日本語対応 LLMランキング2026 ~ベンチマーク分析レポート~(7月10日版)

日本語対応 LLMランキング2026 ~ベンチマーク分析レポート~(7月10日版)

はじめに

本レポートは、Nejumi Leaderboard 4のベンチマークデータ(2026/7/10版)に基づいて、日本語対応LLMの性能を総合的に分析したものです。

前回は 2026/3/6 版の分析レポート を公開しましたが、
約4か月ぶりとなる今回も、上位勢の顔ぶれが大きく入れ替わる激動の回となりました!

(定期的に最新LLMランキングを更新してまいります。当社のX(旧Twitter)をフォローいただくことで更新情報を受け取り可能です)

Nejumi Leaderboard 4は、日本語タスクにおけるLLMの性能を多角的に評価する信頼性の高いベンチマークとして知られています。汎用的言語性能(GLP)とアラインメント(ALT)の2軸で構成され、翻訳・要約・推論・コーディングから毒性・バイアス・真実性まで、幅広い観点をカバーしているのが特徴です。

本分析では、商用APIモデルとオープンモデルの両方を対象に、それぞれの特徴や傾向を詳しく見ていきます。まず、今回の3大トピックを先にご紹介します。

  • Claude Opus 4.8がリーダーボード史上初の総合スコア0.85を突破
    Claude Opus 4.7とともにAnthropic勢がワンツーフィニッシュ
  • 総合スコア0.80以上が19モデルに
    (前回11モデル、前々回4モデル)とほぼ倍増ペースが継続
  • オープンモデルではGemma 4が急浮上
    国産勢もRakutenAI-3.0、llm-jp-4などの新顔が登場
首位モデルの総合スコア推移と0.80以上のモデル数の推移
首位スコアは半年で0.8285→0.8523へ。0.80超えモデル数はほぼ倍増ペースが続く

オープンソースモデルについて

Weightがオープンなモデルは場合によっては「オープンソースモデル」、「OSSモデル」と呼ばれますが、学習データや学習コードまで完全に公開されているモデルばかりではないため、本稿では「オープンモデル」という表記に統一しています。

ベンチマーク分析について

本レポートは、LLM選択の参考情報として、ベンチマークデータから読み取れる傾向や特徴を提示するものです。実際の導入にあたっては、用途に応じた実環境での検証をおすすめいたします。

また、今回の集計はリーダーボード上位100件のエクスポートデータに基づいています。同一モデルでも思考モード(reasoning/thinking)等の設定が異なる評価ランは別エントリーとして掲載される場合があります。

それでは、2026/7/10 現在の日本語対応LLMの総合ランキングをみてみましょう。


総合スコアランキング TOP50

日本語LLM総合スコアランキングTOP15の横棒グラフ
総合TOP15。破線は今回初めて突破された「0.85の壁」
順位 モデル名 カテゴリ 総合スコア
1(※)anthropic/claude-opus-4.8: adaptive-thinking-xhighapi0.8523
2anthropic/claude-opus-4.7: adaptive-thinking-xhighapi0.8509
3google/gemini-3.1-pro-previewapi0.8430
4openai/gpt-5.5-2026-04-23: xhigh-effortapi0.8411
5openai/gpt-5.4-2026-03-05: high-effortapi0.8397
6anthropic/claude-opus-4-6: extended-thinkingapi0.8394
7qwen/qwen3.6-max-preview: openrouter-reasoningapi0.8295
8openai/gpt-5.4-2026-03-05: xhigh-effortapi0.8286
9openai/gpt-5.2-2025-12-11: xhigh-effortapi0.8285
10google/gemini-3.5-flashapi0.8249
11anthropic/claude-sonnet-4.6: extended-thinkingapi0.8230
12Qwen/Qwen3.5-397B-A17B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8191
13google/gemini-3-flash-previewapi0.8155
14google/gemini-3-pro-previewapi0.8134
15Qwen/Qwen3.5-122B-A10B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8094
16openai/gpt-5.1-2025-11-13: high-effortapi0.8085
17google/gemma-4-31b-itLarge (30B+)0.8077
18anthropic/claude-opus-4.5-20251125: extended-thinkingapi0.8064
19Qwen/Qwen3.5-27B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.8049
20z-ai/glm-5.2: openrouter-reasoning-xhighapi0.8040
21anthropic/claude-opus-4-1-20250805: extended-thinkingapi0.7992
22openai/gpt-5-2025-08-07: high-effortapi0.7970
23deepseek/deepseek-v4-pro: thinking-maxapi0.7956
24anthropic/claude-sonnet-4-5-20250929: extended-thinkingapi0.7954
25anthropic/claude-sonnet-4-20250514: extended-thinkingapi0.7918
26deepseek/DeepSeek-V3.2 (Thinking Mode)api0.7905
27Qwen/Qwen3.5-35B-A3B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7895
28deepseek-ai/DeepSeek-V3.2: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7888
29zai-org/GLM-5: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7884
30anthropic/claude-haiku-4-5-20251001: extended-thinkingapi0.7879
31openai/o3-2025-04-16: high-effortapi0.7876
32google/gemma-4-26B-A4B-itMedium (10–30B)0.7872
33grok-4api0.7810
34anthropic/claude-opus-4-20250514: no-thinkingapi0.7804
35moonshotai/Kimi-K2.5: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7785
36Qwen/Qwen3-235B-A22B-Thinking-2507: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7785
37openai/gpt-5.4-mini-2026-03-17: high-effortapi0.7776
38openai/o1-2024-12-17: high-effortapi0.7753
39anthropic/claude-3.7-sonnet-20250219: extended-thinkingapi0.7734
40xai/grok-4.20-0309-reasoningapi0.7732
41google/gemini-2.5-proapi0.7696
42x-ai/grok-4-1-fast-reasoningapi0.7646
43openai/o4-mini-2025-04-16api0.7610
44Qwen/Qwen3-Next-80B-A3B-ThinkingLarge (30B+)0.7563
45MiniMaxAI/MiniMax-M2.1: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7556
46Qwen/Qwen3.5-9B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.7485
47openai/o3-mini-2025-01-31api0.7430
48Qwen/Qwen3-Max-Previewapi0.7425
49openai/gpt-5.1-2025-11-13: none-effortapi0.7412
50grok-3-miniapi0.7370

※水色の行はオープンモデルです。
※本日(7/10)時点では Fable5やGPT 5.6がロールアウトされていますが、ベンチマーク登場までラグがあるので未掲載となっています。ご承知おきください。

総合スコアの傾向と考察

今回の最大のニュースは、なんといっても
Claude Opus 4.8(0.8523)とClaude Opus 4.7(0.8509)のワンツーフィニッシュです。

Nejumi Leaderboard 4で総合スコアが0.85を超えたのは今回が初めてで、それを同一ベンダーの2モデルが同時に達成しました。

  • TOP2が0.85以上という未曾有の高水準(前回の首位は0.8430)
  • TOP19が0.80以上(前回は11モデル)
  • TOP10のうち6枠が、前回ランキングに存在しなかった新顔

Anthropic勢がついに「0.85の壁」を突破

首位のClaude Opus 4.8は、GLP(汎用的言語性能)0.8328とALT(アラインメント)0.8933の両輪で高水準を達成しました。とくに数学的推論0.975、抽象的推論0.87、そしてコーディング実務力を測るSWE-Bench系評価0.6875は全モデル中トップクラスで、「推論の強さ」がスコアを押し上げています。

前回2位だったClaude Opus 4.6(0.8394)も6位に踏みとどまっており、TOP10のうち3枠をAnthropic勢(Opus 4.8、Opus 4.7、Opus 4.6)が占める結果となりました。前回首位のGemini 3.1 Pro(0.8430)はスコア自体は変わらないまま3位に後退しています。

OpenAIはGPT-5.5とGPT-5.4で追撃

前回「出たばかりでまだ評価が載っていない」とお伝えしたGPT-5.4(0.8397)は5位に、その後継のGPT-5.5(0.8411)は4位に入りました。GPT-5.5はGLP 0.8303と言語性能ではOpus 4.8に肉薄しており、SWE-Bench系評価もOpus 4.8と並ぶ0.6875を記録しています。

興味深いのは、GPT-5.4では推論エフォート「high」設定(0.8397)が「xhigh」設定(0.8286)を上回った点です。推論量を増やせば必ずスコアが上がるわけではない、という好例といえます。

※本当の最新モデルの反映はもう少し先

本日(2026/7/10)時点での本当の最新・最上位モデルは Claude Fable5 だったり、ChatGPT 5.6 が存在しますが、ベンチマークに登場するのはもう少し先になる見込みですので現時点ではランキング未掲載であることご承知おきください。

TOP10の6枠が新顔に入れ替わる

総合TOP10の前回スコアとの比較グラフ
今回TOP10のうち6モデルが前回ランキングに未収載だった新顔

上図のとおり、TOP10のうち6枠が前回ランキングにいなかった顔ぶれです。とくに注目すべき新顔を紹介します。

  • Qwen3.6 Max(7位、0.8295)
    Alibabaの旗艦APIモデル。ALT 0.9181は全モデル中トップで、制御性・毒性・堅牢性のバランスが際立ちます
  • Gemini 3.5 Flash(10位、0.8249)
    軽量・低価格のFlashクラスで前回のOpus 4.5(0.8064)を超えるスコア。ただし真実性0.550は上位勢のなかで突出して低く、ハルシネーション対策は利用側で必要です
  • GLM-5.2(20位、0.8040)
    Z.aiのAPI版最新モデル。6月リリースの新しいモデルで、オープン版GLM-5(0.7884)を上回ります
  • DeepSeek V4 Pro(23位、0.7956)
    DeepSeekの最新API旗艦。数学的推論0.94、抽象的推論0.79と推論系が強化されています

「性能は高いのに総合で沈む」grok-4.20が示す教訓

言語性能GLPとアラインメントALTの散布図
右上ほど優秀。総合上位にはGLPとALTの両立が必須となる

上の散布図は、GLP(言語性能)とALT(アラインメント)の2軸で主要モデルを配置したものです。

総合上位モデルはすべて右上、つまり「賢さ」と「安全性・制御性」を両立しています。

対照的なのがxAIのgrok-4.20-0309-reasoning(0.7732)です。

GLP 0.7942はTOP10級の言語性能ですが、ALTが0.7659(とくに毒性0.566、真実性0.485)と低く、総合では40位に沈みました。

総合評価ではアラインメント側の比重も大きいため、「賢いだけ」では上位に入れない構造がよくわかる例です。

ベンチマーク結果の解釈について

本レポートで紹介するスコアは、あくまでもベンチマークテストにおける評価結果です。ベンチマークは、LLMの性能を客観的に比較する有用なツールですが、以下の点にご注意ください。

  • ベンチマークは特定のタスクセットに基づいて評価されるため、そのタスク構成に適したモデルほど高いスコアを獲得する傾向があります
  • 実際の業務での使用感や、特定の用途における有用性は、ベンチマークスコアだけでは完全には測れません
  • モデルによっては、ベンチマークで測定されていない独自の強みや特徴を持っている場合があります

次は、オープンモデルに限定して実力をみていきましょう。


オープンモデル 総合スコアランキング TOP20

オープンモデル総合スコアランキングTOP12の横棒グラフ
オープンTOP12。バー内はパラメータ構成(HFモデルカードに基づく)。破線はAPI首位との差
順位 モデル名 サイズ区分 総合スコア
1Qwen/Qwen3.5-397B-A17B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8191
2Qwen/Qwen3.5-122B-A10B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.8094
3google/gemma-4-31b-itLarge (30B+)0.8077
4Qwen/Qwen3.5-27B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.8049
5Qwen/Qwen3.5-35B-A3B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7895
6deepseek-ai/DeepSeek-V3.2: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7888
7zai-org/GLM-5: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7884
8google/gemma-4-26B-A4B-itMedium (10–30B)0.7872
9moonshotai/Kimi-K2.5: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7785
10Qwen/Qwen3-235B-A22B-Thinking-2507: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7785
11Qwen/Qwen3-Next-80B-A3B-ThinkingLarge (30B+)0.7563
12MiniMaxAI/MiniMax-M2.1: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7556
13Qwen/Qwen3.5-9B: reasoning-enabledMedium (10B-30B)0.7485
14Qwen/Qwen3.5-4B: reasoning-enabledSmall (<10B)0.7352
15Qwen/Qwen3-30B-A3B-Thinking-2507: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7331
16Qwen/Qwen3-14B: reasoning-enabledMedium (10–30B)0.7233
17LGAI-EXAONE/K-EXAONE-236B-A23B: reasoning-enabledLarge (30B+)0.7186
18Qwen/Qwen3-Next-80B-A3B-InstructLarge (30B+)0.7130
19nvidia/NVIDIA-Nemotron-Nano-9B-v2-Japanese: reasoning-enabledSmall (<10B)0.7111
20Qwen/Qwen3-VL-8B-ThinkingSmall (<10B)0.7021

※順位はモデル単位(同一モデルの複数評価ランはベストスコアのみ採用)です。

オープンモデル総合スコアの傾向と考察

首位はQwen3.5-397B-A17Bが堅持、ただしAPI勢との差は再拡大

オープンモデルの首位は前回に引き続き、Alibaba社のQwen3.5-397B-A17B(0.8191)です。

Qwen3.5シリーズは2026年2月リリースのスコアのままで、この4か月間オープン側のフロンティア更新はありませんでした。

その間にAPI側の首位は0.8430→0.8523へ伸びたため、オープンとAPIの首位差は前回の約0.024から約0.033へ再び広がっています。

「オープンがAPIに肉薄する」と沸いた前回から一転、今回はフロンティアAPI勢が突き放した格好です。

ただし、オープン勢の層は確実に厚くなっており、0.80超えのオープンモデルは前回の3モデルから4モデルに増えました。

Gemma 4の衝撃 —— 31B denseで0.80超え

その4モデル目こそ、今回のオープン部門最大のニュース、GoogleのGemma 4ファミリーです。2026年3月にリリースされた新世代で、Hugging Face上でApache 2.0ライセンスで公開されています。

  • Gemma 4 31B(0.8077)
    31Bのdenseモデルでオープン3位に急浮上。GPT-5.1(0.8085)やClaude Opus 4.5(0.8064)と同水準を、単一GPUで動かせるサイズで実現しました
  • Gemma 4 26B-A4B(0.7872)
    総26B・アクティブ4BのMoE版。推論コストを大幅に抑えつつ0.79級
  • Gemma 4 E4B/E2B
    オンデバイス向けの小型版もラインナップ(小規模モデルの章で紹介します)

これまで「30B級ローカルLLMの本命」はQwen3.5-27B(0.8049)でしたが、Gemma 4 31Bがこれを上回ったことで、単一GPUクラスに強力な選択肢が2つ並んだことになります。

中国勢の新顔:GLM-5、Kimi K2.5、MiniMax-M2.1

前回に引き続き、中国発オープンモデルの厚みは圧倒的です。今回は3つの大型新顔が登場しました。

  • GLM-5(0.7884)
    Z.aiの最新世代。総744B・アクティブ40BのMoEで、DeepSeek Sparse Attention(DSA)を採用。MITライセンスという太っ腹な公開形態です
  • Kimi K2.5(0.7785)
    Moonshot AIの総1T・アクティブ32B MoE。視覚エンコーダを統合したネイティブマルチモーダルモデルで、エージェント用途を強く意識した設計です
  • MiniMax-M2.1(0.7556)
    総229BのMoE。SWE-Bench系のコーディング・エージェント処理に特化した性格のモデルです

Qwen、DeepSeek、GLM(Z.ai)、Kimi(Moonshot)、MiniMaxの中国5社がオープンTOP12に揃う構図は今回も健在で、そこにGoogleのGemma 4が割って入った形です。

COLUMN:OPEN MODEL LANDSCAPE

【コラム】中国発LLMを支える5つの主要陣営

今回のランキングでは、Qwen・DeepSeek・GLM・Kimi・MiniMax という中国発の5陣営が、オープンモデル上位にそろいました。開発元をたどると、阿里巴巴(アリババ)・深度求索・智谱AI・月之暗面・稀宇科技といずれも中国のAI企業です。ただし Qwen・GLM・Kimi は会社名ではなく、各社が展開するモデルブランド名である点に注意が必要です。ここでは各陣営の特徴と開発方針を簡単に整理します。

Qwen 阿里巴巴(アリババ) ― 総合型モデルファミリー

Alibaba が開発する基盤モデル群。小型モデルから数千億パラメータ級の MoE モデルまで幅広くそろえ、一般対話・推論・コーディング・画像理解など多様な用途をカバー。API専用モデルと自社環境で動かせるオープンモデルの両方を展開しています。

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Qwenは「通義千問」とも呼ばれるAlibabaのモデルブランドです。独立した企業名ではなく、Alibaba Cloudを中心に開発・提供されています。

最大の特徴は、モデルの規模と用途の広さです。数十億パラメータ級の小型モデルから、数千億パラメータ規模の Mixture-of-Experts(MoE)モデルまで用意され、一般対話・数学的推論・コーディング・画像/動画理解・音声・検索・埋め込みなどを一つのファミリーでカバーしています。

また、複雑な問題では推論を行い、単純な対話では推論を省略する、思考モードと非思考モードの切り替えにも力を入れています。用途に応じて性能・速度・実行コストのバランスを調整しやすいことが強みです。

今回のランキングに登場する Qwen3.6 Max のようなAPI専用モデルがある一方、Qwen3.5-397B-A17B や Qwen3.5-27B など、モデルウェイトを取得して自社環境で運用できるモデルもあります。同じQwenでも、公開形態はモデルごとに確認する必要があります。

DeepSeek 深度求索(シェンドゥチウスオ) ― 効率化技術と研究公開を重視

基盤モデルと推論技術の研究開発を中心とする中国のAI企業。巨大なモデルをそのまま動かすのではなく、MoEなどを使って推論時の計算量を抑える設計で知られます。高性能モデルを比較的低コストで提供し、モデルウェイトや技術報告も積極的に公開しています。

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DeepSeekは2023年に設立された中国のAI企業で、基盤モデル・推論モデル・学習基盤の研究開発に重点を置いています。一般消費者向けサービスを幅広く展開するAlibabaやMiniMaxと比べると、モデルそのものの性能と効率化技術に軸足を置いた企業です。

DeepSeekが注目された大きな理由は、Mixture-of-Experts(MoE)をはじめとする効率化技術です。モデル全体では非常に多くのパラメータを持ちながら、入力ごとに必要な一部のパラメータだけを動かすことで、性能と計算コストの両立を図っています。

推論特化モデルの DeepSeek-R1、長文処理を効率化する DeepSeek Sparse Attention、ツール呼び出しを組み込んだ思考モードなど、基盤技術の開発でも存在感があります。APIを提供するだけでなく、モデルウェイトや技術資料を外部に公開する姿勢も特徴です。

ランキングでは、API版の DeepSeek V4 Pro と、オープン版の DeepSeek-V3.2 などが別々に評価されています。モデル世代・公開形態・思考設定が異なるため、「DeepSeek」という名称だけで一括りにせず、評価対象となった具体的なモデルを確認する必要があります。

GLM/Z.ai 智谱AI(ヂープーAI) ― コーディングエージェントを重視

中国のAI企業・智譜AIが開発する基盤モデル。海外向けには Z.ai ブランドでチャット・API・コーディングサービスを展開。特に、コードの調査・実装・テスト・修正を長時間継続するエージェント型の開発作業を重視しています。

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GLMはモデルの名称であり、開発元は中国の智譜AIです。中国国内では智譜やBigModelの名称でサービスを提供し、海外向けには主にZ.aiというブランドを使用しています。

GLMシリーズは、一般対話や推論だけでなく、検索・ツール呼び出し・コーディング・長時間のエージェント処理を重視しています。単発でコードを生成するだけではなく、既存コードを読み、設計し、複数ファイルを修正し、テスト結果を受けて再修正する一連の開発作業を想定しています。

GLM-5以降では、複雑なソフトウェア開発や長時間タスクへの対応が強化されました。MoEや長文処理の効率化技術を採用し、Claude CodeやClineなどの開発環境と接続して利用する用途も強く意識されています。

今回のランキングでは、API版の GLM-5.2 と、モデルウェイトが公開された GLM-5 が別々に掲載されています。APIモデルとオープンモデルでは性能や提供条件が異なるため、導入時には区別が必要です。

Kimi/Moonshot AI 月之暗面(ユエヂーアンミェン) ― 長文処理からエージェントへ

Moonshot AI が開発するAIアシスタント兼モデルブランド。当初は大量の文書を一度に読み込める長文処理能力で注目されました。現在は、長文理解に加えてコーディング・画像/動画理解・ツール利用を組み合わせたエージェント型モデルへ発展しています。

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Kimiを開発するMoonshot AIは、2023年に設立された中国のAI企業です。Kimiは会社名ではなく、同社が提供するモデルおよびAIアシスタントのブランド名です。

Kimiは当初、論文・契約書・ウェブページ・大量の業務資料などをまとめて読み込める長いコンテキスト処理を強みとしていました。その後は、長文を読むだけではなく、読み取った情報をもとにコードを書き、検索や外部ツールを使い、複数の手順を実行する方向へ進化しています。

Kimi K2系は大規模なMoEモデルで、コーディングとエージェント処理を主要な用途としています。今回掲載された Kimi K2.5 は、テキストに加えて画像や動画も扱えるネイティブマルチモーダルモデルです。

Kimiについても、リーダーボード掲載モデルと現在提供されている最新モデルには時間差があります。そのため、ランキング上のスコアだけでなく、APIで実際に選択できるモデル世代も確認する必要があります。

MiniMax 稀宇科技(シーユゥ科技) ― テキストから音声・動画まで展開

テキストLLMだけでなく、音声・音楽・画像・動画の生成モデルも開発する中国のAI企業。テキストモデルの M2 シリーズは、コーディング・検索・ツール利用・業務文書作成などの実務タスクを重視。複数の生成AI分野を一社で展開している点が、他の4陣営との大きな違いです。

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MiniMaxは2022年に設立された中国のAI企業です。大規模言語モデルだけでなく、音声合成・音楽生成・画像生成・動画生成など、複数の生成AI技術を並行して開発しています。

テキストモデルのM2シリーズは、一般的な会話用途よりも、コード生成・既存コードの修正・検索・ツール呼び出し・業務文書作成など、実際の作業を進めるエージェント用途を強く意識しています。

今回のランキングに掲載された MiniMax-M2.1 はMoEモデルで、モデル全体の規模に対して、推論時に動かすパラメータを小さく抑えています。Pythonだけでなく、Rust・Java・Go・C++・TypeScriptなど、複数のプログラミング言語への対応も重視されています。

MiniMaxは、テキストLLM単体のランキングではQwenやDeepSeekほど目立たない場合があります。しかし、音声・音楽・画像・動画まで含めた製品群全体で見ると、5陣営のなかでも特に幅広いマルチモーダル戦略を取る企業です。

5陣営の違いを一言でまとめると

Qwen は総合型、DeepSeek は効率化技術と研究公開型、GLM はコーディングエージェント型、Kimi は長文・マルチモーダル型、MiniMax は音声や動画まで含む総合生成AI型と位置づけられます。

国産オープンモデルの新展開

日本発のオープンモデルにも今回、注目すべき動きがありました。

  • RakutenAI-3.0(0.6761)
    楽天グループが3月に公開した総671B・アクティブ37BのMoEで、国産オープンモデルとしては最大級です。DeepSeek-V3系アーキテクチャを採用し、日英バイリンガルデータで構築されています(Apache 2.0)
  • llm-jp-4-32b-a3b-thinking(0.6679)
    国立情報学研究所(NII)による総32B・アクティブ約4BのMoE推論モデル。11.7兆トークンをスクラッチから学習した、完全国産系の意欲作です
  • Swallowシリーズの強化学習版
    東京科学大学(旧東工大)SwallowチームのRL版が拡充。GPT-OSS-Swallow-120B-RL-v0.1(0.6914)は国産系トップ級、Qwen3-Swallow-32B-RL-v0.2(0.6782)なども続きます

総合スコアではまだ0.70の壁の手前ですが、日本語に最適化された学習データと国内での運用のしやすさは、スコアに表れない価値です。

また韓国LG AI ResearchのK-EXAONE-236B-A23B(0.7186)が日本語を公式サポート言語に含めている点も、日本語ユーザーには朗報といえます。

さて、次は中規模10B~30B程度のモデルをみてみましょう。

中規模モデルのうれしいところは、個人レベルでも比較的入手しやすいGPUでも実行できるところではないでしょうか。


中規模モデル(10B-30B)総合スコアランキング

中規模モデルと小規模モデルのランキング横棒グラフ
ローカルLLMの主戦場:中規模(左)と小規模(右)の上位モデル
順位 モデル名 総合スコア
1Qwen/Qwen3.5-27B: reasoning-enabled0.8049
2google/gemma-4-26B-A4B-it0.7872
3Qwen/Qwen3.5-9B: reasoning-enabled0.7485
4Qwen/Qwen3-14B: reasoning-enabled0.7233
5tokyotech-llm/GPT-OSS-Swallow-20B-RL-v0.1: reasoning-enabled0.6424
6tokyotech-llm/Gemma-2-Llama-Swallow-27b-it-v0.10.6208

※上位100件のエクスポートデータに基づくため、前回掲載モデルの一部(gemma-3系など)は今回の集計対象外です。

中規模モデル総合スコアの傾向と考察

中規模カテゴリは前回王者のQwen3.5-27B(0.8049)が首位を守りましたが、2位にGemma 4 26B-A4B(0.7872)が新登場し、2強構図に変わりました。

Gemma 4 26B-A4BはMoE構造でアクティブパラメータがわずか4Bのため、推論時の計算負荷はdenseの27Bモデルより大幅に軽くなります。

「性能はQwen3.5-27B、推論コストはGemma 4 26B-A4B」という使い分けが成立しそうです。

4位のGPT-OSS-Swallow-20B-RL-v0.1(0.6424)は、OpenAIのオープンモデルgpt-oss-20bを日本語向けに強化学習したもので、日本語特化の中規模モデルとして貴重な存在です。

さて、最後に小規模モデルもみてみましょう。こうした小型モデルは比較的安価なコンシューマ向けGPUでも動作しますので、エッジ・オンプレ用途の本命です。


小規模モデル(10B以下)総合スコアランキング

順位 モデル名 総合スコア
1Qwen/Qwen3.5-4B: reasoning-enabled0.7352
2nvidia/NVIDIA-Nemotron-Nano-9B-v2-Japanese: reasoning-enabled0.7111
3Qwen/Qwen3-VL-8B-Thinking0.7021
4Qwen/Qwen3-8B: reasoning-enabled0.6900
5google/gemma-4-E4B-it0.6692
6google/gemma-4-E2B-it0.6564
7tokyotech-llm/Qwen3-Swallow-8B-RL-v0.2: reasoning-enabled0.6552
8tokyotech-llm/Gemma-2-Llama-Swallow-9b-it-v0.10.5982

小規模モデル総合スコアの傾向と考察

小規模モデルは前回に引き続きQwen3.5-4B(0.7352)が首位です。わずか4Bで、1年前なら30B級に相当したスコア水準を叩き出しており、小型化の進展を象徴しています。

日本語特化ならNemotron Nano 9B v2 Japanese

前回に引き続き2位のNVIDIA Nemotron Nano 9B v2 Japanese(0.7111)は、NVIDIAがMamba-2/Transformerハイブリッド構造のNemotron Nanoを日本語向けに追加学習したモデルです。推論のオン/オフや思考トークン量の制御(thinking budget)に対応しており、商用利用可能なライセンスで公開されています。日本語特化の小規模モデルとしては現状ベストの選択肢でしょう。

Gemma 4のオンデバイス版 E4B/E2B

Gemma 4 E4B(0.6692)とE2B(0.6564)は、スマートフォンやエッジデバイスでの動作を想定した小型版です。実効パラメータを抑えながらこのスコア帯に乗せてきており、「端末内で完結する日本語LLM」の実用ラインが着実に上がっています。

また7位のQwen3-Swallow-8B-RL-v0.2(0.6552)は、東京科学大学Swallowチームによる日本語強化学習版で、国産系の小規模モデルとして存在感を示しました。


まとめ、本格導入に向けての道しるべ

今回もNejumi Leaderboard 4のベンチマークデータを分析いたしました。今回の分析でみえたポイントをまとめます。

「0.85時代」の幕開けと、0.80の大衆化

今回の最大のポイントは、Claude Opus 4.8が史上初めて総合スコア0.85を突破したことです。

同時に、0.80超えモデルは19に達し、前回11、前々回4からほぼ倍増ペースが続いています。

0.80はもはや「フロンティアの証」ではなく「上位グループへの入場券」になりました。

  • 商用API勢:Anthropic(Opus 4.8/4.7)、Google(Gemini 3.1 Pro)、OpenAI(GPT-5.5/5.4)の3強に、Alibaba(Qwen3.6 Max)が食い込む4強構図へ
  • オープン勢:Qwen3.5が首位を堅持しつつ、Gemma 4・GLM-5・Kimi K2.5など新顔で層が厚く
  • 国産勢:RakutenAI-3.0、llm-jp-4、Swallow RL版など、日本語特化の選択肢が着実に拡大

モデルサイズ別の特徴

カテゴリ 推奨モデル 特徴
最高性能を追求(商用API)Claude Opus 4.8リーダーボード史上初の総合0.85超え。推論力とアラインメントを高次元で両立
コスト効率と性能の両立(商用API)Gemini 3.5 Flash / Claude Sonnet 4.6軽量・低価格クラスで総合0.82超え。大量処理・日常業務向け
オープンモデル最高峰Qwen3.5-397B-A17B総合0.8191(Apache 2.0)。自社インフラで運用できる最高性能帯
単一GPUクラスのローカル運用Gemma 4 31B / Qwen3.5-27B30B前後で総合0.80級。オンプレ・機密データ用途の現実解
小規模・エッジQwen3.5-4B / Gemma 4 E4B4B級で総合0.73超え。端末内・低リソース環境向け
日本語特化NVIDIA Nemotron Nano 9B v2 Japanese / RakutenAI-3.0日本語データで追加学習された特化モデル。国内運用・日本語業務向け

LLMの本格導入にむけて:用途別の最適なモデル選択

今回は総合スコアを軸に各モデルの位置づけを見てきましたが、実際の導入判断はそれほど単純ではありません。

ベンチマークは有力な参考情報である一方、実務では精度だけでなく、導入コスト、推論コスト、応答速度、機密データの扱い、既存システムとの統合性など、多面的な評価が必要です。ライセンスもひとことでオープンソース、オープンモデルといっても、実はよく見ると落とし穴が存在している場合もあります。

とくに今回のように選択肢が急拡大した状況では、「最もスコアの高いモデルを一つ選ぶ」というより、「用途ごとに複数のモデルを適切に使い分けられる状態をどう作るか」が、導入の現場ではより重要になります。

当社では、こうした複数モデル運用の実務に対応する選択肢として、複数のLLMを1つのプラットフォームで利用できる統合AIプラットフォーム Bestllam を提供しています。

商用利用時の論点整理、モデルの選定から、業務フローへの組み込み、AIエージェント活用を前提とした運用設計まで含めてご支援可能です。

また、単なるツール提供にとどまらず、貴社業務のAI化を見据えたBPRコンサルティングもあわせてご提供しており、AIテクノロジーだけでなく、ビジネス上流の業務分析からAIネイティブ化BPR計画策定、成功指標の設計、導入支援まで伴走いたします。

まずはお気軽にご相談くださいませ
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