位置づけるFable 5が、このベンチマークでは首位ではなかったという点です。

差はわずか0.0021ですが、順位は順位です。

内訳をみると事情がみえてきます。

実務的なコード修正力を測るSWE-Bench単体ではFable 5(0.8000)がOpus 5(0.7500)より上です。

ところが、SWE-BenchにJHumanEvalとMT-Bench(coding)を合わせた「コーディング」サブカテゴリでは逆に、Opus 5の0.9081に対しFable 5は0.7220と大きく離されます。同じ「コーディング力」でも、何をどう測るかで順位が入れ替わるわけです。

モデルの格付けと特定ベンチマークでの順位は、必ずしも一致しません。

ベンチマークはあくまで特定のタスクセットに対する測定なので、こうした逆転は普通に起こります。だからこそ本レポートでは毎回、用途に応じた実環境での検証をおすすめしています。

前回のワンツーだったOpus 4.8(0.8523)とOpus 4.7(0.8509)も4位・5位に踏みとどまり、TOP5のうち4枠をAnthropic勢が占める結果となりました。

OpenAIはGPT-5.6の3モデル同時投入で追撃

OpenAIは7月にGPT-5.6世代を3モデル同時に投入してきました。sol(0.8499、6位)、terra(0.8440、7位)、luna(0.8145、33位)です。

とくにterraの抽象的推論0.98とsolの0.97は、Opus 5(0.96)を上回る全モデル中トップの値です。推論力の切れ味では今回もOpenAIが最先端を争っています。

一方で弱点もはっきりしています。

GPTシリーズは真実性がsol 0.752、terra 0.709、luna 0.636と上位勢のなかでは低め

で、これが総合スコアの伸びを抑えました。

ちなみに前回紹介した「GPT-5.4はhigh設定(0.8397)がxhigh設定(0.8286)を上回る」という逆転現象は、今回のデータでもそのまま残っています。推論量を増やせば必ずスコアが上がるわけではない、という好例です。

GPT勢は本当にQwenに負けたのか

総合スコアだけをみると、オープンのQwen3.8(0.8598)がGPT-5.6 sol(0.8499)より上です。ただ、この差を「言語性能で負けた」と読むのは正確ではありません。

GLP(言語性能)はsolが0.8402、terraが0.8363で、Qwen3.8の0.8290をどちらも上回ります。抽象的推論にいたってはterraの0.98が全モデル中トップです。

差がついたのはALT(アラインメント)側です。Qwen3.8の0.9171に対しsolは0.8755で、とくに真実性(0.843対0.752)と毒性(0.849対0.791)の開きが総合スコアに効きました。

つまり「賢さで負けた」のではなく「安全性・制御性込みのこのベンチマーク上の総合点で差がついた」というのが実態でしょう。

推論や創造的タスクが中心の用途なら、GPT-5.6勢が上に来る場面は十分にあります。

TOP10の7枠が新顔に入れ替わる

総合TOP10の前回スコアとの比較グラフ
今回TOP10のうち7枠が前回ランキングに未収載だった新顔

上図のとおり、TOP10のうち7枠が前回ランキングにいなかった顔ぶれです。とくに注目すべき新顔を紹介します。

  • Kimi K3(8位・10位) 
    Moonshot AIの新世代。API版(0.8432)とオープンウェイト版(0.8425)がほぼ同スコアで、両方ともTOP10に入りました。本モデルについては、こちらのブログにもまとめてあります。
  • Gemini 3.6 Flash(15位、0.8312) 
    軽量Flashクラスで0.83台に到達。ただし真実性0.607は上位勢で突出して低く、事実性が重要な用途では別途検証をおすすめします
  • Tencent Hy4(14位、0.8344) 
    Tencentのオープンモデルが総合TOP15に初登場(オープンモデルの章で詳しく紹介します)

この結果、前回3位のGemini 3.1 Pro(0.8430)は9位、前回4位のGPT-5.5(0.8411)は11位へ後退しました。スコアが下がったのではなく、上が増えたことによる押し出しです。

GLP×ALTの勢力図 今回の教訓は「真実性」

言語性能GLPとアラインメントALTの散布図
右上ほど優秀。総合上位にはGLPとALTの両立が必須となる

上の散布図は、GLP(言語性能)とALT(アラインメント)の2軸で主要モデルを配置したものです。

総合上位モデルはすべて右上、つまり「賢さ」と「安全性・制御性」を両立しています。

今回目立ったのは、速度・コスト重視系モデルの真実性の低さです。Gemini 3.6 Flashが0.607、GPT-5.6 lunaが0.636、grok-4.5が0.665と、いずれも総合スコアを大きく削られました。

前回のgrok-4.20(毒性0.566で総合40位)ほど極端な例はありませんでしたが、

「言語性能は高いのにアラインメント側で沈む」

という構造は今回もありました。

高速・低価格モデルを採用する際は、この軸の確認をおすすめします。

ベンチマーク結果の解釈について

本レポートで紹介するスコアは、あくまでもベンチマークテストにおける評価結果です。ベンチマークは、LLMの性能を客観的に比較する有用なツールですが、以下の点にご注意ください。

  • ベンチマークは特定のタスクセットに基づいて評価されるため、そのタスク構成に適したモデルほど高いスコアを獲得する傾向があります
  • 実際の業務での使用感や、特定の用途における有用性は、ベンチマークスコアだけでは完全には測れません
  • モデルによっては、ベンチマークで測定されていない独自の強みや特徴を持っている場合があります

次は、オープンモデルに限定して実力をみていきましょう。今回はここが主戦場です。


オープンモデル 総合スコアランキング TOP20

オープンモデル総合スコアランキングTOP12の横棒グラフ
オープンTOP12。バー内はパラメータ構成(HFモデルカード公称値。GLM-5.3とOrnithは総パラメータのみ公表)。破線はAPI首位との差
順位 モデル名 サイズ区分 総合スコア
1Qwen/Qwen3.8-2.4T-A95B: reasoning-xhighLarge (30B+)0.8598
2moonshotai/Kimi-K3: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8425
3tencent/Hy4-preview: reasoning-highLarge (30B+)0.8344
4Qwen/Qwen3.8-Flash-Next: reasoning-xhighLarge (30B+)0.8291
5zai-org/GLM-5.3: reasoning-maxLarge (30B+)0.8287
6zai-org/GLM-5.3-Flash: reasoning-maxLarge (30B+)0.8260
7thinkingmachines/Inkling: reasoning-maxLarge (30B+)0.8244
8thinkingmachines/Inkling-Small: reasoning-maxLarge (30B+)0.8222
9tencent/Hy3: reasoning-highLarge (30B+)0.8200
10Qwen/Qwen3.5-397B-A17B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8191
11deepseek-ai/DeepSeek-V4-Flash-0731: reasoning-maxLarge (30B+)0.8169
12ornith-ai/Ornith-1.5-397B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8161
13zai-org/GLM-5.2: reasoning-maxLarge (30B+)0.8156
14Qwen/Qwen3.5-122B-A10B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8094
15Qwen/Qwen3.8-27B: reasoning-xhighMedium (10B-30B)0.8091
16google/gemma-4-31b-itLarge (30B+)0.8077
17deepseek-ai/DeepSeek-V4-Pro: reasoning-maxLarge (30B+)0.8067
18MiniMaxAI/MiniMax-M3: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8061
19Qwen/Qwen3.5-27B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.8049
20deepseek-ai/DeepSeek-V4-Pro-0813: reasoning-maxLarge (30B+)0.7984

※順位はモデル単位(同一モデルの複数評価ランはベストスコアのみ採用)です。

オープンモデル総合スコアの傾向と考察

Qwen3.8がオープン初の0.85超え API首位との差は0.012まで縮小

前回「API勢がオープンを突き放した」とお伝えしましたが、2か月でまた形勢が変わりました。

AlibabaのQwen3.8-2.4T-A95B(0.8598)が、オープンモデルとして初めて総合0.85を突破し、総合でも3位に食い込みました。API首位との差は前回の約0.033から約0.012へ縮小し、本シリーズの分析上、過去最小です。

総2.4兆(2.4T)・アクティブ95BのMoEで、これまでAPI専用だったQwen Maxクラスをオープンウェイト公開した、Alibabaの本気の一手です。ALT 0.9171はオープン勢トップで、Claude勢に匹敵するアラインメントの高さも備えます。

ひとつ注意点があります。ライセンスはApache 2.0ではなく独自の「Qwen3.8-Maxライセンス」です。商用利用の際は条件の確認をおすすめします。

層の厚みも別次元になりました。0.80超えのオープンモデルは前回の4本から19本へ増えています。

中国勢の物量攻勢 Kimi K3、Tencent、GLM-5.3、DeepSeek V4

中国発オープンモデルの新顔ラッシュは今回も続いています。

  • Kimi K3(0.8425) Moonshot AIの総2.8T・アクティブ104B MoE。視覚入力対応のネイティブマルチモーダルで、コンテキストは100万トークン。オープン2位につけました(独自ライセンス)
  • Tencent Hy4-preview(0.8344) 総770B・アクティブ49BのMoEをApache 2.0で公開。7月のHy3(0.8200、総295B・A21B)に続く矢継ぎ早の投入です
  • GLM-5.3(0.8287)/GLM-5.3-Flash(0.8260) Z.aiの最新世代。FlashはGLM-5シリーズ初のネイティブマルチモーダルで、MITライセンスの総320B・アクティブ18B。ベンダー公称では「GLM-5.2を上回る性能を10分の1の価格で」を掲げる構成です
  • DeepSeek-V4-Flash(0.8169) 本体は総284B・アクティブ13BのMoE(今回評価の0731版は投機的デコード用モジュール込みの構成)。総1.6T・アクティブ49BのV4-Pro(0.8067)を上回っており、効率化世代の完成度がうかがえます
  • MiniMax-M3(0.8061) 総428B・アクティブ23BのネイティブマルチモーダルMoEです

新興ラボの参入 Thinking MachinesとOrnith

今回のオープン部門でもうひとつ目を引いたのが、中国勢でもGoogleでもない新顔の登場です。

Inkling(0.8244)とInkling-Small(0.8222)は、米国の新興ラボThinking Machines Labが公開したモデルです。総975B・アクティブ41Bと総276B・アクティブ12BのMoEで、テキスト・画像・音声入力対応。Apache 2.0という太っ腹な公開形態で、初参戦でオープンTOP8に2本を送り込みました。

Ornith-1.5-397B(0.8161)はDeepReinforceチームによるMITライセンスのモデルです。Qwen3.5やGemma 4を土台に、タスク生成から学習までを自動化した自己改善型の強化学習で鍛えたと説明されています(ベンダー説明)。ゼロからの独自基盤ではありませんが、RLでここまで積み上がる点は興味深いところです。

この2社は素性もなかなか興味深いので、企業情報を表にまとめておきます。

項目 Thinking Machines Lab DeepReinforce(Ornith)
拠点米国サンフランシスコ米国カリフォルニア州サンタクララ
設立2025年2月2024年
創業者ミラ・ムラティ氏(OpenAI元CTO)Jiwei Li氏(スタンフォード大CS博士、Shannon.AI創業者)
資金調達シードラウンドで20億ドル(報道時の評価額120億ドル)非公開
専門・特徴研究第一主義のAIラボ。オープンモデルのファインチューニング基盤Tinkerも展開エージェント型強化学習によるコード・システム最適化の自動化
今回のモデルInkling(総975B・A41B)/Inkling-Small(総276B・A12B)。テキスト・画像・音声入力対応Ornith-1.5シリーズ(397B MoE/35B-A3B/9B dense)
ライセンスApache 2.0MIT

※企業情報は各社公式サイト・公開報道に基づく2026年9月1日時点のものです。

国産オープンモデルと近隣の動き

日本発では、国立情報学研究所(NII)のllm-jp-4-33b-thinking(0.6760)が新たに登場しました。総33Bのdenseモデルで、11.7兆トークンの事前学習にSFTとDPOを重ねた拡張推論版です。Apache 2.0で、日本語対応を明示する数少ないモデルのひとつです。

既存勢では、東京科学大学SwallowチームのGPT-OSS-Swallow-120B-RL-v0.1(0.6914)が引き続き国産系トップ級です。

近隣では、韓国SK TelecomのA.X-K2(0.7041)が登場しました。総688B・アクティブ33BのMoEをスクラッチから学習したもので、トークナイザと学習データは英・韓・中・日・西の5言語を対象とし、日本語も含まれます(Apache 2.0)。ただし学習データの中心は英語と韓国語で、日本語の学習比率は約1%、品質検証も限定的とモデルカードに明記されています。LG AIのK-EXAONE-236B-A23B(0.7186)と合わせ、日本語を学習対象に含む韓国発オープンモデルの選択肢が広がっています。

さて、次は中規模10B~30B程度のモデルをみてみましょう。中規模モデルのうれしいところは、個人レベルでも比較的入手しやすいGPUでも実行できるところではないでしょうか。


中規模モデル(10B-30B)総合スコアランキング

中規模モデルと小規模モデルのランキング横棒グラフ
ローカルLLMの主戦場。中規模(左)と小規模(右)の上位モデル。破線は0.80ライン
順位 モデル名 総合スコア
1Qwen/Qwen3.8-27B: reasoning-xhigh0.8091
2Qwen/Qwen3.5-27B: reasoning-enabled0.8049
3Qwen/Qwen3.6-27B: reasoning-enabled0.7955
4google/gemma-4-26B-A4B-it0.7872
5meta-models/Muse-Glimmer-30B: reasoning-xhigh0.7754
6Qwen/Qwen3.5-9B: reasoning-enabled0.7485
7Qwen/Qwen3-14B: reasoning-enabled0.7233

※リーダーボード掲載中の評価ランに基づくため、前回掲載モデルの一部はアーカイブ化により今回の集計対象外です。中規模・小規模の区分(Qwen3.5-9BがMedium扱いである点など)もリーダーボードのサイズ区分に従っています。

中規模モデル総合スコアの傾向と考察

中規模カテゴリに、ついに0.80超えが誕生しました。Qwen3.8-27B(0.8091)です。

27Bのdenseモデルで、画像・動画入力にも対応するマルチモーダル構成。Apache 2.0で公開されています。前回王者のQwen3.5-27B(0.8049)を上回り、「30B級ローカルLLMの本命」がQwen内で世代交代した形です。

量子化を併用すれば単一GPU構成も視野に入るサイズで総合0.80超えという水準は、1年前のフロンティアAPI級に相当します(必要VRAMは精度やコンテキスト長で変わります)。オンプレ・機密データ用途の現実解が、また一段強くなりました。

もうひとつの注目は5位のMuse-Glimmer-30B(0.7754)です。

MetaがMeta Superintelligence Lab名義で公開した30Bのdenseモデルで、上位モデルMuse Sparkからの蒸留により、コンシューマ級ハードウェアでのエージェント動作を狙った設計です。Apache 2.0で、Metaの新シリーズが日本語ランキングに姿を見せたのは今回が初めてです。

さて、最後に小規模モデルもみてみましょう。こうした小型モデルは比較的安価なコンシューマ向けGPUでも動作しますので、エッジ・オンプレ用途の本命です。


小規模モデル(10B未満)総合スコアランキング

順位 モデル名 総合スコア
1Qwen/Qwen3.5-4B: reasoning-enabled0.7352
2nvidia/NVIDIA-Nemotron-Nano-9B-v2-Japanese: reasoning-enabled0.7111
3ornith-ai/Ornith-1.5-9B: reasoning-enabled0.6909
4google/gemma-4-E4B-it0.6692
5google/gemma-4-E2B-it0.6564
6tokyotech-llm/Qwen3-Swallow-8B-RL-v0.2: reasoning-enabled0.6552

小規模モデル総合スコアの傾向と考察

小規模モデルは前回に引き続きQwen3.5-4B(0.7352)が首位です。わずか4Bで0.73超えという水準は、1年前なら30B級に相当するもので、小型化の進展を象徴しています。

2位のNVIDIA Nemotron Nano 9B v2 Japanese(0.7111)も引き続き健在です。日本語向けに追加学習された小規模モデルとしては現状ベストの選択肢でしょう。

新顔は3位のOrnith-1.5-9B(0.6909)です。オープンの章で紹介したOrnith-1.5シリーズの9B dense版で、MITライセンス。シングルGPU運用を想定した軽量版です。

Gemma 4のオンデバイス版E4B(0.6692)とE2B(0.6564)、東京科学大学SwallowチームのQwen3-Swallow-8B-RL-v0.2(0.6552)も、引き続き小規模の定番として並んでいます。


まとめ、本格導入に向けての道しるべ

今回もNejumi Leaderboard 4のベンチマークデータを分析いたしました。今回の分析でみえたポイントをまとめます。

「オープン0.85時代」の幕開け

今回の最大のポイントは2つあります。Claude Opus 5がリーダーボード上初の0.87台に到達したこと、そしてオープンモデルが初めて0.85を超え、API首位との差が0.012まで縮んだことです。

「最高峰はAPI、オープンは一段下」という前提は、この2か月で崩れはじめました。

0.80超えがモデル単位で42まで増えたいま、0.80は「上位グループへの入場券」ですらなくなりつつあります。

  • 商用API勢 Anthropic(Opus 5/Fable 5)が頭ひとつ抜け、OpenAI(GPT-5.6系)、Google、Moonshot(Kimi K3)が追う構図へ
  • オープン勢 Qwen3.8がAPI勢に肉薄。中国勢の物量に加え、Thinking Machines・Ornith・Metaなど米国系の新顔も参入
  • 国産勢 llm-jp-4のthinking版が登場。Swallow RL版、Nemotron日本語版と、日本語特化の選択肢は着実に拡大

モデルサイズ別の特徴

カテゴリ 推奨モデル 特徴
最高性能を追求(商用API)Claude Opus 5リーダーボード上初の総合0.87台。コーディング・数学的推論で突出
コスト効率と性能の両立(商用API)Gemini 3.6 Flash / Claude Sonnet 4.6軽量・低価格クラスで総合0.82〜0.83級。大量処理・日常業務向け(真実性の弱いモデルは用途で検証を)
オープンモデル最高峰Qwen3.8-2.4T-A95B総合0.8598でAPI上位と同水準。自社インフラで運用可能(ライセンスは独自条件を要確認)
単一GPUクラスのローカル運用Qwen3.8-27B / Qwen3.5-27B27B級で総合0.80超え。量子化併用で単一GPU運用も視野。オンプレ・機密データ用途の現実解
小規模・エッジQwen3.5-4B / Gemma 4 E4B4B級で総合0.73超え。端末内・低リソース環境向け
日本語特化NVIDIA Nemotron Nano 9B v2 Japanese / llm-jp-4-33b-thinking日本語データで学習された特化モデル。国内運用・日本語業務向け

LLMの本格導入にむけて 用途別の最適なモデル選択

今回は総合スコアを軸に各モデルの位置づけを見てきましたが、実際の導入判断はそれほど単純ではありません。

ベンチマークは有力な参考情報である一方、実務では精度だけでなく、推論コスト、応答速度、機密データの扱い、既存システムとの統合性など、多面的な評価が必要です。とくに今回のように選択肢が急拡大した状況では、「最もスコアの高いモデルを一つ選ぶ」というより、「用途ごとに複数のモデルを適切に使い分けられる状態をどう作るか」が、導入の現場ではより重要になります。

当社では、こうした複数モデル運用の実務に対応する選択肢として、複数のLLMを1つのプラットフォームで利用できる統合AIプラットフォーム Bestllam を提供しています。モデルの選定から、業務フローへの組み込み、AIエージェント活用を前提とした運用設計まで含めてご支援可能です。

また、単なるツール提供にとどまらず、貴社業務のAI化を見据えたBPRコンサルティングもあわせてご提供しており、業務分析からBPR計画策定、成功指標の設計、導入支援まで伴走いたします。

まずはお気軽にご相談くださいませ
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